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義妹は、私だけを見ていた。―妹に愛されすぎた女の話―  作者: 桐原悠真
第一章 ヒマワリの視線

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第10話 ヒマワリの一致

ピンポーン


「はーい」


陽菜が来た。


「いらっしゃい。どうぞ、あがって」


「おじゃまします」


今日もやっぱり、お揃いだった。


合わせたわけじゃないのに。


ちょうど、リンクコーデみたいになっている。


「美咲、一緒だね」


「本当。一緒だね」


「この歳でするものなのか?」


直哉が言った。


「だって、美咲と一緒の方がかわいいんだもん」

「美咲みたいに美人になりたいよ」


そう言って、陽菜が私にくっつく。

少しだけ、強く抱きつかれた気がした。


「陽菜は陽菜でかわいいよ」


「ねえ、今日このケーキ買ってきたの。美咲が食べたいって言ってたやつ」

「皆で食べない?」


「ありがとう」


「お兄ちゃんも甘いの好きでしょう?」


そう言って、直哉を見つめる。


「ああ、ありがとう」


視線が、合わなかった。


少しだけ、間があく。


「美咲、手伝うよ」


「ヒマワリ綺麗。カスミソウも入れたんだ」

「素敵」

「言ってた花屋さん?」


「そうそう」


「私も行ったよ」


美咲を見る。


少しだけ、間があく。


「新人君、かわいかった」

「私も鈴蘭、買っちゃった」


そう言って、笑った。


「ここの花屋さん、花の質もいいし、いいでしょう?」

「結構教えてくれるし」


直哉が言った。


「そんなこと言って、その花屋の新人と浮気とかしないでくれよ」


そう言って、美咲を見た。


視線を、外さなかった。


「お兄ちゃん、新人君イケメンだから負けちゃうかも」


「そんな馬鹿な。俺は結婚してるんだからな」


そう言って、笑った。


「お兄ちゃん、優しくしないと駄目だよ」


陽菜が、そっと直哉の腕に触れた。

離れなかった。


「大丈夫よ。直哉は優しいもの」


「ね?」


ふふ。


美咲が、直哉の腕に触れた。


直哉の頬が、少しだけ赤くなる。


「……ああ」


少しだけ、間があいた。


ケーキを食べた。


「おいしいね」


「甘くて」


ケーキは、甘かった。


ケーキを食べてから、三人で散歩に出た。


花屋の前を通る。


ガラス越しに、

美咲は、湊と目が合った。


一瞬。


それから、笑った。


直哉が、美咲の手を握った。


少しだけ、強く。


直哉が、美咲を見た。


「なあ、美咲」


「何?」


「いや……今日は、手を繋がないとなって思ってさ」


その時。


陽菜が、美咲の手を取った。


「私も、手を繋ぐ」


少しだけ、笑う。


「一緒だね」


手を繋いだ直哉の頬が、少しだけ赤くなっていた。


何も言わなかった。


美咲は、他の男達にも見られていた。


俺が、気づいていなかっただけだった。


男たちの視線が、飛ぶ。


俺は、少し焦った。


「美咲、飲み物買ってくるから。陽菜といろ」


どうすればいいんだ。


「お兄ちゃん、私も行こうか?」


「駄目だ。二人でいてくれ」


一瞬、言葉が止まる。


「……危険だ」


俺は、自分で何を言っているのかわからなかった。


「お兄ちゃん、ここ公園だよ?」


「公園だから危ないんだ」


陽菜が、不思議そうにした。


「危なくないと思うけど……」


美咲も言った。


「いや、大人しくしてろ」


少しだけ、間があく。


「変なお兄ちゃん」


軽く、笑った。


そして、飲み物を買ってきた。


「はい、陽菜。お茶だ。」


「これは美咲の分な。美咲はこれ好きだろう?」


そう言って、渡した。


「美咲と一緒が良かったのに」


当たり前のように、言った。


少しだけ、間があく。


「え?」

「別に、いいだろう」

「美咲のは特別仕様なんだ」

「お前はそれでいい」

「美咲に優しくしろって言っただろう?」


「言ったけど、私にも優しくしてよー」


「本当に子どもだな」


「美咲、いつも陽菜が迷惑ばかりかけてる」


「迷惑かけてないよ」


「私が守ってるんだから」


「いや、俺が守ってるんだよ」


それを聞いて、美咲が笑った。


どちらでもいい、というように。


「ねえ、美咲。これからもずっと一緒よね」


「そうね。でも、陽菜が結婚するかもしれないわ」


「陽菜、いい人いないの?」

「モテるでしょう?」


「いや……美咲みたいにはモテないし……」


少しだけ、視線を落とす。


それから――

美咲を見る。


「私は、美咲がいれば十分なの」


少しだけ、間があく。


「美咲が結婚してくれたらいいのに」


「私は直哉と結婚してるわ」


「残念」


すぐに、笑った。


「でも、姉妹でいられるわ」


「美咲、大好きー」


「私も、陽菜のこと好きよ」


ふふ。


「私、少しあっちの方行ってくる」

「すぐに戻るね」


美咲が言った。


「俺も行く」


即答だった。


「私も」


一瞬、間があく。


美咲は、ふらっとどこかに行ってしまうのではないかと、思ってしまった。


今までの美咲とは違う。


――あいつが変えたのか。


いや、そんなわけない。

何もないはずだ。


――なのに。

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