庭で拾った手紙は、私の婚約者の王太子殿下が私の妹へ愛をつづったラブレターでした。いつも私の物を奪うあの子って…ひどいですわ。絶対に復讐しようと誓ったのですが。
「……これは!」
庭をなんとなく散歩をしていたら。手紙を拾いました。封は開いていて、名前は書いていない。
ならうちのだれかの手紙だろうと軽く思い中身を読んで私は……。
「どうしていつもいつもあの子は私の恋人を奪うのですかああああ!」
王太子よ。お前もか、という気持ちでした。
差出人はクリス、クリストファ王子の愛称、挙句の果てに筆跡もよく似てます!
熱烈なラブレターの相手は私の妹のリアナでした。
リアナなんてよくある名前といえば名前ですが、この屋敷には一人だけ!
私の名前はユーレリアですし……。ええもう絶望が私を襲いましたわ。
「あり得ませんわ」
リアナは顔はかわいいです。
根性は最悪です。いつも私の好きな人や、恋人を奪い取ってお姉さまごめんなさいと笑うのです。
「……またですか」
愛しているとささやくその手紙を破りそうになり、今度こそは許すまじ! と私は叫びましたわ。
「……まず、男癖の悪さは証拠としてとってありましたわ」
将来あいつのために破滅はまっぴら、と不義の証拠はとってありました。
この手紙もその一つですけどね!
しかし、殿下にこのことをつきつけたら、ならお前と婚約破棄して、相手を妹にとか……。
前の恋人はそれをしました、慎重にいかないと。
「殿下、最近、そういえばリアナが元気がないのですわ」
「そう、そういえば父上も元気がないけどねえ」
「はあ?」
陛下? どうしてそこに結びつくの? のほほんと言う殿下は、ずずっとお茶を飲み干します。
こんなぼんやり殿下が妹と浮気なんて……いえ手紙が証拠ですわ!
リアナは最近元気がないこれは本当ですわ。リアナの話題をふれば食いつくか?と思いましたが、いつもどおりでしたわ。
「……レリア、アイスも食べなよ」
「いりませんわ」
太りますからというと太ってないよと笑う殿下。
普段と変わらない感じですけど……。どうなってますの?
日がたっても殿下は普通でした。
リアナが日に日に元気がなくなっていきます。
私はとうとう妹を呼び出して、言いたいことがあるのならどうぞと言ってしまいました。
「私、愛する人ができてしまって」
「それは王族ですわね」
「はい」
「……お父様に申し上げたら?」
「許されるはずがないのですわ!」
「なら、その方にお話ししたらどうです?」
「え?」
「一緒になりたいとお願いしたらいいのよ」
私は青白い顔のリアナを見て、根性悪の妹とはいえ、あの方と愛し合っているのなら仕方ないと観念しました。
「……でも」
「遠慮しないで行ってきなさい!」
私は王宮に使者を送り、殿下と妹が会えるようにしました。
婚約破棄がもうすぐかと思うと泣けてきますが、でもしょうがないと溜息をつきました。
「レリア、あの婚約式をねしばらく延期したいのだけど」
「延期? 中止ではなくて」
「? いや延ばすだけ」
殿下が申し訳なさそうに私に頭を下げます。ごたついているから婚約式を執り行う時間がなくてとため息をつく殿下。
「私との婚約を破棄したいと……」
「え? 違うよ。父上と君のね……」
私が殿下から事情を聞くと、正妃である殿下の母上が死んで十年、陛下はなんと……。
「どうしてあれが陛下の!」
「両想いらしいよ」
陛下はなんと妹と恋に落ち、あのラブレター……。どうしてあんなところに落ちていたのか、妹が庭で読んでいて落としたらしいのです。
「陛下もクリスという名前でしたわね」
「そう、そして父上とリアナがやり取りしていた文を落として、だれかに拾われたんだってすごく困っていたらしいんだよねえ」
「ここにありますわ……」
「そんなところに」
懐から手紙を取り出すと、そうかっと言って笑う殿下。
いや名前はそういえば親子同じでしたが、筆跡も親子で似てますのね。
でもでもでも!
「陛下はお父様より年上ですわ……」
「真実の愛する相手を見つけたとか……まあ正妃も今いないしいいかなって言ったんだけど、いろいろごたごたしていてね、婚約式はしばらく無理そうなんだごめん」
私ははあっとため息をつきました。
相手が違ってましたのね、でもねえ、親子ほども違う人とか思いませんわ。
「前途多難ですわねえ……」
「そうだね、あ、父上とリアナの間に子供が生まれたら君にとって……」
「あはははは、考えないようにしたいですわ」
私は殿下に寄り添い笑いあいました。しかし私も間抜けですわ。
ふう、陛下と妹の結婚式が先になるみたいです。まあ生意気な妹ですが、準備くらいは手伝ってあげましょうと私は思い、大変ですわねお互いと殿下と笑いあったのでした。
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