面倒ごと
次の日、勝也は一人で冒険者ギルドに向かった。
「こんにちわ~、あ、勝也さん!」
中に入ると、カルナが手を振ってきた。
勝也が手を振り返すと、少し顔が赤くなった。
「何かないかな?」
勝也が何か依頼がないか見ていると、突然後ろから、
「おい」
と声をかけられた。
勝也は、ため息をつきながら振り返った。
そこには、身長が二メートルほどあり、大斧を背負った筋肉ムキムキの男がいた。
「お前が新入りの勝也か?」
「そうですが、何か?」
勝也は、男が放つ威圧を完全にスルーして、だるそうな声で言った。
男は、人の悪い笑顔で、
「いや、単なる確認だ。違う奴だったら嫌だしな」
と言った。
男は、勝也から少し距離を取り、大斧を水平に構えた。
「じゃあな、また会おう、来世でな!」
男は大斧をふり、それを勝也はしゃがんでやり過ごした。
男は、大斧を何度もふり、勝也を殺そうとした。
勝也は、そのすべてを避けた。
「おいおい避けてばっかりかよ、新入り!」
勝也はだるそうにすべてを紙一重で避けている。
すると何を思ったのか突然勝也は避けるのをやめて棒立ちになった。
それを見て男はニヤリと笑うと、
「死ね、雑魚が!」
と言って、大斧を全力で勝也に叩きつけた。
しかし
「は?」
勝也に当たると、粉々に砕け散った。
「伝説級武器『ガーン』。付与は行動停止Lv7と自動修復Lv3のみ。そりゃすぐに壊れるわな」
勝也は斧の破片を調べて、噛み砕いた。
「!?」
「ペッ、まず」
口を服の裾で拭って、勝也は大きなため息をして、やる気が失せたと言わんばかりに男を見て、だらだらと外に出ていった。