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In other word・・・  作者: トムトム
1章 A turning point ~中3冬~
15/134

君が嘘をついた・・・14

「本当にいいのか?それで」

「嘘をつくのが嫌いなゆう君がついた嘘の奥にある気持ちを信じて、私は生きてゆく」

「奥の気持ち?」

「うん、私を守るためなのか?私を傷つけないためなのか?それは分からないけど…

私を想っているってことだけははっきりと分かるから」

「確かにそれは本人しか分からないからな」

「そう、ゆう君しか分からない。今は絶対に教えてくれないと思う。だったら…

いつか…再会して、笑って元気?って言えるようになったら…ちゃんと聞く。

ゆう君がそうした理由。私は、私の事が好きだから、私を守るために別れたと

思うことにしたから…。」

「佐倉…お前…」

「自分の気持ちに…私は嘘をつきたくないの」



「そっか。お前も大人な対応をするのか。まだ…15なんだからさ、もっと子供らしくても

いいんじゃねぇの?」

「いいの。これで。だって…私だから。今まで欲しいと思っても貰えないことが多かったから。

欲しいものが貰える幸せが…久しぶりだったから。幸せだった時間の中で心を閉じ込めて

暫くは生きてゆく。それでいい。これ以上…私は望んじゃいけないの」

「そこまで…ストイックになることはないんじゃないか?」

「だって…私が欲しいものってお金で得られるものじゃないもの。一度得られたらもっと

欲しくなってしまう。私も…貪欲なんだよ」

「そうだな。そういうもんだな。そこまで考えて決めたなら…もう何も言わない」

「ありがとね。少し気持ちに整理がついたよ」

私はコップのコーヒーをもう一口飲んだ。



「それはそれとして…家の方はどうなりそうだ?」

「試験前に調べた範囲では…相当勝手な事をされてました。とりあえずは返して貰えるものは

返して貰いたいですね。本当の意味では、もう私には家族はいないんだから。それにね…

失う事はもう怖くない」

「そうか、知り合いって言うか、後輩を紹介しようか?弁護士一応いるから」

「私…お金ないですよ。皆が思ってるよりも」

「とりあえず、俺がそこの所は説明しておいてやるよ。任せておけ」

家の事も…何とかなりそうだ。学費で悩んでいた私にアドバイスをくれた先生。

全額回収は不可能でも、ある程度は回収できそうだ。



「家を出る考えはあるのか?」

「お金が戻ってきたら考えてるけど、寮は入るなって」

「変な話を聞くが、今の総額は?」

先生に聞かれて、S高の試験後に通帳記帳をした額をメモ帳に書き込む。

今は…1500万円位。それに3月に学資保険が300万位入ることになっていると。

「そっか。だったら…まだ家にいた方がいいな。S高に受かりそうか?」

「多分…ね。早く働きたいから、大学に行かないで専門学校でもいいと思ってる」

「それで…いいのか?」

「勉強っていつでもできるって…いつも先生が言ってるのに」

この先生…サラリーマン経験がある。けど、夢が捨てきれなくて塾の講師になったのだ。

「まぁ、高校に行っても相談なら、乗るからな」

「ありがとね。先生。家族はいなくても、今回の事で一人じゃないって私分かったから。

ねぇ…先生、ゆう君に伝えてくれる?返事はいらないから」

「いいぞ…何だ?」

「ずっと…ずっと笑ってて」

私はそう言うのがやっとだった。ゆう君の笑顔が一番好きだったから。

「分かった。伝えてやるよ」

「私…教室に行くね。ごちそう様でした」

私は相談ブースから立ち上がった。私は一人きりじゃない。

それだけで十分だ。私は教室に向かった。



教室では話tれも私達の事を言う人はいなかった。既に皆知っているみたいだ。

「ねぇ。皆。気にして無いから…いつも通りでいて?」

「それで…いいの?佐倉?」

「うん、全てを受け入れないと…前に歩けないから」

「佐倉は強いなぁ」

「私は強くないよ…全然」

私がそう言う事でいつものクラスになったような気がする。

穏やかなゆったりとした空間。かなりレベルの上のクラスなのに、

のんびりした性格のメンバーが集まった結果がこれだ。

私自身もこのメンバーにかなり救われていると思う。

「もう…全て失ったんだもの。何もないんだもの」

私の最後のつぶやきは皆のおしゃべりに消えていった。

大事な物を全て失った私は、何も守るものはないから…。

授業のベルがなって、いつものように授業が始まった。


君が嘘をついたはこれで終了です。第1章はまだ続きます。

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