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第1話【最強が消えた日】

「っ! 離して! 離せぇえ゛え゛!」


「お前まで死ぬ気かっ!」


 ヒーローが必死に腕を伸ばし、空へと手を差し出したその瞬間、

 それまで空を裂いていた雷鳴が、嘘のように止んだ。

 一転して、世界は静寂に包まれる。


挿絵(By みてみん)


 指の隙間から、パパの身体が音もなく飛び散っていく。

 まるで砂が風にさらわれるように、輪郭もなく球体に溶けていく。


 セドを力任せに振りほどき、ヒーローは駆け出す。

 たった今まで、パパが空にいたその場所へ。


 爆発のようにも見えた。だがそこに音はない──。


 輪の中心から、ひとつだけ遅れて、何かが落ちてくる。

 まるで意思を宿したかのように、ふわりと舞いながら降りてくる。


 それは──パパの左腕だった。


 ゆっくりと舞いながら、ヒーローを撫でるように落ちてくる。

 最後に一度だけ、息子に触れようとしたかのように。


 その刹那、雷が再び空を裂いた。


 鋭い音が大気を引き裂き、世界を貫く。


 そして──パパは、消えた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最高に面白かったです! [一言] これからも追ってまいりますので、執筆頑張って下さい!!!
2023/07/09 16:43 退会済み
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