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義妹は、私だけを見ていた。―妹に愛されすぎた女の話―  作者: 桐原悠真
第一章 ヒマワリの視線

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第13話 ヒマワリの錯覚

「美咲、今からデートしよう」


「いいよ。……二人きりって、なかったよね」

「ちょっと、寂しかったんだ」

「付き合ってても――

直哉は、私のこと好きじゃないのかなって、思ってた」


「え?」


「だって、いつも三人でしょ?」


「……いいけどね」

「ずっと一緒でも」


「俺が……ズレてた?」


美咲は、少しだけ笑った。


「さあ。私もかもね」


「いや、俺……本当に好きで……」


「知ってる」

「だから、結婚したんだもん」


「美咲……」


「これからは、手を繋いでいい?」


「駄目って言ったら?」


「それはないだろう」


「嘘よ」

美咲は、くすっと笑った。


俺達は、手を繋いで二人で歩いていた。


「今更だけど……デート、緊張する」

直哉は、真っ赤だった。


「何する?」


「え?」


「じゃあ……水族館にでも行くか」


水族館は、静かだった。

ゆったりと、魚が泳いでいる。


ただ――

俺は、どうしていいかわからなかった。


高校の時から付き合って、

大学でもずっと一緒で、

卒業して、そのまま結婚した。


まだ、新婚だ。


なのに――

何も知らない。


二人きりの時間は、

まだ、始まったばかりだ。


……いや。

今、ようやく始まったのかもしれない。


「美咲……これから、もう一度始めよう」


「うん」


二人きりで歩いている美咲は――

知らない女のようだった。


俺は――

最初から、何も知らなかったのかもしれない。


本当に、ヒマワリのような女なのか。


それとも、本当は――

……違うのか。


時々、魅せられる。


「……やばいな」


「どうしたの?」


「何でもない」


静かな水の音。

光。


それが、さらに美咲を美しく見せていた。


「やっぱり、水族館失敗かも」


「え?綺麗だよ。チョウチョウウオもかわいいし、クラゲもかわいいよ」


「……確かに、かわいいな」


「今日は……初デートなので。美咲さん、外食しませんか?」


「いいですよ」


俺達は外食をして、夜の街を少し歩いた。


カップルっぽかった。

……今更だけど。


俺は嬉しかった。


しかし、自分でもズレてるとは思った。


花屋の前を通った。

店先にあの男がいた。


「あ……」


「こんばんは」

男が声をかけてきた。


「こんばんは」

俺は手に少し力がこもった。

美咲と繋いだ手は離さない。


「こんばんは」

美咲も言った。


「この前はありがとうございます。家内が喜んでて。選んでもらえてよかったです」

俺が話した。


美咲は俺の嫁だ。


湊は、美咲を見た。


「美咲、いつも俺のために選んでくれてありがとう」

「俺すごく嬉しくて……相沢さん、これからもよろしくお願いします」


「こちらこそよろしくお願いします」

「奥さん、綺麗で羨ましいです」

「いつでもいらしてください。……少しくらいなら、お手伝いできますから」

「美咲さん、気晴らしでもいいので、来てくださいね。お待ちしてます」


「ありがとうございます」


俺達は家に帰った。


「なあ、美咲……楽しかったな」


「うん」


「あんまり何も考えてなかったから……もっとプラン考えておけばよかった」


「楽しかったよ」

美咲が笑った。


「それならいいけど」


「あとさ……花屋の……あいつ」


少しだけ、間があく。


「……嫌いかも」


「え?」


「俺の嫁だからな」


「狙ってくるやつは――敵」

そう言って、笑った。


「だからさ……花屋行くとき、俺も一緒に行っていい?」


少しだけ、間があく。


「自由ないって思うかもしれないけど……嫉妬するから」


「お願い」

「……駄目?」


「じゃあ、一緒に行こうね」


「ああ」


よし――花屋対策、完了。

俺は小さくガッツポーズをした。


「お茶、淹れるよ」


美咲が言った。

「直哉って、独占欲あるんだ?」


「……結構あるみたいだ」


「嫌?」


「別に……」


少しだけ、間があく。


「そのわりに、今まで全然だったから……」


「……ズレてたからな」

「ごめん」


「直哉、私……甘えていいの?」


「え?」

「……甘えてくれていいけど」


やっぱり俺は――何も知らなかったようだ。


その頃。

湊は、家で美咲のことを考えていた。


美咲さん……俺を見てた。


やっぱり――

連れ出してほしいってことかな。


あの感じ。


きっと……そうだよな。


美咲さん……。

また、来てくれるかな。


少しくらい、ご主人がいてもいい。

仕方ないよ。

あれだけの美人なんだ。


でも――

俺を、待ってる。


そして、陽菜は――


美咲、今日もかわいかった。

最高。


写真を見ていた。


ああ……素敵。


昨日の公園で撮っちゃったし、飾らないと。


どんどん増えちゃう。


でも――

美咲と一緒って感じがして、いいわ。


お兄ちゃんも共有できたら、

もっと一緒になれる。


……そうよ。

それよね。


でも――お兄ちゃん。

美咲に、手を出しちゃ駄目よ。


だって――

美咲は、私のことが大好きなのよ。


……そうよね。

美咲。

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