ゾンビに好かれないでも君には好かれたい
第1話「ゾンビ天国と、俺だけの結界」
【あらすじ】
ゾンビアウトブレイク発生から三日目。大学生・桐島悠斗(20歳)は、なぜかゾンビが自分に近づかないという不思議な体質を持っていた。逃げ込んだ郊外の大型ショッピングモール「アクアモール」には、偶然生き残った女性たちが立てこもっていた。
【シーン① ゾンビの海の中、一人でコンビニ飯】
世界が終わったというのに、悠斗はモール内のコンビニでカップ麺をすすっていた。周囲をうろつくゾンビたちは、悠斗の半径三メートル以内に入ると、まるで見えない壁に弾かれたように引き返していく。
「なんか、ゾンビに嫌われてる……俺、人間にも嫌われてたのに」
苦笑いしながらカップ麺を啜る悠斗。その背後でシャッターが激しく叩かれた。
【シーン② 美女12人との出会い】
シャッターの向こうに、血相を変えた女性たちがいた。倉橋凛が全員を率いて「開けてくれないと死ぬ!」と叫んでいる。悠斗がシャッターを開けた瞬間、12人の女性がなだれ込んできた。
「あなた……なんでゾンビが近づかないの?」凛が怪訝な顔をする。
「わかんないです。生まれつき体臭がヤバいのかも」
「臭くない!」全員が思わずツッコんだ。
【シーン③ ラッキースケベ①――白石ひなの大転倒】
落ち着きを取り戻した一行が二階に移動しようとした時、天然ドジの白石ひな(20歳)が階段でつまずいた。
「きゃっ!」
ひなが前のめりに倒れかかり、悠斗が咄嗟に受け止めた。その拍子に、ひなのスカートが悠斗の顔にかぶさる形になってしまった。視界がふわふわのレースで覆われ、甘い香りがする。
「……っっっ!」
「だ、大丈夫ですか?!」
ひなが飛び起きると、悠斗の顔が真っ赤だった。
「全然大丈夫じゃないです……心臓が」
「え、怪我したの?!」
「違う意味で」
凛が冷たい目で「さっそくか」と呟いた。
【シーン④ それぞれの自己紹介と拠点確保】
元気なあかりが「みんな自己紹介しよ!」と仕切り始め、12人がそれぞれ名乗っていく。七瀬ことりはすでにモールの見取り図を広げてルートを解析中。安西玲奈はフードコートの在庫確認をしている。
「頼もしすぎる……」悠斗が感嘆すると、玲奈がジロリと見た。
「あんたが盾になってくれれば効率よく動ける。体張ってよね」
「は、はい」
「返事が素直でよろしい」
玲奈がそっぽを向いた瞬間、口角がわずかに上がっていた。
【シーン⑤ 初夜、眠れない屋上で】
夜。モール屋上で悠斗は一人、町を見渡していた。どこもかしこも暗く、遠くでゾンビの呻き声が漏れ聞こえる。
「……ちゃんと守れるかな」
隣に凛が来て、無言で缶コーヒーを差し出した。
「あなた、ゾンビを遠ざけられる以外は普通の男の子なんでしょ」
「そうです」
「それでいい。普通でいてくれた方が、みんな安心できる」
悠斗は缶コーヒーを握りしめ、静かに頷いた。
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第2話「フードコート制圧と、お腹の音は正直だ」
【あらすじ】
食料確保のためフードコートを拠点化する作戦を実行。玲奈の采配で食事が充実し始めるが、悠斗はまたしてもハプニングに巻き込まれる。
【シーン① 玲奈の料理タイム】
安西玲奈がフードコートのキッチンを完全掌握し、手際よく炒め物を作り始めた。香ばしい匂いがフロア全体に漂う。
「うっわ、めちゃくちゃいい匂い!」あかりが駆け寄ってくる。
「近づくな邪魔。あんたは洗い物でもしてて」
「えー!でもー!」
「でもじゃない」
あかりが逃げていくのを見届けながら、玲奈は小さく微笑んだ。
【シーン② ラッキースケベ②――試食タイムの悲劇】
「ちょっと、悠斗。味見して」
玲奈がスプーンを差し出した。悠斗が身をかがめたその瞬間、背後からのぞみが「味見?!私も!」と飛び込んできて悠斗の背中に激突。悠斗は前のめりになり、顔がそのまま玲奈の胸元に埋まった。
「――っ!!!」
「な、なにしてんの!!」
玲奈の平手打ちが炸裂した。頬が真っ赤な悠斗。
「ごめんなさい……のぞみさんが……」
「のぞみのせいにしない!」
「してる!してる!俺は完全に被害者!」
のぞみが「ごめんなさいごめんなさい」と土下座している横で、玲奈の耳が真っ赤になっていた。
【シーン③ ことりの情報収集】
七瀬ことりが防災センターのパソコンを起動し、モール全体の監視カメラを掌握した。
「悠斗さん、ゾンビの動きにパターンがあります。夜は動きが鈍くなる。昼間に食料を確保して、夜は休む。基本的にはゲームのルールと同じです」
「ことりさん、ゲームやりすぎた人生が役に立ってる……」
「……褒めてます?」
「最大級に褒めてます」
ことりがうつむいて、小さく「えへへ」と笑った。
【シーン④ 夕食、みんなで囲む温かさ】
玲奈の作ったリゾットを全員で食べる。誰も何も言わなかったが、しばらくして夕が静かに言った。
「こんなに美味しいもの、外食でも食べたことなかったかも」
「あたし、高級な食材なんて使ってないけど」玲奈がそっぽを向く。
「だからかもしれない」
夕の言葉に玲奈が振り向いたが、もう夕は静かにスプーンを口に運んでいた。
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第3話「服を調達せよ!ファッションフロアの罠」
【あらすじ】
着替えが必要になりファッションフロアへ。黒木沙良が案内役を買って出るが、悠斗に次々と試練が降り注ぐ。
【シーン① 沙良のクールな提案】
「服はできる限り動きやすいものを優先すべきね」
黒木沙良が淡々と言いながら、セレクトショップの棚を見て回った。黒いジャケットをさらりと羽織り、鏡の前でくるりと回る。どこか猫のような動きだった。
「沙良さん、モデルみたいですね」悠斗が思わず言うと、沙良は眉をピクリとさせた。
「……そういう話は後で」
「え、あとで?」
【シーン② ラッキースケベ③――試着室の悲劇】
在庫確認のため、悠斗が試着室のカーテンを開けたら、着替え中の沙良が立っていた。
「――!」
沙良が素早くシャツで胸を隠した。悠斗は瞬時に顔を背けたが、一瞬だけ見てしまった白い肌と驚いた沙良の顔が網膜に焼き付いてしまった。
「……ノックしなさい」
「ごめんなさい!カーテンだからノックできなくて!」
長い沈黙ののち、沙良がため息をついた。
「まあ……見られた程度で気絶するほど繊細じゃないから、いいわ」
「ほんとに?」
「ほんとに。でも、次に同じことをしたら三日間口を聞かない」
悠斗はその後、試着室の前では必ず「すみません」と声をかけるようになった。
【シーン③ 実は動物大好きな沙良】
ペットショップコーナーを通り過ぎた時、沙良が突然立ち止まった。ショーウィンドウの中に残された仔猫が一匹、ガラスを引っかいていた。
「……連れていく」
「え、でも世話が」
「連れていく」
語気が強くなった。悠斗が口を挟む余地はなかった。こうしてモールに猫の「ゾンちゃん」が加わった。
「ゾンちゃん、いい名前ですね」悠斗が言うと、沙良がそっぽを向いて「うるさい」と呟いたが、頬が赤かった。
【シーン④ めいのライブ配信疑惑】
高瀬めいがスマホを向けてきた。
「ねえ悠斗、インタビューしていい?『ゾンビが来ない男』ってコンテンツ、絶対バズる」
「電波ないでしょ」
「……あ、そうだった。まあいい、記録用!」
めいが張り切ってスマホを構えた。その後ろでゾンちゃんが悠斗の肩によじ登ろうとしていた。
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第4話「ゾンビ対策会議と、ひなの秘密」
【あらすじ】
ことりの分析でゾンビの動向が判明。みんなで対策会議を開くが、白石ひなが「実は頭が良い」という隠れた一面を見せる回。
【シーン① 対策会議スタート】
監視カメラの映像をプロジェクターに映し、ことりが解説する。
「ゾンビは悠斗さんの半径三メートルを避けます。ということは、悠斗さんが先行すれば安全ルートを作れる。私はこれを『悠斗シールド戦術』と名付けました」
「名前やめて」悠斗が顔を赤くした。
【シーン② ひなのサプライズ分析】
ふんわり笑顔でいつもぼーっとしているひなが、突然手を挙げた。
「あの、ゾンビの回避半径って、悠斗さんが動くと一緒についてきますよね。だったら、ゾンビを一か所に集めて他の子が安全に物資回収できるんじゃないかな」
全員が沈黙した。ことりが「……そ、それは私が次に言おうとしていた」と呟いた。
「ひなさん、賢いんですか?」悠斗が目を丸くすると、ひなが困ったように笑った。
「普通に大学の理学部なんです。ドジなだけで」
「ドジと頭の良さが共存してる……!」
【シーン③ ラッキースケベ④――作戦説明中の事故】
ひなが地図を指さして説明しようとした拍子に、足がテーブルの脚に引っかかった。前のめりに倒れ、悠斗の胸に顔を埋めるように倒れ込んだ。胸元のボタンが二つほど外れてしまい、ひなの白い鎖骨と谷間が悠斗の視界に飛び込んできた。
「ひゃあ!」
「あ、あのっ……」
悠斗が素早く目を逸らし、ひなのシャツのボタンを直そうとして手がぶるぶる震えた。
「ごごごめんなさい、私がドジで……!」
「いえ、いい、大丈夫、俺は全然……(全然大丈夫じゃない)」
のぞみが「また事故!」と爆笑した。
【シーン④ 夜のひなとの会話】
その夜、一人でいたひなに悠斗が声をかけた。
「今日の作戦案、すごく良かったですよ」
「あんまり賢いって言わないでください。ドジなせいで信じてもらえないから」
「俺は信じます。今日だけで十分わかった」
ひなが少し驚いたように悠斗を見た。そして静かに微笑んだ。
「……ありがとうございます、悠斗さん」
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第5話「映画館の夜と、宮本つばさの独白」
【あらすじ】
モール内の映画館を発見。電気を一部復旧させた夜に映画上映会を開催する。文学乙女・宮本つばさが本音を打ち明ける、今期最初の感動回。
【シーン① 映画館の発見】
ことりが「四階に映画館があります!発電機から電気を引けばスクリーンが使える」と報告。みんなが歓声を上げた。
「見たい映画ある?」めいが聞くと、つばさが「恋愛映画がいいです」と即答した。
【シーン② 上映前のひとこと】
ポップコーン代わりに玲奈がバターコーンを作った。みんながシートに座り、大きなスクリーンに映画が流れ始める。悠斗の隣にたまたまつばさが座った。
【シーン③ 映画の途中、つばさが泣く】
映画の中盤、主人公が大切な人との別れを選ぶ場面でつばさが泣き出した。静かに、でも肩を震わせながら。悠斗は気づかないふりをしたが、つばさが「……見ないでください」と囁いた。
「見てないです」
「嘘。見てました」
「少し見てました」
【シーン④ つばさの独白 ――感動シーン――】
上映後、二人でロビーに残った。つばさが静かに話し始めた。
「私、ゾンビが出る前に書いていた小説があって。主人公が自分の気持ちを誰にも言えないまま世界が終わる話で。なんか……今の状況に似てるなって」
「どんな気持ちを?」
つばさはしばらく黙ってから言った。
「好きな人がいたんです。大学の先輩で。でも言えなくて。言えないまま、連絡が途絶えて。今どこにいるかもわからない」
悠斗が何も言えずにいると、つばさが笑った。泣きそうな笑いだった。
「小説だとね、感動的な再会が書けるんですよ。でも現実って、続きが書けなくなるんですね」
「……続きを、いつか書けるといいですね」
つばさが驚いたように悠斗を見た。そしてゆっくり頷いた。
「そうですね。続きを書く理由が、少し増えた気がします」
【シーン⑤ 翌朝】
つばさが悠斗にノートを差し出した。
「昨日の話、小説にしてもいいですか。あなたのこと、書きたいと思って」
悠斗が「俺みたいなのが主人公で大丈夫ですか」と言うと、つばさが小さく笑った。
「大丈夫です。あなたって、実はすごく物語向きだと思うので」
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第6話「屋上菜園計画と、東城美月の弱点」
【あらすじ】
長期籠城に備え屋上で野菜を育てる計画が始動。元フィットネストレーナーの東城美月が仕切るが、水やりトレーニングが悠斗への特訓になり、思わぬ接近が生まれる。
【シーン① 美月の野望】
「屋上に土と種がある。私が管理する」美月が腕を組んで宣言した。
「できるんですか?」悠斗が聞くと、美月がキリッと答えた。
「わからん。でもやる」
「それ、トレーナー的な精神論ですね」
「うるさい。補助しろ」
【シーン② 早朝トレーニングに巻き込まれる悠斗】
美月が毎朝六時に屋上でトレーニングを始め、悠斗を強制参加させた。
「腕立て二十回!」
「なんで俺が……」
「あなたが歩き回ってくれないとゾンビが散らばる。体力必要でしょ」
「理屈が合ってる……!」
【シーン③ ラッキースケベ⑤――水やり事故】
悠斗がホースで屋上菜園に水をやっていたとき、ホースの接続が抜けて水が逆噴射した。真後ろにいた美月がびしょ濡れになった。薄いジャージが肌に張り付き、美月の体のラインが浮かび上がる。
「……」
「す、すみません!!」
美月が静かな目で悠斗を見ていた。怒るかと思ったら、深呼吸した。
「謝罪は受け入れた。でも」
「でも?」
「タオルを持ってきなさい。走って」
「はい!!!!」
悠斗が全力で駆け出したあと、美月は一人でぎゅっと胸を押さえた。なんか、心拍数が上がってる。
【シーン④ 美月の弱点――高いところが怖い】
屋上の端から町を見渡そうとした美月が、急に顔色を変えた。
「……あの、美月さん?」
「なんでもない」
「顔色が」
「なんでもない!!」
美月が素早くフェンスから離れ、悠斗の袖を無意識につかんでいた。
「……高いところが苦手で。言わないでよ」
「絶対言いません」
「ほんとに?」
「ほんとに。でも手は……」
「わかってる。離す」
美月がゆっくり手を離したが、その頬は耳まで赤かった。
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第7話「ラジオ放送と、田中のぞみの涙」
【あらすじ】
モール内にあるFMラジオ局の設備を発見。めいの提案で「生存者向け放送」を始めることになる。のぞみが放送中に感情を爆発させる感動エピソード。
【シーン① ラジオ局の発見】
ことりが「五階にコミュニティFMのサテライトスタジオがあります。電力さえあれば放送できます」と報告した。めいが「絶対やろう!」と飛びついた。
「外の生存者に届くかもしれない」悠斗が言うと、全員が顔を上げた。
【シーン② 放送開始】
つばさが台本を書き、めいがMCを担当。悠斗も出演した。
「こちらはアクアモールFM。生存者の皆さんへ。私たちはここで生きています。あなたも、どこかで生きていてください」
めいが明るい声で読み上げた。誰かに届くかどうかわからないが、送り続けることにした。
【シーン③ のぞみの番】
次の放送でのぞみがマイクを握った。「なんか、言いたいことがある」と言って台本なしで話し始めた。
「あの、私……バスケのチームメートが十二人いて。アウトブレイクのとき、みんなとバラバラになって。今どこにいるかわからなくて。もし聞こえてたら、元気でいてください。私は元気です。ちょっと、泣いてるけど」
のぞみの声が震えた。堪えようとしているのに涙がぼたぼた落ちた。
【シーン④ 悠斗が隣に座る ――感動シーン――】
悠斗が静かにのぞみの隣に座り、放送中なのにそっと手を握った。のぞみが驚いて悠斗を見た。
「放送中ですよ」悠斗が囁くと、のぞみが「わかってる」と囁き返した。
そのままのぞみは続けた。
「私は、新しい仲間ができました。十三人。みんな、めちゃくちゃいい人たちです。だから……だから大丈夫です。元気でいてください」
放送が終わった後、のぞみは悠斗の手をしばらく離さなかった。
【シーン⑤ 翌日のメッセージ】
翌朝、モールの外に石で文字が書かれているのをことりが監視カメラで発見した。「聞こえた。生きてる。ありがとう」
のぞみがその映像を見て、また泣いた。今度は笑いながら。
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第8話「温泉スパとラッキーな悲劇の夜」
【あらすじ】
モール内にスパ施設があることが判明。女性陣が入浴を楽しむ中、悠斗が連続でハプニングに巻き込まれる激動の回。
【シーン① スパ発見!】
「六階にスパ施設があります。タオルも大量在庫」ことりが報告すると、女性陣から歓声が上がった。
「お風呂!!!」あかりが飛び上がった。
「順番で使いましょう。男女で時間帯を分けて」凛が仕切った。
悠斗に割り当てられたのは深夜一時から。それまで警備担当。
【シーン② ラッキースケベ⑥――脱衣所の悲劇】
深夜一時、悠斗がスパに入ろうとドアを開けた瞬間。中から篠崎夕が出てきた。タオル一枚を身に巻いただけの状態で。
「きゃ!」
タオルがすべり落ちそうになり、夕が慌てて押さえたが上半分があらわになった。悠斗が即座に顔を両手で覆った。
「すすすすみません!時間を間違えました!」
「わ、わたくしこそ!長湯してしまって!」
夕がすごい速さで逃げていく。その後ろ姿を見送りながら悠斗は壁に頭を当てた。
「なんで俺の人生こうなってんだ……」
【シーン③ ラッキースケベ⑦――湯気の中の再会】
なんとか入浴した悠斗が出ようとしたら、浴室のドアが外から開かなくなっていた。悠斗が内側から押した瞬間、外でドアノブを引いていた凛と鉢合わせ。凛は防水用のバスローブを着ていたが、ドアの勢いで悠斗の胸に飛び込んできた。
「――っ」
「すみません!!」
「……謝りすぎ」
凛が悠斗の胸から顔を上げた。二人の顔が数センチの距離にあった。
「あなた、汗くさいかと思ったらそんなことないのね」
「お風呂上がりなので」
「……そう」
凛が静かに身を引いた。その耳が赤かったことに、悠斗だけが気づいた。
【シーン④ 夜中のめいのインタビュー】
「今日の感想は?」めいがスマホを向けてくる。
「感想どころじゃない。心臓が三回止まった」
「ゾンビよりやばいね」
「ゾンビよりやばい」
二人で深夜に笑い転げた。
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第9話「外の世界と、あかりの約束」
【あらすじ】
モール外の様子を調査する小規模な外出任務。明るく元気なあかりが、実は幼い弟のことを心配して胸を痛めていたことが判明する感動回。
【シーン① 外出任務】
「半径五十メートルの物資確認。悠斗さんが前に出れば安全に動ける」ことりが淡々と説明した。小さなチームで外に出ることになった。悠斗、あかり、美月の三人。
【シーン② 外の静けさ】
モールの外は静まりかえっていた。ゾンビたちは悠斗の気配を感じると、ぞろぞろと離れていく。あかりが「ほんとに避けてく〜!」と無邪気に笑ったが、どこかぎこちなかった。
【シーン③ パン屋の跡地】
近くに小さなパン屋があった。あかりが立ち止まって看板を見た。「こんな感じの店、うちの実家もパン屋なんです」と静かに言った。
「実家、家族は?」美月が聞いた。
「……弟がいて。小学三年生で。アウトブレイクのときに離れちゃって」
あかりの声が少し揺れた。でもすぐに笑顔に戻った。
「大丈夫です!あいつ、頑張り屋だから!」
【シーン④ あかりの本音 ――感動シーン――】
モールに戻る途中、あかりが急に立ち止まった。
「悠斗さん」
「なんですか?」
「弟に会えると思いますか。正直に言ってください」
悠斗は少し考えてから答えた。
「わかりません。でも、諦める理由もないと思う」
「……そうですよね」
「あかりさんが毎日元気でいることが、弟さんへの連絡になってると思います。生きてるってわかるから」
あかりが鼻をすすった。
「……悠斗さん、さらっとすごいこと言いますね」
「思ったこと言っただけです」
「そういうとこ、ずるい」
あかりが少しだけ泣いて、でもすぐに笑った。本物の笑顔で。
【シーン⑤ あかりの決意】
モールに戻ったあかりが、ラジオ局のスタジオに入り、一人でマイクを握った。
「弟へ。お姉ちゃんはアクアモールにいます。元気です。毎朝六時と正午に放送します。聞こえてたら、石に文字を書いてください。待ってます」
放送後、悠斗がドアの外に立っていた。
「ずっとそこにいたんですか」あかりが言うと、悠斗が頷いた。
「聞こえてるといいですね」
「……うん」あかりが今度こそ声を上げて泣いた。
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第10話「ゲームセンターで遊ぼう!ことりの隠れた才能」
【あらすじ】
モール内のゲームセンターを開放してリフレッシュタイム。いつも地味なことりがUFOキャッチャーとリズムゲームで大活躍し、思わぬ形で悠斗との距離が縮まる。
【シーン① ゲームセンター開放宣言】
「みんなのストレス発散が必要です」ことりが珍しく自分から提案した。
「ことりが提案するとは!」めいが大げさに驚いた。
「人間には娯楽が必要です。データが示しています」
「データって」
【シーン② ことりの本気】
リズムゲームの筐体でことりが動き始めた瞬間、全員が沈黙した。指の動きが異次元だった。最高難度を全クリしてハイスコアを更新していく。
「ことりさん……人間ですか?」
「人間です。ただ、このゲームは三万時間やりました」
「三万時間!!!」
【シーン③ ラッキースケベ⑧――UFOキャッチャーの悲劇】
悠斗がUFOキャッチャーに挑戦して全部失敗していると、ことりが隣に来た。
「やってみます」
ことりが身をかがめてガラスに顔を寄せた瞬間、悠斗がアームを操作しようとして肘を動かしたら、ことりの眼鏡をはじき飛ばしてしまった。ことりが眼鏡なしで悠斗のほうを向いた。
「あ……眼鏡が」
眼鏡なしのことりの顔が、びっくりするくらい可愛かった。悠斗が言葉を失う。
「どこ飛びましたか……目が悪くて」
「あ、ここです」
悠斗が拾って渡すと、ことりがかけた。
「……さっき、何か言いそうでしたよね」
「いや、何も」
「本当に?」
「……眼鏡なしも、似合ってると思いました」
ことりが固まった。五秒後に「そうですか」とだけ言って、画面に向き直った。耳が真っ赤だった。
【シーン④ ことりが笑った】
UFOキャッチャーでぬいぐるみを取ったことりが、初めてにっこり笑った。普段の無表情から一変した笑顔に悠斗が目を丸くした。
「笑うじゃないですか」
「笑います。ゲームに勝った時は」
「笑顔、すごくいいですよ」
ことりがまた固まった。今度は十秒だった。
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第11話「料理対決と、玲奈の不器用な優しさ」
【あらすじ】
食料の在庫整理をきっかけに料理対決が勃発。玲奈対あかりの真剣勝負の審判を悠斗が担当するが、玲奈の本音が少しずつ漏れ出す回。
【シーン① 料理対決の始まり】
「在庫の中で一番美味しいものを作った方が今後のメニュー権を持つ」玲奈が宣言した。
「受けて立つ!」あかりが即座に名乗りを上げた。
「あんたじゃ勝てないよ」
「なんで!お父さんに叩き込まれた料理があるもん!」
こうして料理対決が始まった。審判は悠斗。
【シーン② 真剣な二人と困る悠斗】
玲奈が手際よく複雑な煮込み料理を作る横で、あかりがパンを焼いた。どちらも本気だった。
試食した悠斗が「……どちらも美味しすぎてわかりません」と正直に言うと、二人に同時に睨まれた。
「判定から逃げるな」
「逃げてない!本当に優劣つけられない!」
【シーン③ ラッキースケベ⑨――試食中の事故】
二品目を試食しようとした悠斗が、玲奈の煮込みスープを一口含んだ瞬間に「熱っ!」とむせた。玲奈が慌てて背中を叩き、そのまま前のめりになった悠斗の頭が玲奈の胸元に吸い込まれた。
「――っ!!な、何してんの!!」
「むせたんです!!!」
玲奈の平手打ちが再度炸裂した。
「三度目!」悠斗が叫ぶと、「うるさい!!」と玲奈が叫んだ。あかりが爆笑している。
【シーン④ 玲奈の不器用な優しさ】
夜、悠斗が一人でいると玲奈が来て黙って夜食を置いていった。
「……食べなよ。ちゃんと審判やってくれたし」
「ありがとうございます。勝負はどうしますか」
「引き分け。あかりのパンは認めてやる」
「玲奈さんが認めるってすごいですね」
「うるさい。もう寝なさい」
玲奈が立ち去ろうとして、振り返った。
「……ちゃんと食べてね。あなたが倒れたら全員困るから」
「それだけですか」
「それだけ」
玲奈の後ろ姿の耳が赤かった。
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第12話「停電の夜と、ゾンビの向こうの星空」
【あらすじ】
1期前半最終話。突然の停電でモールが暗闇に包まれる。怯える女性陣を悠斗が守りながら、屋上で全員で星空を眺める感動のクライマックス回。
【シーン① 突然の停電】
深夜、すべての電気が消えた。ことりが「発電機の燃料が切れました」と暗闇の中で報告する。
スマホのライトだけを頼りに全員が集まる。
【シーン② ラッキースケベ⑩――暗闇の中の混乱】
真っ暗な中、誰かが悠斗の腕にしがみついてきた。複数人だった。
「悠斗さん」「悠斗くん」「ゆーと!」
気づけば両腕に三人、肩に一人がしがみついていた。
「みんな、落ち着いて」
「暗いのが苦手で……」ひなが震える声で言った。
「俺の体が一つしかないんですが」
「なんとかして」凛が珍しく真剣な顔で言った。
「……わかりました。全員、声だして確認してください」
一人ずつ名前を言って、悠斗が「います、います」と答えていくと、少しずつ笑い声が漏れ始めた。
【シーン③ 屋上へ】
「ここで待っているより」悠斗が言った。「屋上に行きましょう。星が見えるかもしれない」
停電で光害のなくなった夜空には、信じられないほどの星が輝いていた。
【シーン④ 星空の下の告白 ――感動シーン――】
12人が並んで夜空を見上げた。誰も何も言わなかった。しばらくして夕が静かに言った。
「生まれて初めて、こんなに星を見ました」
「私も」のぞみが言った。
「みんなも?」悠斗が聞くと、全員が頷いた。
凛が静かに口を開いた。
「ねえ悠斗。あなたがいなかったら、私たちここにいなかった」
「俺はただ、ゾンビに嫌われてるだけです」
「それだけじゃない」凛が首を振った。「あなたがいるから、みんながここにいられる。体質じゃなくて、あなた自身が」
全員が頷いた。悠斗が少し目を赤くした。
「……ありがとうございます」
あかりが「泣いてる!」と言い、めいがスマホを向け、美月が「記録しておきなさい」と言い、ことりが「きれいなので保存します」と言った。
笑い声が星空に上がっていった。
【エンド】
翌朝、ことりが燃料を別の場所から確保してきた。電気が戻り、ラジオ放送が再開された。
悠斗は屋上で一人、昨夜の空を思い出していた。
(俺、ちゃんと守れてるのかな。……でも、守りたいと思ってる。それは本当だ)
遠くで鳥が鳴いた。世界はまだ、続いている。
【次回予告】
第2期では、外の生存者との接触が始まり、ヒロインたちとの関係がさらに深まっていく。12人の想いが交差するとき、悠斗の選択は——?
第13話「外の生存者と、初めての選択」
【あらすじ】
ラジオ放送に応じた外の生存者グループがモールを訪問。中に若い男性が一人含まれており、ヒロインたちの態度が微妙に変化して悠斗が焦り始める。
【シーン① 来訪者の到着】
ことりの監視カメラが外の人影を捉えた。五人組の生存者グループ。リーダーは中年の女性で、他に二十代の女性二人、中年男性一人、そして悠斗と同年代の男性が一人いた。
「受け入れますか?」ことりが全員に聞いた。
「当然」凛が迷わず言った。
【シーン② 新しい仲間と微妙な空気】
生存者グループが加わり、にぎやかになるモール。問題は来訪者の男性・橘健(21歳)がかなりのイケメンで、しかも元バンドマンという経歴を持っていたことだった。
のぞみが「お、めちゃくちゃかっこいい……」と呟いた。
悠斗の胸の中でなんか変な感情が芽生えた。
【シーン③ ラッキースケベ⑪――体操服試着事件】
スポーツ用品コーナーで体操服に着替えたのぞみが「動きやすくていい!」と走り出したら、悠斗の背後から突っ込んできて背中に激突。二人が倒れた拍子にのぞみのジャージの上が捲れ上がり、お腹と背中があらわになった。その上に悠斗が体を預ける形になった。
「のぞみさん!大丈夫ですか!」
「悠斗くんが重い……でも柔らかくない……筋肉……」
「何の感想ですか!?」
健が「仲いいですね」と羨ましそうに言った。なんか悠斗の胸のモヤが少し晴れた。
【シーン④ 健の正直な話】
夜、悠斗と健が二人で話した。
「桐島さん、すごいですよ。あんなにみんなに慕われて」
「ゾンビが来ないだけですよ」
「違うと思います。みんな楽しそうに話してる。あなたと話すとき特に」
悠斗がじっと健を見た。
「……健さん、いい人ですね」
「そうですか。でも、あなたには敵わないと思います」
「なんで」
健が苦笑いした。
「女の子全員があなたの方を見てるから」
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第14話「文化祭ごっこと、篠崎夕の庶民体験」
【あらすじ】
モールの中で「文化祭」を開催することになった。篠崎夕がお嬢様育ちゆえに庶民的な楽しみを何も知らないことが発覚し、悠斗が手取り足取り教える回。
【シーン① 文化祭の提案】
「気分転換に何か催し物を」凛が提案すると、全員が賛成した。模擬店、縁日、ゲーム大会。一日だけモールを「文化祭会場」にする計画が始動した。
【シーン② 夕の衝撃告白】
「わたくし、文化祭というものに参加したことがございません。エスカレーター式の女子校でしたので」
「じゃあ射的も?」「ございません」「わたあめも?」「存じません」「金魚すくいは?」「……金魚とはなんですか」
「魚です!!!」
【シーン③ ラッキースケベ⑫――わたあめ格闘事件】
悠斗がわたあめを自作してみたら大きくなりすぎた。夕がそれを食べようとして顔に貼り付いた。悠斗が「取りますね」と顔を近づけてわたあめをはがそうとした瞬間、夕がびっくりして顔を動かし、悠斗の唇が夕の頬にキスするような距離になった。
「――!!!」
「わわわ、失礼しました!」
「い、いいえ、その……わたくしが動いたのですから……」
夕の顔が真っ赤だった。耳まで赤かった。
「……悠斗さんの唇は、柔らかいのですね」
「夕さん!?」
「失言でした。忘れてください」
【シーン④ 夕の感動体験】
金魚すくいで夕が初めて金魚を救い上げた。その瞬間、夕が「取れました……!」と呟いて目を潤ませた。
「こんなことで感動するとは思いませんでした」
「いや、普通に感動しますよ」
「……悠斗さんは、普通のことが上手ですね」
「褒めてますか、それ」
「最大級に褒めています」
夕が静かに微笑んだ。その笑顔を、悠斗はしばらく忘れられなかった。
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第15話「非常階段の告白と、藤野桜の過去」
【あらすじ】
元看護師の藤野桜が、「助けられなかった人」への罪悪感を抱えていたことが明らかになる感動回。悠斗との非常階段での対話が桜の心を解きほぐしていく。
【シーン① 桜の過度な心配】
藤野桜はモールの「医務室」を自分で整備し、誰かが少しでも体調を崩すと飛んできた。
「悠斗さん、顔色がすこし悪いです。脈を見せてください」
「普通ですよ」
「普通かどうかは私が判断します」
桜の真剣な顔に悠斗が思わず従うと、桜は黙って脈を測り続けた。
【シーン② 非常階段で見つけた桜】
深夜、悠斗が非常階段を通ると桜が一人で壁に背を預けていた。
「眠れないんですか?」
「……はい」
隣に座った悠斗に、桜がぽつりと言った。
【シーン③ 桜の独白 ――感動シーン――】
「アウトブレイクが始まった日、病院にいました。患者さんが何人もいて、でも逃げないといけなくて……一人、動けない患者さんがいて、でも私は逃げてしまって」
桜が膝に顔を埋めた。
「ずっと、その人のことを考えています。助けに戻ることができなかった。もし私がもっと力があったら、もっと判断が早かったら……」
「桜さん」悠斗が静かに言った。「あなたは今、ここで全員の体調を見てくれてる」
「それは」
「それは逃げたことの言い訳じゃなくて、あなたが看護師だからだと思う。その人を助けられなかった痛みを、ここで全員に向けてる。俺はそう見てます」
桜が顔を上げた。目が潤んでいた。
「……そんなきれいなものじゃないかもしれません」
「きれいかどうかはわからないですけど、本物だと思います」
桜が長い間黙っていた。そして静かに言った。
「……ありがとうございます。少し、楽になりました」
【シーン④ 翌朝の桜】
翌朝、桜がいつもより穏やかな顔で医務室の整理をしていた。悠斗が通りかかると、桜が「おはようございます」と言って微笑んだ。昨夜の重さが少し取れた笑顔だった。
「今日も顔色いいですね、悠斗さん」
「診察いらないですよ」
「念のため」
「念のためばっかり」
桜が「クスッ」と笑った。悠斗は、その笑い声を聞いて少し嬉しくなった。
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第16話「ゾンビ研究と、体質の秘密」
【あらすじ】
ひなが「悠斗の体質を科学的に分析したい」と言い出し、体質調査が始まる。その過程でひなが大胆な行動に出てしまい大混乱。
【シーン① ひなの研究計画】
「悠斗さんの体から特殊な物質が出ていると仮定すると、それを分析してゾンビ防除剤が作れるかもしれません」
「その発想は天才だ……」美月が唸った。
「実験しましょう!」ひなが目を輝かせた。
【シーン② サンプル採取大作戦】
ひなが手袋をはめて真剣な顔で悠斗の汗を綿棒で採取しようとした。
「ちょ、くすぐったいですよ」
「じっとしてください、研究のためです」
「わかりました……でもそんな真剣な顔で腋の下に綿棒を……」
「科学に恥はありません!」
【シーン③ ラッキースケベ⑬――採血事故】
血液サンプルが必要と判断したひなが採血セットを持ってきた。悠斗の腕に消毒液を塗った瞬間、ひなが「あ」とつぶやいて消毒液を悠斗の服にこぼした。
「ごめんなさい!脱いでください!」
「え?」
「服が!服が汚れてるのを放置するとサンプルが汚染されるので!」
ひなの真剣な顔に押し切られて悠斗がシャツを脱いだ。ひなが固まった。
「……思ったより筋肉が」
「ひな!!なんで悠斗に服脱がせてんの!!」美月が飛び込んできた。
「研究のために!」
「どんな研究!!」
【シーン④ 研究成果と嬉しい誤算】
ひなの分析によると、悠斗の汗には通常の人間には含まれない微量の化合物が混じっているらしかった。
「ゾンビの忌避反応を引き起こす成分かもしれません。研究が進めばスプレーにできるかも」
「ひなさん、それすごい発見では?」
「でも設備がないと無理で……」ひなが悔しそうにした。
「いつか必ず研究しましょう」悠斗が言うと、ひなが驚いたように悠斗を見た。
「……約束してくれるんですか?」
「します。ひなさんの研究、面白いと思う」
ひなが笑顔を爆発させた。その笑顔に悠斗の心臓が一拍跳ねた。
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第17話「ボウリング大会と、美月のリベンジ」
【あらすじ】
モール内のボウリング場でトーナメント大会を開催。美月が「絶対に悠斗に勝つ」と宣言して燃え上がるが、勝負よりも接近イベントの方が多くなってしまう回。
【シーン① ボウリング大会開幕】
「全員参加!真剣勝負!」美月が仕切って全員を集めた。
「勝負事は美月さんが一番張り切りますね」悠斗が言うと、美月が「当然。あなたには絶対勝つ」と返した。
「何で俺をターゲットにするんですか」
「なんとなく」
【シーン② ラッキースケベ⑭――ボウリングシューズ事件】
ボウリングシューズに履き替える際、美月のサイズが一つしかなく紐が固かった。美月が格闘しているのを見かねて悠斗がしゃがんで結んだ。美月が固まった。
「……何してるの」
「靴紐。結びにくそうだったから」
美月が黙って下を向いた。悠斗の頭が美月の膝のすぐ近くにある。美月の心臓が妙にうるさかった。
「……ありがとう」
小声だったが、悠斗にはちゃんと聞こえた。
【シーン③ 美月の本気投法】
試合が始まると美月が凄まじい集中力でストライクを出し始めた。
「トレーナー時代にボウリング教室も担当してたから」
「反則じゃないですか!」
「勝負に反則はない」
美月が悠斗に向かってVサインをした。初めて見た挑発的な笑顔が、すごくかわいかった。
【シーン④ 美月が勝って、でも】
美月が優勝した。悠斗は三位だった。
「どうだ、負けたな」美月が勝者の笑顔で悠斗に言った。
「完敗です。美月さん、かっこよかった」
美月が一瞬固まった。
「……かっこよかった?」
「はい。全力で勝ちに来てる人って、かっこいいと思って」
美月が少し目を細めた。
「……そういうことを、さらっと言うな」
「でも本当のことなので」
美月が「うるさい」と言って背けた頬が、また赤かった。
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第18話「停電の再来と、凛の本音」
【あらすじ】
別の理由でまた一部停電が起きる。リーダーとして全員を引っ張り続けてきた凛が、悠斗にだけ見せた弱さと本音が描かれる感動回。
【シーン① 凛の疲れ】
凛がここ数日、目の下に隈を作っていた。誰にも心配させまいと振る舞っているが、悠斗だけが気づいていた。
【シーン② ラッキースケベ⑮――暗闇の廊下】
停電した廊下で、悠斗がスマホのライトを頼りに歩いていると前から凛がやってきた。お互いにライトを向け合って眩しくて立ち止まった拍子に、凛がバランスを崩した。悠斗が支えた。凛の体が悠斗の腕の中にすっぽり収まった。
「……」
「……大丈夫ですか」
「大丈夫」
でも凛はしばらく動かなかった。
【シーン③ 凛の独白 ――感動シーン――】
しばらくして凛が静かに言った。
「ねえ、悠斗。私、疲れたって言っていい?」
「いつでも」
「……疲れた。みんなを引っ張らなきゃと思って、弱いところ見せたら不安にさせるから、ずっとしっかりしてなきゃって思って……でも、正直怖い時もあって」
「そうですよね」
「そうですよねって言われると思わなかった」凛が少し笑った。
「当たり前じゃないですか。凛さんだって怖いと思う。でも怖いのに全員のために動いてくれてる。それすごいことだと思います」
「買いかぶりすぎ」
「正確に見てます」
凛が小さく吐息をついた。
「……なんで、あなたはそんなにすっとそういうこと言えるの」
「思ってること言ってるだけです」
「そういうとこが、嫌いになれない理由かもしれない」
凛が静かに言って、電気が戻った。明るくなった廊下で凛が姿勢を正した。
「……今のは、聞かなかったことにしていいから」
「聞こえませんでした」悠斗が微笑んだ。
凛が小さく「ありがとう」と言った。
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第19話「めいの配信夢と、現実の重さ」
【あらすじ】
高瀬めいが「アウトブレイク前に夢があった」と打ち明ける感動回。いつも明るく場を盛り上げてきためいの内側が見える。
【シーン① めいの記録映像】
めいがこれまで撮り貯めた動画をみんなに見せた。食事の場面、笑い声、訓練の様子。いつの間にかモールの日常が記録されていた。
「これ、すごくいいじゃないですか」悠斗が言った。
【シーン② めいの夢告白】
夜、二人で映像を整理しながらめいが話した。
「私ね、アウトブレイク前、本気で配信者になろうとしてて。登録者数三百人しかいなかったけど、動画を毎日上げて、コメントが来るのが嬉しくて」
「続けてたんですね」
「でも今は電波ないし、視聴者も……もうどこにいるかわからないし。配信を続けることに意味があるのかって、たまに思う」
「意味はあると思います」悠斗が言った。
【シーン③ 悠斗の言葉 ――感動シーン――】
「めいさんが撮った映像、すごくいいですよ。みんなが笑ってる場面とか、玲奈さんが料理してる場面とか。これ、世界が普通に戻った時に、『こういう時代があった』って伝えられる」
「……それって、誰かに見てもらえる前提じゃん」
「見てもらえます。世界は続くと思うから」
めいが少し黙った。
「悠斗って、なんか……根拠なく信じてるよね。世界のこと」
「根拠はあります。今日も玲奈さんのご飯が美味しかったし、ことりさんが新しい作戦を考えてたし、凛さんが全員の分の水を汲んでた。それが根拠です」
めいが目を潤ませた。
「……バカじゃん。なんでそれで根拠になるの」
「なると思います」
めいが笑いながら泣いた。
「悠斗のこと撮ってていい?」
「いいですよ」
「最終的な主役はあんただと思うから」
「やめてください」
二人で笑った。
【シーン④ 続けることの意味】
翌朝、めいが自分で決めた「モールFM」の動画記録部門を作った。映像で記録することが、自分にできる一番のことだと決めたからだった。
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第20話「沙良とゾンちゃんと、猫アレルギーの悠斗」
【あらすじ】
モールの猫・ゾンちゃんが行方不明になりパニックに。沙良が必死に探し回る中、実は悠斗が猫アレルギーであることが判明。でもゾンちゃんを探すために全力を尽くす。
【シーン① ゾンちゃん失踪】
朝、ゾンちゃんがいなくなっていた。沙良が血相を変えた。
「どこ!どこへ行ったの!!」
普段クールな沙良が全力で走り回っている姿に、全員が驚いた。
【シーン② 悠斗の告白】
「悠斗さん、一緒に探してください」
「……あの、実は俺、猫アレルギーで」
沙良が固まった。
「……え?」
「でも探します。ゾンちゃん大事ですよね」
「……猫アレルギーなのに、なんで今まで普通にしてたの?」
「ゾンちゃん、可愛いから我慢してました」
沙良が言葉を失った。
【シーン③ ラッキースケベ⑯――物置での大発見】
物置の棚の上でゾンちゃんを見つけた。棚が高く、沙良が届かない。悠斗が踏み台を持ってきた。沙良がよじ登ろうとした瞬間、踏み台が動いてしまい沙良が落ちた。悠斗がキャッチした。沙良の頭が悠斗の胸に、脚が悠斗の腕に収まっている。
「……」
「……猫を落としそうになりました」
「それより大丈夫ですか」
「あなたが落とさないでくれれば大丈夫だから問題ない」
沙良がそのままゾンちゃんを見上げた。悠斗は腕がしびれていたが、言わなかった。
【シーン④ 沙良の本音】
ゾンちゃんを抱きながら沙良が言った。
「……ありがとう。猫アレルギーなのに探してくれて」
「ゾンちゃん見つかって良かったです」
「くしゃみは出ない?」
「今ちょっと限界です」
悠斗が盛大にくしゃみをした。沙良が珍しく「ふっ」と笑った。
「……ゾンちゃん用のゾーンを作る。あなたが入れる場所と分けます」
「気を遣わなくて」
「遣いたいの」
沙良がそっぽを向いた。ゾンちゃんを抱く手が、少し強くなった。
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第21話「外への一歩と、つばさの小説」
【あらすじ】
ことりの調査で近隣の図書館が無事であることが判明。本を愛するつばさのために本の回収任務に出る。その道中でつばさが悠斗への気持ちを自覚し始める。
【シーン① 図書館調査報告】
「半径二百メートル先に市立図書館があります。ゾンビの密度は低い。悠斗さんが前に出れば到達できます」
つばさが「本が……本が読める……」と呟いた。
【シーン② 二人の図書館ミッション】
悠斗とつばさの二人で行くことになった。悠斗が前を歩くとゾンビがすーっと道を開ける。
「不思議ですね。まるであなたが海を割ってるみたい」
「モーセみたいですね」
「……あなたを主人公にした小説、少し書き進めました」
「どんな感じですか」
「まだ秘密です」
【シーン③ 図書館での発見】
図書館に着いた。本は無事だった。つばさが目を輝かせて棚を見て回った。悠斗はその横を黙ってついて歩いた。
「……悠斗さん、本は読みますか?」
「たまに。どっちかというと読んでる人を見るのが好きです」
「え?」
「没頭してる人の顔って、なんか良くて」
つばさが固まった。
【シーン④ つばさの気づき】
帰り道、本を抱えて歩きながらつばさが思った。(私は今、この人のことを書きたいと思っている。でもそれは……作家として面白いから、だけじゃないかもしれない。)
「悠斗さん」
「なんですか」
「……私の小説、完成したら最初に読んでもらえますか」
「もちろん」
「約束ですよ」
「約束します」
つばさが本をぎゅっと抱きしめた。本の中に、まだ書いていない章が一つある。主人公の気持ちを書く章。それを書けるかどうか、今はまだわからなかった。
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第22話「ゾンビの壁と、越えるべき距離」
【あらすじ】
物資確保の大規模作戦。全員で連携して動く中で、ヒロイン全員が悠斗への気持ちをそれぞれ自覚し始める。ラッキースケベの集大成回。
【シーン① 大作戦会議】
「隣のスーパーに大量の食料がある。全員で動いて一気に確保する」凛が地図を広げた。悠斗が中心となって全員の安全を確保する、過去最大規模の作戦だった。
【シーン② ラッキースケベ連鎖⑰⑱――作戦実行中の事故】
作戦実行中、ゾンビが予想外の方向から来てヒロインたちが一斉に悠斗に飛びついた。一瞬で悠斗の体に六人がしがみついた。
「多い!多すぎる!!」
「ゾンビが!」「怖い!」「わ!」
ひなが正面から抱きついてきた。のぞみが背後から捕まえた。あかりが脇腹に頭を押し付けた。
「みんな落ち着いて!ゾンビは来ない!俺のそばにいれば!」
「うん!!」全員が声を上げた。
【シーン③ それぞれの気持ち】
作戦後、フードコートで休憩しながら全員が少しぼーっとしていた。
(凛:なんで心拍数が落ち着かないんだろう)
(美月:あいつのそばが一番安心できる……おかしい)
(ひな:悠斗さんに守ってもらってる感じが……)
(玲奈:……うるさい、心臓。静かにして)
(夕:わたくし、悠斗さんのことを……)
【シーン④ 悠斗の鈍さ】
「みなさん大丈夫ですか?怖かったですよね」悠斗が心配そうに全員の顔を見回した。
全員が「大丈夫」と言った。全員の頬が少し赤かった。
悠斗は全員が無事だったことにほっとして、温かい紅茶を配り始めた。
「この人、全然気づかない」玲奈がぼそっと言った。
「そういうとこが」凛が静かに返した。
「そういうとこが?」
「……なんでもない」
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第23話「最後の夜、それぞれの想い」
【あらすじ】
外からの救助信号が届き、翌日に軍の救援部隊が来ることが判明。最後の夜に、ヒロインたちが悠斗にそれぞれの想いを伝えに来る感動の最終前話。
【シーン① 救助信号受信】
ことりが「軍の周波数を受信しました。明日、半径五キロ内の生存者を収容するとのことです」と報告した。静寂があった。そして歓声が上がった。
【シーン② 最後の夜の訪問者たち】
夜、屋上で一人でいた悠斗のところに、一人ずつヒロインたちが来た。
あかり:「弟に会えるかも。……悠斗さんのおかげで諦めずにいられた」
のぞみ:「チームメートを探す。でも、ここでの時間も絶対忘れない」
ことり:「研究、続けます。悠斗さんの体質の解明。約束です」
桜:「もう一度、看護師として立ちたい。あなたが言ってくれたから」
つばさ:「……小説、続きを書きます。主人公の気持ちも、今なら書ける気がします」
めい:「動画、世界に配信する。悠斗の話も全部入れてやる」
【シーン③ 凛の最後の言葉 ――感動シーン――】
全員が去ったあと、凛だけが残っていた。
「みんな、あなたに一言言いに来たわね」
「みなさん、いい人ばかりで」
「あなたが好きだから来たの」凛がはっきり言った。
「……え」
「みんながここで元気でいられたのは、あなたがいたから。それは体質じゃなくて、あなたが桐島悠斗だから」
「凛さん……」
「私も、含めて」
凛が初めて、悠斗の目を真っ直ぐ見て微笑んだ。
「救助されたあとも、連絡取ってもいい?」
「絶対してください」
「……絶対ね」
凛が星空を見上げた。
【シーン④ 悠斗の想い】
一人になった悠斗は、夜空を見上げた。
(俺、ゾンビに嫌われてる体質で、特に何もできないと思ってた。でも……みんなが元気でいる。それが、俺がここにいた意味かもしれない。いや、意味以上のものかもしれない)
ゾンちゃんが悠斗の膝に乗ってきた。ゾンビも嫌うくせに、猫は来る。
「ゾンちゃん、俺のこと好きなの?」
猫は返事をしなかった。でも膝の上で丸くなった。
悠斗は笑った。
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第24話「救助の朝と、また会う約束」
【あらすじ】
軍の救援部隊がモールに到着。モールでの生活が終わり、みんながそれぞれの場所へ。感涙の最終話。そして——最後の場面で、ひとりの女の子が悠斗に告白する。
【シーン① 救助当日の朝】
夜明けとともに、モールの外に軍の車両が現れた。誰かが「来た!」と叫んで、全員が窓に駆け寄った。泣いている人もいた。笑っている人もいた。
【シーン② 旅立ちの準備】
全員が荷物をまとめた。たくさんの荷物を持つ人、ほとんど持たない人、ゾンちゃんをキャリーに入れた沙良。
フードコートで最後に玲奈が全員分の食事を作った。誰も何も言わなかったが、全員が味わって食べた。
【シーン③ 一人ずつの別れ】
軍の担当者が全員の健康確認と行き先の確認を始めた。みんなが家族の元へ、避難所へ、病院へ——それぞれの次の場所へ向かう。
悠斗は最後の確認を待ちながら、一人ずつに手を振った。
あかりが泣きながら「弟に会ったら連絡する!」と走り去った。
のぞみが「絶対また会おうな!」とガッチリ握手した。
ことりがメモを差し出した。「私の連絡先です。体質の研究、本格的に始めます」
桜が「またどこかで診察させてください」と微笑んだ。
つばさが「小説、完成したら送ります。絶対読んでください」と本を一冊差し出した。「あなたへの途中経過です」
めいが「動画に出てくれてありがとう!主役にするから覚悟しといて!」と親指を立てて去った。
沙良がゾンちゃんのキャリーを持ちながら「またどこかで」と静かに言った。
夕が「悠斗さん、いつかまた庶民的な楽しみを教えてください」と上品に頭を下げた。
美月が「次会う時には体力つけとけ。また特訓する」と言いながら、少し声が詰まっていた。
玲奈が最後に来て、何も言わずに小さなメモを渡した。「また美味しいもの作ったら呼ぶ」と書いてあった。
【シーン④ 最後の告白 ――感動クライマックス――】
全員が去り、悠斗が一人でモールの入口に立っていた。そこに、白石ひなが走って戻ってきた。
「悠斗さん!」
「ひなさん?どうしたんですか」
ひなが息を切らせて、悠斗の前に立った。眼鏡が少し曲がっていた。
「言わなきゃいけないことがあって!」
「なんですか」
「私……悠斗さんのことが、好きです!!」
悠斗が固まった。
「最初に転んで受け止めてもらった時から、ずっと。賢いって言ってくれた時も、研究に付き合ってくれた時も、全部ずっと」
ひなが真っ赤な顔で続けた。
「世界が普通に戻ったら、また会ってくれますか。もっとちゃんと、話したいです」
悠斗がゆっくり笑った。
「……ドジですね」
「そうですよ!でも今は本気です!」
「わかってます」悠斗が言った。「会います。絶対」
ひなが涙をこぼした。
「……約束ですよ」
「約束です」
二人が向き合ったまま、救援車両のエンジン音が近づいてきた。
【エピローグ】
アクアモール。ゾンビアウトブレイクから三ヶ月後。
建物はまだそのままだった。フードコートに風が入り込んで、椅子が少し揺れた。
屋上の菜園には、誰が世話をするでもなく、小さなトマトが一つ実っていた。
桐島悠斗は今日も、ゾンビに嫌われながら生きている。
でも、十二人の声が、電話越しにいつも聞こえてくる。
「悠斗さん、元気ですか」
「元気です。そっちは?」
「元気です。……早く会いたいです」
「俺も」
世界はまだ、続いている。
そして、続きを書く理由が、いくつもある。
【完 ―― 第1期 全24話 ――】




