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欠損者の行進  作者: 赤木緑
3/3

あれは人間のできる芸当じゃない

「ほう、一人で来るか。良いだろう」

「これが最善(さいぜん)ですから」

鬼島(きじま)は今動けない、湯浅(ゆあさ)は【(やり)】の待機中、伊吹(いぶき)は【(げん)】のクールタイム。

と、動ける人間が少ない。

しかも、伊吹がダウンしてしまうともう【槍】を補充(ほじゅう)できない。

だから伊吹に護衛(ごえい)を付ける。

次に気を配るべきなのは湯浅の安全。

いくら伊吹が無事(ぶし)でも、【槍】を出す(とう)の本人がダウンしていては本末転倒(ほんまつてんとう)だからな。

そのことを分かってるのか、御影(みかげ)雨宮(あまみや)が二人のそばにいてくれている。

だから、戦える俺が前に出て(すき)を作りだすのが最善。

さあ、(たお)そうか。

「お前たちの思惑(おもわく)はわかる。

私にお前を対処(たいしょ)させ、隙を見て【槍】を当てるつもりなんだろ?

だがこれが成立させるには、お前が時間を(かせ)がないといけないぞ」

「わかってます」

「…そうか」

猶予時間(ゆうよじかん)はクールタイムの5分。

俺が5分持たなければ、戦闘系(せんとうけい)の能力は【(ちょう)】を持つ雨宮(あまみや)しかいない。

雨宮が戦闘にでれば、戦闘能力の少ない御影(みかげ)伊吹(いぶき)湯浅(ゆあさ)の集団が(ねら)われる。

そっち三人がやられるともう純粋(じゅんすい)な雨宮との1on1。

そうなればもう()みだ。

ダッ

このことを分かってる先生は(いそ)ぎで決着(けっちゃく)をつけに来た。

一気に距離を詰めてくる。

「……っ」

だけどこの攻撃は()けれる!!

目の前に急接近してきてから、喉元(のどもと)への()き。

俺はそれをナイフでいなした。

しかし先生は(いきお)いを殺さずそのまま力で押し切ろうとしてくる。

ナイフには(つば)がないためつばぜり()いになれば()が悪い。

俺は先生を()り、後ろに下がった。

「甘い!」

俺が下がったところを隙と見た先生は自慢(じまん)の足で追いついてきた。

だがそれは想定済(そうていず)み。

俺は地面に向かってナイフを投げた。

バー―――ン

黒い(けむり)()い上がるとともに爆弾(ばくだん)起爆(きばく)する。

「やったか…?」

だが予想とは違い、直撃(ちょくげき)は避けられたようでまだ立っている姿が煙越(けむりご)しにうっすら見える。

決定打には(いた)らなかったが確実にダメージを(あた)えられている。

このを好機(こうき)(のが)す俺ではない。

煙の中の(かげ)に向かい、()める。

先生はこの初撃(しょげき)(けん)ではじく。

でもこんなところでは止まるわけにはいかない。

俺は勢いを乗せたまま連撃(れんげき)をする。

だが先生がそれをはじく。

そしてこれを()り返し、お(たが)決定打(けっていだ)(つか)み合う剣闘(けんとう)になった。

「ペーパーボムか。よく人に当てたな」

刺激(しげき)を与えれば爆発する簡単な仕組(しく)みです。

ナイフを当てれば好きなタイミングで爆破(ばくは)できる」

「そうだな。

あの薄くて小さい、ペーパーボムを起爆させたんだ。

投げナイフの技術は()めてやろう」

「……」

「だが、予想通りだったな。

投げ以外お前は、()りも()きも平凡だ。

何も私には届かない」

「全部予想通りだと…?」

「ああ、お前はナイフの扱い自体には慣れていない。

だから暗器(あんき)を使ってくることも読めていた」

「…そうですか」

(やいば)攻防(こうぼう)のなか、先生は突きをしてくる。

俺はその剣に飛びこんだ。

「なら、これはどうですか?」

剣に(つらぬ)かれたまま舌を見せる。

「ペーパーボム………!?」

先生が見たのは俺の舌にのったペーパーボム。

「ゲームオーバーです」

俺は勢いよく舌を噛んだ。


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