第Ⅰ章 第Ⅰ話 ~魔術師1/2~
「この付近に居るはずだ、探し出せ!」
「ハァ、ハァ……ハァ、クソ、が」
夜遅くの今はその影が無くなった繁華街での出来事。
数人の黒いスーツ姿の男達が、その中のチーフである者に指示されながら抉れた地面を踏みしめ辺りを散策し始める。
そんな男達を影で見つめる少年が一人。
その服はもはやただの布になるまで切り裂かれ、その切り裂かれた場所から皮膚が破れ、血を垂れ流している。
明かに重症だが、少年はそんな事をお構いなしに体を持ち上げ、男達の死角である路地裏の奥にふらつく体を壁に預けながら真っ直ぐに進んで行く。
少年が歩くたび、血が崩れたコンクリートに斑点を作る。もはや出る血は残り少ないと言うように。
「ッハ、ッハ。とぉ……はは」
体をぐらつかせ、その場に力無く倒れこむ。
「ここまでかよ」、少年は小さく呟き重い瞼閉じる。
血がコンクリートを伝って流れていく。
少年は血が体から抜けるのを感じながら朦朧とする意識を手放した。
「……――、……ですね」
最後に聴き覚えの無い声を聴いて。
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ある街から外れた場所。
そこは朝でも、昼でも、夜でも暗くじめじめとした場所。
よく御伽噺で出る魔女が住む森を想像してもらうと分かり安い。
木が高く林立し、その力強い緑の葉で太陽の光を防いでいるのだ。
雨が降れば地面がぬかるんだまま、太陽の光が入らない場所なため地面が乾かず、その場から草が生え、またそれが自生するだけには生命力が強すぎるものだったりする。
そんな物が地面のそこらから生え、人が入ろうとすれば必ずその進行を妨げるものになる。
それよりも厄介なのが生えた植物の種類だ。
例えばその花粉は幻覚を見せるものだったり、葉から毒を分泌させたり・・・そんな類のものばかりだった。
もちろんそんな場所に獣がいるわけがなしに、少しでも足を踏み入れれば最後、明らかな死が待っているのは目に見えていた。
そんな場所を人が近づくわけが無い。
そう近づくわけが無いのだが、そんな植物達が乱れ咲く奥深くに一つ、もはや豪邸と言えるほどの屋敷が堂々と門を前に建っている。
その屋敷周辺はもはやその場に似つかない別世界だった。
一年中暗く、じめじめしているわけでも木が身勝手に乱立しているわけでもなく、地面が常にぬかるんでいるわけでもなく、ましてや害になる草花が咲いているわけでもない。
そこだけは太陽の光が入り、その屋敷を目掛けるように明るい光で暖かく照らしていた。
その屋敷の庭には風が少し吹けば心地よい香りを出し、綺麗な色合いでやさしく揺れ動く花達。均等に並列した木々。
その中心に勢いよく水を噴出す噴水は、太陽によって綺麗水を輝かしていた。
そんな庭の奥にある大きく建つ一軒の屋敷。
その表札には擦れた文字でこう書かれている。
『神路魔』と。
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どうもRaja&Yです。
さてはて執事の方の更新は後ですることにして・・・・。取りあえず魔術師更新です。短いですがご勘弁ください。
いやぁ・・・読んでくださるのか不安ですが、またちょくちょく更新しますのでこちらもよろしくお願いします。
次回予告
第Ⅰ章 第Ⅰ話 ~魔術師~
「・・・ここは何処だ?」
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