日和
殺したかった。
暴力、罵倒、強要。
妹だからという理由で、この全てに耐えなければなかった。
一歳、二歳、歳が離れているのではなく、たかが一瞬、出てくるのが遅かっただけなのに。
疑問に思った。
両親に窮状を訴えても、叱るだけ。
本当に自分は愛されているのか。
本当に自分の親なのか。
ある日、我慢が出来なくなり、目の前で叫んだ。
そしたら止んだ。
不思議に思った。
こんなことで終わったのかと。
次の日から妹は何もしてこなくなった。けれど、態度は変わらなかった。
殺したくなった。
今までの事を、勝手に水へ流して接してきた。
自分は忘れてなどいないのに。
だから自分は包丁を手に持った。
一歩一歩、妹の元へ進んだ。
包丁が何故か重くなった。
体が何故か沈んだ。
胸が何故か苦しくなった。
少し、立ち止まった。
両親の心情を考えた。
自分の未来を考えた。
妹のことを考えた。
妹の未来を考えた。
妹の過去を思い出した。
妹のいい所が浮かび出した。
妹の悪い所が浮かばなくなった。
それでも、歩み出した。
あと少しで、妹が部屋から出てきた。
咄嗟に包丁を隠す。
話しかけてきた。
なんでも、お菓子が余ったからくれるらしい。
よかった。
救われた。




