その日の夜
3
あれから、元欠損奴隷達には、お風呂に入らせた。
それからかれこれ三十分ほどたっている。
まあ、その間にやることがあるからいいけど。
そんな事を考えていると、戸が開いて、男奴隷が出てきた。
それと同時にすんすんと匂いを嗅ぎはじめた。
「そろそろご飯だから、座ってて」
僕がそう言うと、男奴隷は、床に座った。
怒りがこみあげてきた。
なぜこんな子どもに、座れと言うと、床に座るようにするのだろう。
イライラしたのか、
「言い方が悪かった。椅子に座れ!」
と言い終わって、あわてて口を手でふさいだ。
二人を見ると、ぽかんとしている。
「さっきのは忘れて」
そう言って、料理を無言で作りはじめた。
すると、間が悪いことに、女奴隷達と用事を終えたのか、マナとナナも部屋に入って来た。
重い空気に全員がビックリした。
そして、勝也は、全員に提案をした。
「ねえ、素のしゃべり方でしゃべってもいいかな?」
と言うと、
「いんじゃないのかな?それ以前にそのしゃべり方、素じゃなかったの?」
とマナが言うと、他の全員も、うんうんとうなずいた。
なので、
「わかった。じゃあ素のしゃべり方にするよ。後、飯が出来たから、椅子に座れ」
俺がそう言うと、
「え!?勝也って料理できんの!」
と失礼な事を言う奴がいた。
もちろん、マナだ。
「お前、俺をなんだと思ってたんだ?」
と聞くと、
「家事をすべて丸投げする人」
と言われ、少しへこんだ。
「もういい、飯を机に運べ、マナは後で俺の部屋に来い」
「ひっ!」
マナを少し睨んで言うと、短い悲鳴が聞こえた気がするが無視した。
その後、全員でご飯を食べた。
久しぶりに大勢で食べるご飯はおいしかった。
奴隷達は、全員涙を流していた。
何でだろう?
それと余談だが、ご飯を食べた後、部屋にマナをよんだら、入るなり、直ぐに土下座した。
きれいな土下座だった。ものすごくどうでもいいけど。
そして、今はお風呂に入っている。
「さて、あがろっと」
十分くらいしか入らないで、お風呂を終えた。
下をはいたところで、一階にこの家の人のものではない気配を感じた。
勝也は、上半身裸のまま、飛び出して、確認のため、一階に向かった。
すると、案の定強盗がいた。
二人組で、腰に剣をさげ、片方は、手にも剣を持っていた。
その二人の顔は欲望にまみれていた。
なので、勝也は、
「『影波』」
と魔法の名前を言った。
すると、男たちの後ろから、黒い波が襲い、男たちをのみこんだ。
勝也は男たちが消滅したことを確認して、二階に上がった。
また、これも余談だが、戸を開けたとき、聞き耳をたてていた全員を吹き飛ばした。自業自得だ。