終わった恋の悲しみは 13
「今は本当に反省しているよ。でも、皆も私に対しては言いたい放題だったよね。
まぁ、何らかのはけ口が合った方が精神的にいいのかと思っていたからさ」
「捨て子とかか?本当は違うじゃないか?」
「親がいないことには変わりがないから…放置していた。それに事実を今分かっている
人が何人いるんだか。あの事故から…もうかなりの時間がたっているんだよ。それに…
私自身、部分県某でちゃんと覚えていないの。当時の事を親戚が控えてくれたノートで
大変だったことは分かったけどね」
「親戚って、同居しているおじさん?」
「違う。亡くなった母の従兄妹にあたるおじとおばね」
「そっか。でも…もうすぐだね。おじさん達の命日」
「そうだね。義人君よく覚えてるよね」
「だって…皆でお通夜に言ったの覚えててさ。あの時、お前泣いて泣くってさ。俺は
お前はすげぇ強いんだって思ってた。今は違うぜ。あの時は…泣けなかったんだろ?」
「うん…多分…ね」
「まぁ…私にお金があると言うのは、両親が残してくれたものを全て私が相続したから
だと思う。きっちり、相続税払って今も払うもの払っているから…そんなでもないのにね」
「そう言われればそうだな」
「それと…市の方から少しお金貰ってるしね。これはちゃんと貰っていいものだよ。遺児手当てと
母子扶養手当とか言っていたかな?それと、自己のお金も貰ったしね。でも…事故関連は全額の
回収はしていないんだ。少し踏み倒されちゃった。悔しいなぁ」
私は、今まで言ったことが無いことを離した。人の命をお金に換算することは凄く嫌悪感が
伴うけど、両親はもう戻ってこないから仕方ないものと今は割り切っている。
「知らないって怖いな」
そう言うんがポツリと漏らす。全てを知っていたら、皆が言っていたことは言えないだろう。
「いいの。これは生き残った私の戒め…そう思ってる」
「ちい…そこまで追い込まないで。もう、いいんだよ」
静香が私を引き寄せる。私は自然と涙を零していた。
「だって、私の存在は底辺なんだもの。母子家庭より下だもの」
「俺も…俺も言われた。入学当時は、親父とは別に住んでいたから」
創君がゆっくりと口を開いた。私も知らなかった創君の真実を話し始める。
「やっぱり…言われてたんだ。お前も」
「あぁ。何より、母さんは高校と出てすぐに結婚したからさ。いろいろあったみだいだぜ。
俺もちいの事をちょっと勘違いしてた。悪かった」
「いいのよ。そのことは誰も責めていないよ。責めるべきは…親というか大人でしょ?」
「そうだよな。言われてみれば」
義人君は、私の言う意味を理解したみたいだ。
「一時期、無いことばかり言われてから…皆に対して警戒していたと思う。静香とも
基本的に校内で話したことないものね?」
「うん。クラスが別の時は、二人で図書委員してて、委員の仕事の時に話していたっけ」
3人が呆気にとられているのが分かった。そりゃそうだよね。
「損得勘定を持ちながら、仲良くするのは友達じゃない。だから…今の私の側に誰も
いないのよ。ちょっと前まで…一緒にいた子達も…所詮そんな程度なのよ」
「すげぇ…切り捨て具合」
「逆よ。私が捨てられただけよ。私自身が覚めてる方だったからさ。これでもいいと思ってた。
甘えのつけは大きいなぁ。一人で頑張るさ」
「一人じゃないだろうが」
義人君はそう言うと私にデコピンをする。
「全く…この子は」
「また、一人で解決しようとする…もう」
雅子ちゃんと静香が苦笑する。
「誰かが見守ってた方がいいな。こいつの場合は」
創君も私を小突きながら笑ってる。
私…一人じゃないんだ。一人じゃなかったんだ。でも私といたら…また何かに巻き込まれるかも…
「俺らが、ちいに巻き込まれると思ってんの?」
「うっ、うん…」
私は義人君に聞かれて頷くと、バーカと言ってから、さっきより強くデコピンをする。
「いちゃい」
「違うよ。ちい。私達がちいを巻き込むのよ。ちいらしくなろう?」
「そうだよ。この時期に仕掛ける奴なんていないって」
「そうそう。来月の今頃には卒業するんだぜ?」
「今の学校のトラブルは解決させようぜ」
「どうやって?」
「そんなの…俺らが勝手にやる。ちいは、理絵に釘を刺せよ」
「そうだよ。それが最初だよ。これからも一緒なんだから」
「ありがとう。私…甘えてもいいの?」
私は皆を見た。4人は私を見て笑っている。この4人は信じられる。
「すぐには立ち直れないと思う。でも…後悔していない。後悔したら優君まで否定することに
なってしまうから。何かから私を守ろうとしてくれたかもしれないから。タダね…次の恋を
することが…今はとても怖い」
「なぜ?」
「恋をしていたことの自分の暑さが今になって怖くなったの」
「そう思ってるのなら、次はないんじゃない?」
「理絵と同じ学校にいることが…ネックかもな」
「そうだね。無いことを言われるってダメージが強いよ」
「恋に限定したら、しばらくないよ。まだ、どこかで優君を諦めきれない自分がいて、
恋をしようと思えないもの」
「ちいに必要なのは、時間」
「今の辛さが思い出になるまでは時間がかかるでしょ?」
「そうそう。失恋なkら回復するまではだいたい半年かかるんだってさ」
創君が意外な話をする。…ってことは、失恋してすぐに次の恋にならなくてもいいんだ。
「あはは…本当にありがとうね」
私は一つ学んだ。一人じゃ生きてはゆけない。辛い時に手を伸ばせば手を取ってくれる人が
いると言う事。私は一人じゃないと言う事。多分…私はまた少しだけ強くなれる…そんな気がした。




