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In other word・・・  作者: トムトム
2章 歩いていこう ~Ich werde gehen.~
113/134

6

「ちい、学校は楽しいか」

「うん」

「何か困っていないか」

「それは理絵の事?それとも混合クラスの事?」

「両方だけど……何かあったのか?」

「理絵とは……写真部の説明会でばったりと。でも入部しなければ回避できるかな。他の方は……私なら平気。あの目線は昔から慣れているもの」

英語と数学の異動の時に感じる視線は泳いでいた時に十分すぎるほど受けていたもの。それを再び受けたからって怯えている様な子供でもない。

「お前に関してはな。そんなに酷いのか」

「いい忘れていましたけど、私……特待生なんですって。急遽決まったみたいで、今度授業料が返還されるそうです」

「お前らしいと言えばそこまでだが……そうなると当然になるか」

「ええ。これからはこの成績を維持しないとならないので、ちょっとプレッシャーですけど……だらける事はないでしょう」

特待生だろうが、普通の生徒だろうが勉強したいからこの学校にいると私は思っている。だらけそうになった時は特待生の自分を思い出せばどうにかなるだろう。

学校の特待生は大きく分けて二種類ある。授業料だけの免除か制服・定期券以外の全てが免除になる特待生のどちらかだ。私の場合は前者で授業料免除の特待生はそれなりの人数がいるらしい。これは同じ条件で通学していると言う勇也君から聞いている。全てが免除になる特待生は、一年生の場合は第一高校に落ちて通学する生徒か君塚高校に落ちて通う生徒のトップ層だろうと言われていた。私が聞いているのは八組にその人はいるらしいと言う事だった。但し二年生からは、校内で行われたテスト等で決まるので、入学時一般生徒でも二年以降は特待生になることもあるようだった。

それと、S校は奨学金制度を独自に持っていて、私も弁護士さんを保証人にして申請をしていた。奨学金は貰えないが、授業料免除の特待生になれたことはかなりラッキーだと思っている。


「クラスの連中とは?どうなんだ」

「上手くいっていると思うけど……どうかな」

「ならいい」

直君はそう言うと私の頭を撫でる。いつもは髪をぐしゃぐしゃにするように撫でてくるのだけど、今日は猫でも撫でているようで……ちょっとだけ怖い。

「ところで、あいつらとベンチで何をやっていたんだ」

「うーん、今日の宿題だよ。教室に戻って解くのもどうかってなったからね」

一通り宿題が終わった彼らに私は先に帰って貰った。私は直君を待っている時間を無駄に使う事はないと思っていたから。私の真意を分かってくれた四人は、また明日と言って帰って行った。

一人でベンチの残った私は、数学の課題プリントを取り出した。前半クラスのグループAは、私以外は全員が付属の出身者だった。今、授業でやっている所は皆は中等部にいた時に既に学習をしていて、私以外は復習を授業でしている状態だった。その為、どうしても授業の進行が早くなってしまうようだ。そんな皆についていける様にと、前半クラスはフォローアップのプリント課題が一般生には出されている。後半クラスにはそのような配慮は一切ないと言う。それだけでも後半クラスからの視線は少しだけ冷ややかな様な気がしている。

プリント課題は、外部の私達は強制参加だけど、中等部は希望者だけ配られると言う。なので、本来なら私と綾瀬君だけの課題プリントを佐藤さん達も貰っていて一緒に宿題をやっていたという事になるのだ。

但し、数学の課題プリントはまだ希望者には渡せないと言って数学の山崎先生は私だけにしかくれなかった。要は皆も解けるレベルの問題ではないということだろう。もしくは、私の数学のレベルと再確認して授業の進行の参考にするつもりなのだろう。そんな英語と数学のグループAは来週から放課後に補習授業が始まる事になっている。今回の金曜日までの課題プリントは私だけがやる事になっている。土曜日からのプリントは中等部でも希望者は貰えるようにすると今日の授業で先生は言っていた。

家にいる理由もないから、委員会が休みの日の補習授業は全て参加する予定でいる。その事を前にまなちゃんに話したら驚かれてしまった。まなちゃんには、私の苦手な物理と化学を教えて貰う事になっている。一方私はまなちゃんに抜き打ちテストの成績が良かった英語と古文を教えることになっている。

二人して苦手な漢文は千世さんに聞く事になっていた。


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