君が嘘をついた・・・11
K学園の試験の後に、本命のS高校の試験も無事に終わった。
今日は金曜日。明日は塾がある。
ゆう君の事があるから、気まずくて行きたくない気持ちもある。
自分の性格を考えたら…行くだろうな。多分。
どこにいても一人なのは変わらないから。
学校の準備と塾の準備をして今日は早く寝てしまおう。
ベッドに腰をかけた時に、電話が鳴る。この時間なら多分私だから
玄関に急ぐ。
「もしもし?」
「私。静香。S高どうだった?」
電話の相手は静香。試験が終わるまでは電話を控えてくれたようだ。
「受かるんじゃないかな?多分。それよりも…理絵って凄い子なんだね…
私知らなかったよ」
「何?あの子、何かやらかしたの?」
「うん、ここだけの話にして欲しい。それに…明日以降にやらかしてくれそう」
「ふぅん。今日は長くても平気?」
「私は平気だよ。もしかして…何か分かったの?」
私は声の少しだけ小さくする。
「うん、ちょっとだけ。ちいのお金持ちって噂は誰が言っていたのか分かったよ」
「相変わらず…静香は仕事が早いね。言い始めたのは誰?私が目星をつけた中にいた?」
「うん、ちいの言う通りで合ってたよ。安井が扇動して無いこと言っていた。
ちいがS高を受けている間も言っていたよ。ちいは…思い当たること…ある?」
静香に聞かれて、私はふと考えた。
「確証はないんだけども、私がクラスで成績がトップだからじゃないかな?それか…
私一人だけが英検に受かったから?」
英検3級が受かった時に、かなり絡まれたことはしっかりと覚えている。
できたのが気に入らないって言われても…ねぇ…って思ったものだ。
「まぁ、そこらへんでいいんじゃないかな。そう言う事を安井が言ったのと聞いた人が
いるからね」
「そ…なんだ。私、目立たず、ひっそり生活しているのに…」
私はうんざりしながら静香に言う。本当に勘弁して欲しい。私はひっそりと暮らしたい。
「ちいとは関係ない所で皆が言いたい放題だからね。それとね、私達もいるけど…
ちいは一人じゃないよ。安井とあんなに仲が良かったのに、その人も力になってくれるって。
安井を止められなくってごめんねって」
安井と仲が良くって、そんな風に言える人と言えば…あの人しか私は知らない。
「静香…もしかして創君?」
「よく分かったね。ちいの事をずっと気にしていた。創君と9年ずっと一緒なんだってね」
「うん。あえて口にしていないけどね。創君…そんな事も言ったんだ」
「それから、悪い話がもう一つ。ちいが涙を使って男を手玉に取っているって噂がK高を
受けている間に流れたみたい」
…何ですか?それは?本人にも記憶が…ない訳ではないけど。手玉に取ったことはない。
「泣き虫は否定できないけれども…酷い」
私は言葉を続けることができない。あまりにも悪質すぎる。
「それが…C組を中心に広がっているの。おかしくない?」
C組には義人君と雅子ちゃんがいるクラスだ。不自然すぎる。
「余計におかしいね。不自然すぎて。…で、どうなってる?」
「C組はとりあえず、義人と雅子が否定して落ち着いている」
「助かるね。二人には感謝する」
今度会った時に感謝しとこう。私はそう思っていた。