ギルド長2
「さあ、勝也君。そこのソファーに座ってくれ。ちょうど紅茶とケーキが来たみたいだからね」
秘書らしき女性が紅茶の入っているカップとケーキの皿を机に向かい合うように置いた。
ソファーに座ると正面にギルド長が座った。
「まあ遅いと思うが、わしの名前はナジャスト=バーバラだ。一応ここのギルド長をしている。元SSランク冒険者だ。よろしく、勝也君」
ギルド長、ナジャストが握手を求めて手を出してきた。
「Fランク冒険者の型無勝也です。こちらこそよろしく」
勝也は、ナジャストの手を握った。
ナジャストは、ギリギリと顔に血管を浮かべながら、力を入れてくるが、勝也は涼しい顔で、軽く力を入れた。
「うがっ」
ナジャストが変な声をあげた。
勝也が手を放すと、痛そうに手を振るった。
「いってー。ほんと握力まで化け物レベルかよっ」
ナジャストが恨めしそうに勝也を見た。
勝也はそれを完全にスルーして紅茶を一口飲んだ。
紅茶の甘い風味が口いっぱいに広がる。
「勝也君。わしは君をBランクに推奨したいが、それでもいいか?」
ナジャストも紅茶を一口飲んで、そう話を切り出してきた。
「別にいいが、それがどうかしたのか?」
本当に不思議そうに聞いた。
「Bランク以上に推奨するには本人の同意が必要なんだよ。ホントにめんどくさい」
ナジャストは軽いため息をついた。
「じゃあギルドカードを貸してくれ。Bランクしとくから」
勝也は、空間からギルドカードを取り出した。
ナジャストは、それを見て目をまんまるにした。
「亜空間庫まで使えるのか。いやぁ、君には驚かされてばかりだ」
と言って、笑いながらギルドカードを受け取った。