奈落曲
ホコリの積もった本が積まれた部屋で銀の少女は嬉しそうに、床に置かれていた白紙の本を拾った。
「また新しい物語が始まるのね」
銀の少女はそう言って、白紙のページに書き足された文字を読む。
――姉は血を吐く、妹は火を吐く。
――少年は此岸に向かい走る、
地獄へ落ちてしまわないように。
「また変なのを拾ってきたな、ダンテ」
「仕方がないじゃないですか。溺れてたんですよ」
どこからか、知らない声がする。
まぶたを開き、声の聞こえる方に目を向けると、
「ダンテ」と呼ばれる人物と目が合った。
「起きたんだね。僕はダンテ。君は?」
「えっと……トミノと言います。ダンテさん……ここはどこですか?」
ダンテは少し考えてから、こう言った。
「ここは……どこだろうね?」
大きなため息が聞こえた。
「私はウェルギリウス。ダンテに変わり私が答えましょう。ここはゴミ山――忘れられ捨てられた物語が積まれた場所です」
「ゴミ山? 捨てられた物語?」
「ごめんね。ウェルは言い回しが独特なんだ」
ダンテは笑いながらそう言った。
「ほかに知りたいことある?」
「えっと……ダンテさん達は何をしてるんですか?」
「いろんな場所を巡ってるんだ。罪を理解するために」
「なぜ罪を理解しようとするのですか?」
「それはね。自らを理解するために罪を理解する必要があるから」
何故だか「罪」という言葉が火に触れたみたいにヒリヒリと残った。
初めて書く小説です




