失敗を教訓に
山の上から1頭の大きな肉食恐竜が眼下に広がる大平原を見下ろしていた。
大平原には沢山の生き物がいるのが見える。
肉食恐竜は歓喜の雄叫びを上げた。
「グガゴォォォォォォーー!!」
雄叫びを上げたのち肉食恐竜は大平原に向けて走り出す。
1歩踏み出す毎に地響きを立て腹を満たす餌に向けて走る。
だが元の生息地からこの大平原に辿り着くまでに彼の体力は消耗しつくしていた。
餌に飛びつこうとしたとき足がもつれ一際大きな地響きを立てて倒れる。
何度か起きあがろうと試みたが身体を起こすだけの体力も残されておらず、暫くもがいたあと息絶えた。
絶命するのを遠巻きに眺めていた死肉食いたちが、息絶えた肉食恐竜の死体に群がりその肉を食い千切る。
肉食恐竜の脳を乗っ取り元の生息地から此処まで移動させた微小な寄生生物たちは、前の生息地の生物をこの恐竜以外絶滅させてしまった事を教訓に、今度こそ宿主を殺さないように上手く立ち回ろうと考え、恐竜の死肉を食い千切る死肉食いたちの身体に肉と共に乗り移るのであった。