炎
「コラーマクタ! また寝坊か!」
朝は母親による折檻だ うるさい 朝くらい寝かせてほしい
「貴方は喋らない、何もしない。家事もしなければ仕事もしない。貴方もう三十よ? バイトの一つでもしなさいよ」
もう生きているのが辛い 俺は漢字も書けないのに この前もバイト先で上司にパワハラされた お母さんは俺のこと何も分かってくれない お父さんは働かなくてもいいって言ってくれているのになんで?
こうして俺は罵声を浴びせられます どうしてそんな人生を辿ったのだっけ もう考えたくない
「二華の彼氏ってこれェ?」
一人のギャルが俺を指差した
「えーきも!」
「服装ダサ」
「ガキみたい」
女子高生の服も着てみたかったな なんで俺は女じゃないんだろう
女だったらそんな酷いこと言われなくて、ファッションセンスもあるのに
「二華って成績良いからって調子乗ってんじゃないの」「誰か止めてあげなよ〜」「アイツ感じ悪いから無理って」
嫌になった ダーリンは優しい人なのに
そこで俺は手が出てしまった
「キャァアアア!」
女子高生共は雲散した そう、俺はダーリンを守れる強さを備えているのである
人を傷つけるのはよくない 彼らも常識として学ぶべきなのでした
俺にはしょうやという友達がいる 今日はベイブレードをして遊んだ
でも最近はしょうやは話しかけてくれない
元気ないのかな ずっとアニメアイコンだし
お母さんはベタベタしすぎてうっとおしい。俺がゲームをしていたら急に写真の本を見せてきた
「ね、小さい頃の貴方、可愛いでしょ! 剣道やってた頃のキミ! 私戻ってきてほしいなぁ~」
剣道なんて痛いし怖いし気持ち悪い そもそもお父さんに言われて怖くてやってただけなのだ
それさえも貴方には一生分からないのだろう
父親は厳しい 俺の行動を逐一メモして、違ったら横からCha☆Chaを入れてくる
お話聞いてほしい、お話聞いてほしいって俺にストレス発散の矢印を向けて聞き取れなかったら話が長くなったり伝えようと言葉が伝えられなかったりするのだ
俺の何がそんなに魅力的なんだろう 自分の仕事に集中してたらいいのに
クロージングは感動する、職場は特に魅力的だったでドツボにハマった
介護士になれたら父親にはありがとう、なのかな
ゲームをすることはすきだ 何も楽しくはないけども、体を動かすことは希死念慮を遠ざける
今日も釣りのゲームをしていた アロトロールもいっぱいだ
ダーリンともやった 楽しそうだった
うらやましい
俺はダーリンとしょうやを家に連れた 父親が帰ってきた
そしたら喧嘩になった
しょうやとダーリンも巻き込まれた
部屋のものが飛び散った
俺は辛かった お父さんにもお母さんにもダーリンにもしょうやにも争ってほしくない
どんな人も存在する価値がある みんな違ってみんな良いのだと 道徳のお話です
そう。彼らを救えばいい。人は助け合う生き物。寄り添い合う生き物なのだ。
燃えるマッチの先端を家に押し当てた
燃えた
焼けていく
温かい炎が我が家を包んでいる
歓喜の声が家から上がった
うれしい
うれしい
うれしい
うれしい
しばらくしたら彼女はリンボから解放されるのだろう
彼女の身体は天に昇って俺のことを見守ってくれるのだ
俺は心から涙した。サイレンが彼女の転生を称えている
しょうやくんが炎の中で生まれ変わっていく
顔を醜くしながら 体を炭に変えながら
彼は生まれかわっていった
かわいそうである それでも世界は進むのだ




