表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
In other word・・・  作者: トムトム
2章 歩いていこう ~Ich werde gehen.~
107/134

「そういえば、佐倉さんは生徒会にも出入りしているよね」

時沢くんにいきなり聞かれる。

「うん、広瀬先輩とは、同じ中学だから私の家の事も分かってくれている一人だし、早く家に帰りたくない私を気にして一緒に途中まで帰ってくれるの。本当は……私は直君に甘えているだけだから、ダメだよね」

私はずっと思っていた本音を思わず漏らしてしまって慌てて手を口元にあてた。こんな事……本当は思っていても言ってはいけないのに……。

「だったら、これからは私達にも甘えてよ。私達も……ちいちゃんって呼んでもいいかな」

「うん。私、ちびっこだから小学校からずっとこう呼ばれるの」

「うんうん。何となく分かるかも。凄く大きかったでしょう?ランドセル」

「時沢君……よく分かったね」

「あれだろ?ランドセルが歩いているってカンジ」

時沢君達は、暫くすると笑い始めた。何を想像しているのか、嫌な程分かる。そのうち綾瀬君まで笑い始めた。

「綾瀬君まで……皆酷いなあ」

「笑うのはちょっと宜しくないな。でも凄く納得。両手で持ってクッキー食べていそう」

「ねえ……私はハムスターじゃないんだけど」

「いやいや、今だってちっちゃくてちょこまかしているし」

「それをハムスターを呼ばないで何と言えと?」

「そんなの、私だって分からないから」

私達はおしゃべりをしながら、次の話し合いの流れを決める事になった。今度のホームルームの前に実行委員の集まりがあるはずだ。既に企画書を書き込む事を前提に書類として形になりつつある。

クラス配置図を大まかに決めている時に廊下から私を呼ぶ声がする。廊下の方向を向くと、そこには直君がいた。


「これは何の集まりだ?」

「文化祭のアイデアの纏めですよ。広瀬先輩」

「ふうん。ずいぶんと早いな」

私達が纏めた企画を覗きこもうとした直君の前に手をかざす。

「そこまでです。生徒会役員は中立と言っても、それ以上はルール違反です。本気で怒りますよ」

「ちぇっ、分かったよ。企画書を提出したら分かる事だしな」

「そう言う事です。過去の文化祭の資料って見せて貰えるのですか?」

綾瀬君が直君に聞いている。確かに過去のデータには私達にとってのお宝があることは確実だ。

「実行委員が見る事は出来るからお前がやれよ」

「はいはい、こんな時間にしかも部活のジャージ……何かあったんですか?」

「あると言えばある。ないと言えばない」

相当歯切れが悪い言い方ですっきりしない。

「はっきりと言って下さい。その言い方……気持ち悪い」

「気持ち悪いって……お前。それはちょっとあんまりじゃないか?」

「いいえ。全く思いません。からかいに来たのなら、とっとと部下にに戻って下さい」

直君が目的を言わないので、私は直君に退場を言い渡す。

「分かったよ。今日は作業終了か?」

「終わりにしようとお思えばできるけど?それがどうかしたの」

「悪い。こいつを連れて行ってもいいか」

連れて行くってどこに?かなり嫌な予感しかしない。断ったらダメなのだろうか」

「私は、何をしたらいいの」

「お前にとっては楽な事さ、今でも両手でストップウォッチやれるのか?」

「その位って言えたらいいけど、流石にコンマゼロイチまでは今は無理だよ」

「十分。やっぱりお前来い」

「行かなきゃだめでしょ。分かった」

その時、手伝うと答えた事が後々トラブルの元になって戻ってくるとはその時は思っていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ