I will graduate something? 何を卒業するんだろう? 2
「悪い…俺が悪かった」
「ふうん、そう。でも私は絶対に安井がした事を許さないから。何か言うつもりなら、これからはこっちもいうつもりだから。B高の水泳部には私の知人が数人通っているしね。あなたも馬鹿じゃないんだから言っている意味はわかるでしょう?クスクス…」
私がそう言うと、安井は叫びながら逃げて行った。…ったく、チキンな奴。
私は苦笑するしかない。
「ちい…やりすぎ」
創君は呆れて私を見ていた。
「そう?あそこまで言えば…もう表向きは平気でしょう。これからはすれ違う時にボンボンって言ってやるんだ。ウフフ…」
「そういえば、北高の出願はどうした?」
「昨日はS高の発表を見てから、一時払い金を支払ってから北高に取り消しに行ったのよ」
「だから、学校を休んだのか?」
「そうよ。先生には話しておいて許可を貰っていたけどね」
「そうか。おめでとさん」
創君と私はハイタッチをした。
「そんな事を言う創君だって…I高受かったんでしょう?」
「俺の本命はN高だから。気は抜けないな。そう言えば聞きたい事があるんだけど」
「別にいいよ。何かな?」
「またさ…理絵の奴がさ…」
創君が言いだしたとたんに私はなんとなく察してしまった。うんざりする。
「今度は何?私はまた理絵に利用されたのかな?」
「いいや。それはない。倫子が上手く止めた。あいつも馬鹿だよなぁ。もう、俺達一部の人間には今までの手は使えないのになぁ」
「それはそうだね。今回は何を仕掛けようとしたの?」
「S高の試験はたいした事なかったってさ。それはどうなんだ?」
受かったとは言え、よくもまぁ…そんな事が言えたものだ。
「まずはS高の過去問を解いてから言うべきだと思うけど。それは置いておいて。まずは社会と国語なんだけども、これは公立レベルで十分だから、たいしたことないって言えると思うけど、社会は私もついド忘れで一問解けなかったものがあった程度ね。でも、他はね…そんな事を言えるのは特待生レベルだと思うけどね。私、数学も理科も全問解いていないよ。目指せ、7割だったからね。それだって大変なのよ」
「理絵の奴…。また人の名を使おうとしたんだよ。分かるだろ?」
「何となく…ね。確かに国語と社会の話題は出たよ。私達3人で話した時にね」
「3人?」
「うん、私と博子ちゃんと和重君で。理絵とはその話はしていないから聞いてたんでしょ?」
「なるほどな」
「で、理絵は皆が言ったって言ったの?それとも私が言ったって言ったの?」
私は創君にたずねた。
「ちいが言った通りのどちらかにしたかったんだろうけど、その前に、智子が本当に誰が言ったの?って聞いたんだよ」
「ふうん、理絵の想い通りにならなかったのね。今日、理絵も潰そうと思ったけど…ちょっと止めた方がいいみたいね。そのことの情報も拾っておかないと」
「そうだな。そうした方がいいな。それなら静香が動いていると思うぜ。確認しておけよ。ちい、そろそろ戻ろうか?」
「そうだね、風が冷たいものね。帰ろう」
創君に促されて私達は教室に戻ることにした。




