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村のみんなに別れを告げアッシュとアルベルトは旅だった。


「ところでアッシュ、旅の最終目的はアッシュの呪いを解除する、ってことでいいんだろ?」

「あぁ、そのとおりだ。」

「それでなにか手掛かりはあるのかい?」

「うん、なくはない。が、これがまったく雲をつかむ話とでも言うのか…」

「雲をつかむ?」

二人は歩きながら話をしているが、アッシュが腰を落ち着かそうと促した。アルベルトも座り話を続ける。

「さて、アルは賢者の書て本、おそらくマジックアイテムに分類される書物の話をきいたことがあるかい?」

「うーん、あるにはあるけど、おとぎ話レベルの話だろう?」

「俺もそう思っていた時期があるんだけどな。よし、ちょっと俺の話をしようか。以前も呪いを解くために旅をしたことがあるんだ。そのときに世界各地を回って呪いを解く方法を探していたんだけど。いろんな地域で話を聞いたり、マジックアイテムを探してダンジョンにもぐったりしていたんだが決定的な方法は見つけることが出来なかった。

それでもいろいろ試したのさ。高名な僧侶に呪いを解いてもらおうとしたこともあったし、魔法を打ち消す効果のアイテムを使ったこともあったがどうにもならなかった。

もうね、八方塞がりだったさ。そんなときに誰かに言われたのだが『そもそもそれは魔法の効果なのか?呪いなのか?どういうものか?』という話だった。

まず自分にかかっている呪いの正体を知ること、という根本的なことをしていなかったんだよ。

じゃぁ、どうすれば呪いの正体を知ることが出来るのか?呪術を研究している人たちを訪ねたり、昔の書物を読みあさったりもしたけどさ、どうにも進展しなかった。

ただいろんな地域で『賢者の書』の話は聞けたんだ。知りたいことを思い浮かべながら本を開くとそのすべてが記されているという本。地域によって多少呼び方が違ったが効果は同一で知りたいことを知ることが出来るというものだった。

こういう類の話話は地域によってアイテムの効果が違うことのほうが多いんだけどな、この賢者の書に関してはなぜか同一の内容なんだ。

つまり誰かが意図的にこの本の存在を広めた。または実際に使って見せたことがあり正しい内容で伝わっている、そういうことと思うんだ。」

「なるほど、つまりはまずその賢者の書の存在の確認、可能であれば入手と、そういうわけだな?」

「そう!ただね。どこにあるか、これについては情報がないんだよ。」

「なんだよ、結局八方ふさがりじゃないか。」

「それでも前回の旅で訪れていない地域もあるんだよ。前回の旅は比較的訪れやすい村や町、国などでの情報収集というわけさ。なので今回の旅は前回訪れていない地域、場所、国、この辺りを重点的に攻めてみようと思っている。」

「なるほどね。で、具体的にどこに行ってないんだ?」

「細かい地域はさておき、大きな区分でいけば七大国のダルメア、グランドファースの2カ国、あとは枯れ果ての大地や終点の島といった一般人の立ち入りが禁止されている地域、到達するのが困難といわれる天国に一番近い国ヒメルシエルこのあたりか。あとは行ったには行ったけど詳しく調べることができなかった場所、世界中の人と情報が集まるこの世のすべてがある島セブンスタッド島、かな。」

「なるほどね。っておい!なかなかへビィな地域ばかりじゃないか!二人でどうにかなるもんじゃねーだろ?」

「そうだね、だから今回の旅は俺を含め4,5人くらいのメンバーで旅をしたいなと思っているよ。ただある程度の実力者じゃないとついてこれないから、厳選はするけどね。最悪この二人での旅になるかも。」

「マジかよ。ていうか俺は実力者じゃないだろ?」

「そこは問題ないよ。アル、俺が君を仲間にした1番の理由はその素質、強くなれる素養があるところだ。」フフフとアッシュが不気味に笑いながら言った。

「え?俺が?」

「うん、鍛えれば世界で俺の次くらいの実力者は狙えるだろう素質はあるよ。」

「そんな…俺が…」

アルベルトがまさか俺がっていう顔をしている。

「ただ今のままでは雑魚なのでこれからみっちり鍛えていきます。」

「マジかよ。」

「マジです。ではなぜ鍛えるのか、ですが。先ほど話したとおり立ち入り禁止区域や地域も今回の探索対象のため単純に命の危険があるためです。俺一人でもまぁ、なんとかなるかな、とも思うんですが、未知の生物との遭遇やひとりでの立ち回りが困難場面も予想されます。それを解消し素早く目的を達成するため、そのための実力者です。」

「なるほど…」

「さて、そういった地域に我々一般人が立ち入るためにはどうしたらいいでしょうか?」

「国などのその地域を管理しているところに許可をもらう?」

「どうやって?」

「え…と…」

「まぁ、許可は貰うんだけどもさ、その方法を正攻法でせめた場合必要書類の準備や資金など含め数年かかったり、一般人では払いきれないような大金を要求されたりします。実際されたことがあります。」

「あ、請求されたんだ。」

「なので今回は裏技、というほどではないですが、とある資格を同時に取得します。」

「とある資格?というと?」

「はい、勇者の資格です。」

「勇者?て、あの人助けする勇者?」

「まぁ、人助けもするけどもね。その勇者の資格を取得すると一般人が立ち入りできない地域に入れたり、各国の王様や重要人物とコネクションが持てたり、宿の料金を割引されるなどのメリットがあるんだよ。」

「あぁ、なんか聞いたことがあるな。でも求められたら人助けもしなきゃならず、断ることは原則できないんだろう?デメリットも大きくないか?」

「勇者の資格を取った場合、原則一般人からの救援を断れない。高額な報酬の要求は不可。さらに年に1回以上の勇者としての活動を報告し実績を残さないと資格が剥奪される。というデメリットが一般的だ。

だから実力者でも勇者にはならず、冒険者ギルドの登録する者もいる。」

「だろうな。」

「ただし、勇者の資格があれば、ギルドの7ランクあるうちの上から3番目と同等かそれ以上の実力者との認定もされ、冒険者ギルドの活用もすぐできるよ。普通は登録してある程度の仕事をこなさないと、おおきな仕事を受けられないんだけどね。

あとは、さっきも言ったけど宿等の各種サービスの割引が受けられる。そして今回の旅で一番必要な危険エリアへの立ち入りが可能、フリーパスチケットへと変わるこの仕組みだよ。」

「なるほどね。正攻法より時間もお金もかからないというわけだ。」

「でだ、七大国どれか一カ国でも勇者と認めたものは勇者として活動出来るわけだが、その認定をいろんな国で受けることが出来る。これが国によって審査内容が違うが、1つの国の認可があればシングル、2つでダブルと認可が増えるにつれて勇者としての実力の証明にもなるんだ。

で、今現在勇者と呼ばれる人たちはざっくり500人ほどこの世界にいるらしいんだけど、大半がシングルかダブル、トリプル以上は50人いるかいないかというくらい少ないらしい。」

「へぇ、そんなに勇者っているんだ。」

「名ばかり勇者ってやつだな。でだ、今回行こうとしている地域はセブンス、つまりひとりで七大国すべてで認可を得る必要がある。」

「それなら資格取るだけで時間かなりかかるんじゃないか?」

「そうだな、だがな、これは意外と知られていないが勇者同士でパーティを組む場合その合計認可国が7を超えれば立ち入りも可能となるんだ。」

「ん?つまり…」

「そう、俺とアルで4カ国から認可もらえればクアッド勇者の×2で7を超える。結果世界中のどこでも行き放題となるわけさ。」

「なるほど、そういうことか。」

「ひとりでセブンスになった勇者はいない、とされている。まぁ、そもそもこの制度が出来て各国で協定結ばれてから数十年しかたってないからね。そもそも制度自体を知らない人もいるだろうし。」

「アッシュを助けるためにも、いろんな意味で俺の存在が、実力アップが必要というわけか…」

話の内容がおおきくてプレッシャーを感じているような面持ちだ。

「そう、そのためにまず最初の認可をとりに行くよ。ここから南に下っていくと傭兵の国と言われる武力国家ファイアローゼにたどり着く。まぁ、大体一カ月と言ったところか。この一カ月で勇者の資格を取れるまで引き上げるから覚悟しろよ。」

「は、はい。」

「まずは基礎筋力トレーニングからやっていくよ。」


こうして二人の旅が始まった。

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