盗賊撃退
3
勝也は洞窟の前で足を止めた。
しかし、数秒立ち止まっただけで、とても自然な動作で洞窟に入った。
そして談笑している二人の見張りらしき盗賊の頭を手刀で切り飛ばした。
一瞬で二人の仲間の頭を切り飛ばした勝也を少し奥にいた盗賊は驚きながらも、
「敵襲~!、敵襲~!」
と大きな声で言った。
勝也はナナを洞窟にもたれかけさせると、ただ一言、
「『ヘルフレイム』」
と呟いた。
その一言で地面からどす黒い炎が噴き出して、マナの近くにいた一人以外の盗賊を骨も残さずやきつくした。
そしてナナを抱えて洞窟の奥に進んだ。
洞窟の奥には気を失ったマナとマナを抱えて青い顔で首にナイフを当てている盗賊のボスのような人がいた。
なので勝也は、固有スキル(百万人に一人の割合で、一つ一つが唯一無二の存在)を使ってリボルバー式の拳銃を作り、盗賊のボスらしき人に向けて、発砲した。
その大きな音にマナとナナはビックリして目を覚まし、ボスは頭を撃ち抜かれて絶命した。
勝也はナナを下ろすと一つ大きなあくびをした。
そして、マナに向かって手を伸ばし、頭をさわるとマナの体の傷やアザが一瞬にしてなくなった。
マナはその事に驚いたがそれよりもきっとこの後自分達は奴隷になるのだろうと思い、そうなったときは自分をすててもナナだけはどうにかしてもらおうと思った。
だから、
「すみません。奴隷にするなら私だけにしてくれませんか?」
と、覚悟を決めて言った。
すると、
「え?奴隷?なんの事?」
と逆に聞き返された。
マナはその事に驚きながらも
「え?私たちを奴隷にするために助けたんじゃ無いんですか?」
と聞いた。
しかし、
「僕はただ魔法が久しぶりに使えるかどうかの確認をしに来ただけなんだけど?」
マナはその答えに少し引っ掛かった。
「魔法を久しぶりに使うってどうゆう事ですか?」
そしてマナは次の答えに今日一番驚いた。
「だって僕この世界の住人じゃ無いから」
「えええええええええええええええええええええええええええええっ!!!」
その大きな声にマナに抱きついていたナナは驚いて、マナの顔を見上げていた。
そして勝也は、
「そんなに驚く?」
と不思議そうに聞いてきた。
しかしマナは疲れていたので言い返さなかった。
そんなマナに勝也は
「そんな事より、これからどうするの?家族いないんでしょ?」
と聞いた。
マナは、少し考えるような仕草をして、勝也を見ると、
「お邪魔でなければ私たちをつれていってもらえませんか?」
と言った。