表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界で一緒に。~おかしな奴等と異世界転移~  作者: シシロ
アルテシア領と『ジュエル持ち』
116/147

第76話 鐘の音

145:冒険者@夢の精霊の加護(アルテシア)

ごめん、やりすぎた


 ああ、うん、そうだね…。


 昨日、何か知ってそうな奴を捕まえていた『ジュエル持ち』達。

精々数人を攫うだけかと思っていたのに、最終的な報告では百人を超えた。

普通、そんなに要らないだろって思うじゃん?


177:冒険者@闇の精霊の加護(アルテシア)

あまりにも簡単に捕まるから、つい楽しくなっちゃって…


 だそうだ。

半数以上は情報収集を目的とした拉致ではなく、捕まえられそうだから捕まえただけなんだと。

…それが出来るなら、伯爵を直に捕まえた方が早いって思うのは俺だけだろうか。


200:歌姫@歌の精霊の加護(メフィーリア)

お互いのスキルや魔法を知らないとは言え、私達って自分達の能力を正確に測っておくべきじゃないの?


201:冒険者@毒の精霊の加護(アルテシア)

同感だ

簡単に百人以上捕まえて来れるなんて俺は知らなかったぞ


 俺はやれると思ってたよ。

まぁ、誰にも気付かれる事なく、って言うのは知らなかったけど。

人目がある所で堂々とそれが出来るって言うのは、ちょっと想定外だ。


 実際に誘拐に携わったのは十人ぐらいらしい。

誘拐した人達は、街外れに『ジュエル持ち』が作った洞窟へと運ばれた。

 で、どんどん人が増えるから、そこを作った『ジュエル持ち』から多すぎるとクレームが入り、誘拐はそこで終了。

正確な所要時間を言うなら、開始から終了まで三時間以下だ。

つまりたったの三時間で、この街から百人以上が消えたって事になる。


244:冒険者@光の精霊の加護(アルテシア)

それがさ、これ簡単に出来るんだわ


245:冒険者@幻惑の精霊の加護(アルテシア)

前にインベントリに人は入らないのかって話あったじゃん?

あれ試したらいけたよ


246:冒険者@夢の精霊の加護(アルテシア)

中に入った人は命に別状無し

相手に出る意思があれば簡単に出られるんだけど、その意思を奪っちゃえばなんとでもなるみたい


 状態異常…いや、殴って気絶させれば連れ去り放題って事か。

インベントリに収納するのは一瞬、レベル差や手加減攻撃を考えれば、気絶させるのも難しくない。

その気になれば、あっと言う間に人が居なくなるんだろうな。


288:一騎当千@大地の精霊の加護(ロクト)

まぁ、やってしまったものは仕方ない

それより、何か情報は聞き出せたのかい?


 こう言う事をする連中を自由にさせたのが間違いだった。

ブレーキ役なんて居ないようなもんなんだから、この結果も想定すべきだったって事だ。


 相手も、もうこの状況を把握しているんだろうし、何か手を打って来る可能性が高い。

人を操る方法も解っていないし、相手に仕掛けられる前に何とかしなければいけない。

先手を取るなら、こちらも情報が必要だ。


289:冒険者@傀儡の精霊の加護(アルテシア)

多過ぎて全員は聞き出せてないが、幾つか解った事がある

まず、捕まえた奴等も殆どが状態異常に掛かってる


290:冒険者@洗脳の精霊の加護(アルテシア)

操って聞き出す前に、万能薬を飲ませてみたら色々話してくれたよ

自分の意思で協力していた訳じゃないって奴も、結構居るのかもしれない


291:冒険者@傀儡の精霊の加護(アルテシア)

話を聞く限り、思考の誘導があるのは間違いないな

普段ならやらない事まで、色々やらされていたようだから


 となると、村に対して行って来た事が、領の総意ではないと言うのが確定した訳だ。

この状況を作りたかったのは、伯爵側の人間の中でも恐らく一部だけ。

そいつらが黒幕。


292:冒険者@闇の精霊の加護(アルテシア)

秘書の一人を捕まえたけど、そいつは黒だな

一向に喋ろうとしないから無理矢理吐かせたけど、リグレイドに居た盗賊と繋がってたよ


293:黒騎士@魂の精霊の加護(アルテシア)

そうだろうと思ってはいたが、ようやくそこと繋がったか


294:冒険者@闇の精霊の加護(アルテシア)

荷物だけじゃなく、捕まえた商人なんかも居たそうだ

そいつらはレオンって奴に引き渡して、その後は知らんとさ


 レオン…執行者の一人か。

そんな奴の元に引き渡されたら、その後の事なんて解ったものじゃないな。


307:天駆@雲の精霊の加護(アルテシア)

そのレオンって奴の事、どう認識してたんだ?

ネリエルの人間だって知ってるのか?


308:冒険者@闇の精霊の加護(アルテシア)

いや、伯爵の側近って事になってるみたいだな


309:冒険者@微風の精霊の加護(アルテシア)

伯爵も操られてんのかな?


 どうだろうか。

もはや誰が黒幕で、誰が操られているかなんて俺達には解らない。

ただ、他の執行者からも伯爵がネリエルの人間だと言う証言が取れている。

そう考えれば、一連の黒幕が彼と言う可能性は高い。


320:冒険者@光線の精霊の加護(アルテシア)

他に解った事は?


321:冒険者@夢の精霊の加護(アルテシア)

国に報告している以上の兵力を確保しているみたいだよ

何に使うつもりだったのかは聞かされてないみたいだ


322:冒険者@誘惑の精霊の加護(アルテシア)

それと、団長クラスは全員状態異常に掛かってたね

操ってる奴からすれば、戦力を好き放題出来たんじゃないかな


 気付かれて叛乱なんかされたらたまらないだろうし、真っ先に抑えるべき所だろうからね。

そうなると、街の兵士達は全員敵になると見ていいかもしれない。

彼等の望む、望まざるに関わらず。


334:冒険者@闇の精霊の加護(アルテシア)

あとは解らんな

操る方法について知ってる奴は居なさそうだ


 秘書を捕まえても解らないか。

伯爵と執行者ぐらいしか知らないのかも。


 けど、この状況はまずい。

相手だって静観する状況とは思えないし、操る方法が解っていない以上、後手に回るしか無くなってしまった。

最悪、同士討ちを避ける為に一時撤退も視野に入れるべきだろうか。


340:冒険者@誘惑の精霊の加護(アルテシア)

そう言えば、ここ最近は鐘が鳴らないとか言ってたけど何か関係あるかな?


341:死神@沼の精霊の加護(アルテシア)

鐘?


342:冒険者@誘惑の精霊の加護(アルテシア)

時間を知らせる鐘

特定の時間に鳴るそうだよ


 俺達が来てから、この街で鐘が鳴っているのを聞いた事は無い。

そもそも鐘なんてどこにあるんだろう。


 窓の外を見て、それらしき物を探す。

街中に時間を知らせるなら高い所に設置しているんだろうし、ここからでも見えそうなものだ。

同じ事を考えたのか、ユークも別の窓から外を眺めている。


 そんな時だった。


 カァン、カァン、と街中に響く『鐘の音』。

音に釣られて見れば、それは伯爵邸のすぐ傍にある塔から発せられている。

それを認識したと同時だろうか、軽い眩暈と共に、何時か感じた感覚に襲われた。


 自分が自分でなくなるような、不気味な感覚。

咄嗟にアイコンを見れば、そこには見た事の無い表示があった。


『洗脳・レベル1』

この状態異常に掛かった者は、特定の発言を一定時間内に全て受けると相手に操られる。

トリガーは『アルテシア領、リグレイド領、盗賊、輸送』。


 急いで万能薬を取り出し、飲み込む。

俺より一瞬早かったユークが、ロッシュ達にも万能薬を飲ませていた。


366:冒険者@石の精霊の加護(アルテシア)

全員、万能薬を飲め!


367:死神@沼の精霊の加護(アルテシア)

鐘の音だ! あれが鳴ったら状態異常に掛かった!


368:爆炎姫@火の精霊の加護(アルテシア)

今ぶっ壊してやるわ!


369:弾幕@太陽の精霊の加護(メフィーリア)

待て待て!

回収して調べさせてくれ!


370:爆炎姫@火の精霊の加護(アルテシア)

そんな悠長な場合!?


371:一騎当千@大地の精霊の加護(ロクト)

今後も似たような事をされるかもしれない

実物は調べた方がいい


 みんな混乱気味ではあるけど、これで一つはっきりした。

アレを抑えれば、俺達が大人しくしている理由が無い。


380:天駆@雲の精霊の加護(アルテシア)

今すぐ回収して来るぜ


381:冒険者@毒の精霊の加護(アルテシア)

もう大人しくしている理由ないよな?

このまま雪崩れ込むぞ


382:冒険者@暗闇の精霊の加護(アルテシア)

兵士だけじゃなく、街の人間全員が邪魔して来るはずだ

調子に乗って暴れすぎるなよ


 何故今のタイミングで鳴らしたのか、これまで鳴らさなかった理由は何か。

色々解らない事はあるものの、今俺達がやるべき事は推理じゃない。


 制圧。

解らない事は、後で吐かせればいいだけだ。


383:死神@沼の精霊の加護(アルテシア)

誰一人逃がすなよ


384:黒騎士@魂の精霊の加護(アルテシア)

ネリエルに俺達の事を知らせるなって話だろ?

それは予定通りやるさ


 この量の『ジュエル持ち』相手に、どれだけ抵抗出来るか見物だな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ