第1章 壊れ行く平和
その時と言うのは、あっという間に訪れる。常に心していなくても、必ず来る物なのだ。それが、破局の時。何もかもが一新され、全てが新しい物へ変化を遂げる。それこそ、魂、素粒子レベルにまで…
「ムカメイグルがいなくなって、この宇宙は収斂を始めた。なにせ、誰も手がつけられないから、大騒ぎになっているよ」
ユキノ神が言った。いつものアパートで、コタツに入りながら、スタディン神、クシャトル神、ユキノ神、ヘイスイ神、カガ神、ミヤザキ神は、話し合っていた。
「そうそう。なにせ、これまでなかった事だからね。宇宙外脱出を図る人たちまで現れているから、この混乱は、宇宙がなくなる心配がなくなるまで続くと思うよ」
ミヤザキ神が言った。
「でも、ムカメイグルは、どこに言ったんだと思う?」
「自分が考える限りは、オメトルのエネルギーの残っている場所だな。あそこは、ホムンクルス神のエネルギーが全ての場所よりも多いから、引き寄せられる可能性がある」
「そうかもしれないけど、とにかく、この宇宙の収斂をどうにかして止めないと…」
「…一つだけ、方法がある」
スタディン神が、言った。
「どんな方法?」
「空間静止と呼ばれるやり方だ。この世界にある魔法完全体を原料として、直径12.6cmの大きさの真球を作る。その中に神の魔力を封印し、世界の時空を止める。だが、これには一つ問題がある」
「どんな問題?」
カガ神が言った。スタディン神は、すぐに答えを返した。
「魔力の中和作用だ。元々、魔法完全体に含まれている魔力は、別の神のものだった。彼は自らの体がなくなってもなお、このようにして影響を与え続けているんだ」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「魔力を追い出しながら、魔力を入れる」
「え?どういう事?二つ並列してしろって言う事?」
「その通りだよ、ミヤザキ神。だから、二人の協力が必要になる。さらに、このやり方には、最低5つ必要とする」
「…1つ足りないな」
ユキノ神がつぶやいた。
「大丈夫だ。最後の1個は、君達全員の力を入れたものを作ればいい。自分がついているから、どうにかなるから」
「…どうする?他に救う道がないなら、これをするしかなさそうだけど…」
「そうだね。私はしてみようと思うよ。だって、国民を助ける事ができるなら、それにこした事はないからね」
「うちもその意見に賛成するね。このままじゃ、この宇宙ごと崩壊して他宇宙に被害が及ぶかも知れなくなる」
「僕も賛成だよ。そもそも、これ以上の妙案は浮かばないと思うしね」
「じゃあ、決定だ。スタディン神、クシャトル神。よろしくお願いします」
「ああ、君達の決意。確かに受け取った」
こうして、宇宙を守るために、魔法完全体を使い結界を張る事によって、この宇宙の収斂を止めようとした。