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In other word・・・  作者: トムトム
1章 A turning point ~中3冬~
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終わった恋の悲しみは 5

「ど、どうだった?」

クラスの皆が恐る恐る聞いてくる。私達のクラスでは私と静香が最初の

合格発表だった。

二人で皆の方に高校の名前が入った封筒を見せた。

「おめでとう」

「ありがとう」

社交辞令的な挨拶を交わす。私に対してはそんなものだと思っていたから

何とも思っていなかった。

先生から5時間目はもう一度自習になると告げられた。

私はノートの片隅にこれからしないといけない事をノートに書き留めた。

先生に許可を貰ってS高の合格発表は自分で見ることにしている。

そのまま、北高校の出願取り消しをしに行く予定だ。



今は給食の時間。今日は静香と食べている。同じ学校に合格した二人が

食べていても、何を話しているか気にしないだろうと思ったから。

「そうそう…。今日って和重君は学校に来てるのかな?」

「さあ?何か用事?」

静香が私に聞く。私が男の子の話をすることがないからだろう。

ゆう君のことはともかくだろうけど。

「用事ってことじゃないんだけど・・・ね。和重君は一緒にS高を受けたんだけどね、

金曜日の2日目にお弁当を持ってきていなくて、私と博子ちゃんでお弁当を

分けてあげたんだ」

「へぇ、彼らしくないことだね。理絵は?あげなかったの?」

「うん、私達が気がついた時には理絵は食べ終わったんじゃないかな?

私達…トイレに行ってから、お昼を食べることにしていたから」

「そう言うことなら納得」

「問題はその後よ。お弁当はアップみたいなもので…」

「えっ、続きがあるの?」

「そう。和重君ってああ見えてプレッシャーに弱いでしょ?」

「そうだね。本当に弱いよね。確かに」

「プレッシャーで気分を悪くして、すごく顔が白かったのね。だから面接が

終わってすぐに帰ろうよって理絵に言ったら、理絵ったら自分の家に近い

N駅で帰りたいからって、各駅停車で帰るって言い張ってその通りにしたのよ」

私がそう言うと静香は呆れていた。



「学校で集合って基本的にY駅だよね」

「そう。なんだけどさ…」

「状況的には、それって禁じ手だよね。それに和重君の体調を考えたらすぐに

帰るよね」

「うん。それで理絵とけんかになりそうだったんだけど、和重君が平気って言って

快速載らなかった。無駄に帰るのが遅くなったし…。理不尽すぎるからさ、自宅に

戻る前に学校に寄って、報告した時に話したよ」

学校では受験から戻ってきたら、学校に一番近い人が戻ったことを連絡することに

なっていた。K学園は義人君でS高は私になっていた。それも電話でもいいんだけど、

私はあえて学校に行ったのだ。

「それなら…気になるよね」

「うん…。土曜日は学校休んだみたいなんだよね」

「それと…お昼をしっかり食べていなかったから、帰りの電車でサンドイッチを

3人で分けようとしたらさ…」

「ちゃっかり、自分も食べた?…じゃないの?」

「良くおわかりで。ちょっと理解が出来ないというか、なんというか…」

「私は…理絵が自己中心的なのは知ってるけどね。あの子っていつもリーダー格の

この背後にいるから…」

「そっか。私達3人ならば、自分の言う通りになると思っていたのか…馬鹿な人」

「そうだね。その事も先生に話した?」

静香は私に確認した。私がゆう君と別れてずっと泣いていたというのとは

レベルが違う。

「もちろん、買い食いしているしね。あっ、それは怒られなかったよ。

むしろ…お弁当分けたのを褒められた位だし」

「ちいと理絵は絶対に性格的に合わないよね」

「うん。申し訳ないけど…近づきたくないね。これ以上は。外面良くて、本性を

隠しているんだもの」

「私も…あえて近づかない様にしている」

「静香らしいね。…ごちそうさまでした」



先週から食欲のない私は少しだけ食べただけだ。

「ほとんど食べてないじゃない。倒れるよ」

「平気だよ。大丈夫」

私は笑おうとするけど、頑張ってもにこやかになれない。

「私は知ってるから、無理に笑わないで。今のちいの姿は理絵にとっては

狙い通りになるんだからね。」

静香は冷静に同じ空間に理絵がいることを指摘した。

「そうだね。つい…忘れそうになってた。ありがと」

「それよりも、ちいこれからどうするの?理絵がS高になると凄く厄介な

事になるよね…確実に」

「私も…静香と同じこと…考えてる。3年一緒がうんざりするね」

私は、今日何度目か分からないため息をついた。

「そのことは、放課後考えよう。智子にはどうする?」

「変にこじれたら更に厄介だから、次の自習で言うつもりだよ」

「その方がいいね。N高を受ける子達…うちのクラスが多いんだよね」

「うん。私達が理絵に聞かれたことを馬鹿正直に言ったせいにするよ」

私は内心、なんでそこまで…と思ったけど、理絵の事を考えると自分で

処理した方が早いだろうと思っていた。

そのまま昼休みに突入した。

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