MIX御伽噺列伝~かぐや姫と桃太郎が姉弟で、金太郎達とパーティを組んで鬼退治~
むか~し昔、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
お爺さんはちょっと前まで、枯れ木に花を咲かせたり瘤を取ったり取られたり、おむすびが転がってからの異世界無双をしたりとずいぶん多忙でしたが、今は大分落ち着いています。
お婆さんもお婆さんで、安達ケ原で脱衣バイトをしたり狸に殺されそうになるのを逆襲したり若返りの水を飲み過ぎて赤ちゃんになったりと色々大変でした。
そんな二人の悩みは子供がいないこと。
大判小判をざっくざくと発掘したので生活には困っていません。
金銭的には優雅なスローライフの日々。
とはいえ、二人だけの暮らしは何かと寂しいものです。
年甲斐もなく頑張りましたが子宝には恵まれませんでした。
ある日お爺さんは忠犬と共に山のトレイルランニングへ、お婆さんも美容の為に続けている川でのスイミングに出掛けました。
日課であるトレイルも手慣れたものです。
ですがお爺さんは日々の鍛錬に余念がありません。
健康長寿の秘訣はまず足腰からだそうです。
犬のポチも毎日楽しみにしています。
しかしこの日は山に入った途端、ポチがお爺さんを山奥の竹林へと誘導して行くではありませんか。
「どうしたんじゃ、ポチ?」
「わんわん(お爺さん、こっちから何か変わった匂いがしますよー)」
ポチの導きのまま竹林へ入ると……
一本の竹が金色に光っているのを発見しました。
不思議に思ったお爺さんはその竹を切ってみました。
すると……何という事でしょう。
その中に輝かしい美貌を持つ小さな女の子が座っていたではありませんか。
お爺さんは大層驚きました。
ですがこれは神様からの授かりものに違いないと思い、家に連れて帰り、娘として育て様と決意しました。
一方その頃、お婆さんが川でスイミングを堪能していると……
川上から大きな桃が、
どんぶらこ~どんぶらこ~
と流れてくるではありませんか。
「これはこれは大きな桃だこと。
お爺さんに精をつけてもらって頑張ってもらいましょう」
若返りの泉の水を飲み過ぎて赤ちゃんからやり直したお婆さんは実年齢と肉体年齢が合いません。
パッと見はまだまだ若々しい美貌の熟女、美魔女です。
お爺さんとの夜の生活もそれが悩みだったのでお婆さんは喜んで桃を持ち帰りました。
すると……何という事でしょう。
桃へ包丁を入れた瞬間、桃は勝手に割れていき元気な男の子が出てくるではありませんか。
お婆さんは大層驚きました。
ですがこれは神様からの授かりものに違いないと思い、家の跡取り息子として育て様と決意しました。
「婆さんや、実はお前さんに話があるんじゃが」
「あら奇遇ですね、貴方。
あたしもお前さんに話があるんですよ」
「実は今日、竹林で珠のような女の子が……」
「実は今日、川から流れてきた桃から元気な男の子が……」
「「えっ?」」
こうして二人は仲の良い姉弟として育てられることとなりました。
竹から生まれた女の子はかぐや。
桃から生まれた男の子は桃太郎と名付けられました。
そして月日は流れ……
二人は立派な青年と淑女に育ちました。
「かぐや姉さん」
「なあに、桃太郎?」
「最近鬼が暴れて悪さをしてるらしい」
「まあ」
「俺達で退治に行かないか?」
「う~ん……貴方に危険な事はしてほしくないのだけど……
止めても行くのでしょう?
ならば私も一緒に行ってあげる」
「ありがとう、かぐや姉さん。
さすが俺の自慢の姉さんだ」
「うふふ。
褒めても何も出ないわよ?」
こうして二人は鬼退治に向かう事になりました。
桃太郎は桃色筋肉(持続力の赤色筋肉と瞬発力の白色筋肉のいいとこどり)を持つ肉体言語のハイパーチート。
かぐやも月魔法を自在に扱うこれまたチートです。
それから二人は幼馴染の金太郎や共に亀を助けた浦島太郎にも声を掛けパーティを結成。
回復役にはお爺さんが昔に助けた鶴が化身したお姉さんが加わってくれました。
実家が裕福なので無駄に機織りせず魔力が余っているのが幸いしたようです。
更に傘を頂いたお礼にと、地蔵様が装備一式をプレゼントしてくれました。
お供には花魔法を習得したポチと悪行を改め柿魔法を学んだ猿も同行します。
前衛
桃太郎 侍型タイプ 超絶ハイパーチート 空間をも切り裂く剣技
金太郎 戦士タイプ 剛力無双の魔法戦士 雷を纏った驚異の斧技
中衛
浦島太郎 騎士タイプ 時間魔法を扱う騎士 釣り竿に仕込んだ槍技
鶴姫 僧侶タイプ 機織魔法による回復 回復と攪乱混乱の双技
後衛
かぐや 術師タイプ 輝く美貌の超絶術師 月魔法による広域殲滅
以上の面々で行う世直し鬼退治の旅。
道中様々な波乱が待ち受ける珍道中。
はたまたどうなりますやら。
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それではまたどこかで。
パイロット版です。
本編は「御伽噺無双~転生したら俺が桃太郎で、義理の姉が超絶美人のかぐや姫だった件について~」という頭の悪そうなタイトルで執筆中です。