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In other word・・・  作者: トムトム
1章 A turning point ~中3冬~
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終わった恋の悲しみは 4

給食前に、私を含めたK学園受験組は職員室に呼ばれていた。

合格発表は10時だったから、もう結果は出ているはず。

しかも、他の学校よりも人数が少ないから私達が最初の発表だろう。

揃っている私達の所に永田先生がやってくる。悪い人ではないけれども、

いつも何かしらふざけていたりするから私は苦手な一人だ。

何か…私としては嫌な予感がする。

「非常に残念なお知らせです」

そう言うものだから、私達は一気に緊張してしまう。

「…皆合格だよ。おめでとう」

…ほら、当たった。私達は単にからかわれただけだ。

けど…言っていい時と悪い時がある。

思わず私は、永田先生にひややかな視線を送ってみる。

「やだなぁ…佐倉。先生はリラックスさせようとしたのに…つれないなぁ」

「場の空気を読んだらいかがですか?早く必要書類を渡して貰えませんか?」

「佐倉、もう少し遊び心を持てな?ほら、皆持って行けな」

永田先生は急いで各自の名前が書いてある封筒を手渡す。

「ありがとうございます。でも…私はそんな遊び心ならいりません」

私はそう先生に返事をする。永田先生は逃げるように職員室に帰って行った。



「約束だよね。言える範囲で答える…でもいい?」

私は三人に向かって言った。その後に静香が二人に提案する。

「皆家に帰ってから着替えて私の家に来れる?」

校内では話したくなかったからすごく助かる。C組は職員室横の階段から上がった方が

近いんだけども、E組は理科室のある反対側の階段を使う方が楽だ。

なので、私達は職員室で別れて教室に戻ることにした。

私は静香と二人でE組まで戻る。

「ちい、今日ね。創君も来るからね」

「何で…?」

「安井の事もあるしね。創君の第一志望はN高だからいて貰った方がいいと思うの」

「そう言えば…そうだったね」

年末に創君とそんな話をしたことを思い出していた。

「それにね。ちいと彼が歩いているのを見たんだって。3学期の始業式の後、

どこかに行った?」

「N高の下見に二人で行ったよ。それを見られたのかな?」

「そうみたいね。だから知っておいて貰った方がいいと思うの」

「そうだね。静香の言う通りかも」

1月に創君が見たというのに、学校で広まっていない事を考える。

ここで創君に知られても、彼の性格を考えて、最悪な事にはならないと思う。

恐らく、2カ月の間には他にも見られているんだろうなと私はぼんやりと考えていた。



「やっぱりね…理絵が怪しいんだよね。それより…自習の時…どこに行っていたの?」

ちいがいないお陰でこっちは助かったんだけどね」

「私?屋上と花壇の花の世話してた。理絵がって何があったの?」

「ちいらしい所にいたんだね。話をたどるとうちのクラスは理絵に辿り着いたんだ」

「どれでも…十分な警告は出来るから。言った・言わないないレベルの証拠だから、

もっと…ごまかせない何かがあるといいんだけど…」

私はそう言うと、ため息をついた。今までは全く接点がない相手だけに対処に仕方が

分からない。

「とりあえず、安井を仕留める方が先かな。理絵の扱い方がよく分からないし」

「そうだな。ちいの考えが一番早く解決できるよ。とにかく、これ以上悪化しない様に

するのが先だよね」

静香も私の意見に賛同してくれる。B高の合格発表は明日だった様な気がする。



「理絵…ね。ちょっと気になるんだよね。一応、あの子もN高が第一志望なんだけど」

「そうそう。そういえば理絵…N高受けないとか言い出して、智子と何かやってなぁ」

静香が思い出したように言った一言で私は頭を抱える。

理絵のいきなりの進路変更は…多分S高の面接待ちが関係している。

「何があったの?ちい…隠せないでしょ?」

「分かってるよ…。静香。S高は理絵以外は皆…第1志望なのね」

「そうなんだ。それはありがちな話だよね」

「そこまでは…ね。たださ…博子ちゃんの第2志望がN高だったのね。私は知ってたけど…

理絵のプライド的にはちょっと問題だったみたいでね」

「ちい、分かったよ。そこから先は想像できる。それは…ちいは悪くないよね。

あれっ?ちいの公立志望ってどこだっけ?」

「私?北高だよ。プールの1つ上の慎ちゃんが行ってるから」

「慎ちゃんか…。ちいの王子様だっけ?」

「そんなんじゃないってば、それに北高は誰も受けない…はずなんだ。

そこの所はしっかりとリサーチしたからね」

「ちいはそういう所はしっかりしてるよね」

「普通はそうじゃない?」

私はケロリとして静香に聞いてみた。

「ごめん…私はK学園推薦だから…」

「気にしないの。静香は自分できめたんでしょ?」

「うん。さ、教室に入るよ。行こう」

私はそう言うと教室の扉を開けた。

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