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第玖話 【救出】

 猫のオキョウさんが私の前に現れた。

 何故わかったかと言うと襲われたからだ。


「きゃあ!」

「フーー!!」


 オキョウさんは毛を逆立て尻餅をついた私にジリジリと近づいて来るとそして飛びかかって来た!


「来ないでー!」


 私が手を差し出した時、オキョウさんは弾かれて距離をとる。 するとオキョウさんの体が大きくなり始め、顔だけでも私よりも大きくなってしまった。

 足を振りかぶりその肉球は柔らかくても激しい衝撃が私を襲った……そして気を失った私はオキョウさんに咥えられて連れ去られた。


「……ただいま」


 飯綱荘の玄関を開けて帰って来たのは白。

 玄関が開いた音を聞いて赤井さんが走って下りてきた。


「白! 大変です!」

「なんだ?」

「智子さんは一緒では無いですか?」

「そうだか? ……まさか!?」

「そのまさかですよ」

「ちっ! どの辺だ!?」

「木が沢山ありましたから森だと思います」

「わかった!」

「私も十字達に伝えて向かいます!」


 白は鞄を放り投げ走って森へ向かう。


「……冷た……」


 ピチョンと頬に水滴が落ちて目を覚ました。


「どこここ……」


 手足を縛られ動けない状況で、どこかのーー牢屋?

 石牢の中に閉じ込められてる?

 外には巨大なオキョウさんがいるけど、私の手足を縛ったのはだれ?


「目が覚めましたか?」


 誰かがオキョウさんの隣から声をかけてくるけどオキョウさんの影で姿が良く見えない。 若い男性の声だけど。


「だれ? 私をどうするつもり?」

「おやおや、化け猫を見ても泣き叫ばないとはさすがですね」

「……あなたも妖怪なんでしょ?」

「鋭いですね、確かに私も妖怪です」

「私に何かようですか?」

「そうですね、今回は何かするつもりはありません。 そこで大人しくしていただいてれば結構です」

「大人しくって……なんで私を攫ったの?」

「それはまだ言えませんね」


 そう言ってその妖怪はいなくなってしまった。

 ピチョンと水が滴り落ちる音だけ聞こえてくる。

 ……怖い……皆んなとは違う妖怪は初めてだし……泣きそう……。

 今はぐっとこらえているが、この後どうすれば良いかもわからない。


「これからどうしよう……あの妖怪はここにいろって言ってたけど……」


 もがいてみるが手足を拘束されていては動こうにもどうにもならない。


「白君……皆んな……」


 何故だろう……私は皆んながきっと助けに来てくれるって思ってしまっていた。

 この時、私の指にはめてある指輪が赤く輝いている事には気が付かなかった……。


「くそっ! どこだ!」


 白は森の中を走り回っている。

 本来なら他の妖怪の妖力を感じ取れるのだが、森の中はその妖力が蔓延していてわからない。

 草木を分け木の上に飛び乗り辺りを見回してしるが見つからない。

 そうこうしている内に赤井、灰が走ってやって来た。

 黒は灰におんぶされている。


「赤井、この辺りか?」

「ええ、私が見た映像ではこの辺りのはずです」

「黒、何かわかるか?」

「待って下さい、こう妖力が広範囲にあると……、う〜んと……」

「おい、早くしてくれよ!」

「まあまあ灰、ここは黒に任せましょう」


 黒は探知の範囲を広げると地下に智子がいる事に気がついた。


「これって……わかりました! 智子お姉ちゃんは地下です!」

「地下だと!?」

「こちらです!」


 黒は走って案内をすると、草木に覆われボロボロになった神社が見えてきた。


「あそこの地下です!」


 神社の裏の壁には小さな洞窟が開いている。

 その奥は地下へと繋がる階段が見えた。

 

「あそこか!」


 白は走って入ろうとしたが、目の前にオキョウが立ち塞がった。


「なんだ! 邪魔するなら殺すぞ!」

「白、待って下さい! この妖怪は恐らくテッサさんご言っていたオキョウさんでは?」

「だからなんだ!? 邪魔するなら倒すことは変わらない!」


 白と赤井が話しているにも関わらずオキョウは爪を立てて攻撃してきた。


「邪魔だ!」


 白の拳が青白く燃え上がる。


「まてまて、こいつは俺が相手してやる。 白達は急いで中に入りな!」

「僕達に任せてよ!」


 声の主は十字と銀の二人。

 オキョウを引き付けている間に白達は洞窟の中に入って行った。


「それじゃ十字、よろしくね」

「バカ、お前も手伝え!」

「え〜、この程度なら十字だけでも十分でしょ?」

「あのなぁ……」

「ほらほら、攻撃来るよ!」

「あーもう! しょうがねぇ!」


 オキョウの爪を十字は片腕で受け止めた。


「フギャアアアア!」


 オキョウの連打で十字の服が破れてしまうが、十字の体は黒く色が変わり傷一つついていない。


「ギニャアアアア!!」


 十字に攻撃していたオキョウの爪が欠けて叫び声を上げた。


「あーあ、十字に攻撃なんてするから……よし、僕も少しやってみるか」


 銀はオキョウをふわふわと浮かせて地面に叩き落として気絶させた。


「銀〜、最初っからやってくれれば俺の服が破れなかったんだけど?」

「破けてる格好もカッコいいよ」

「ほ〜う、それならお前の服も破いてやる!」

「それは遠慮するよー!!」


 逃げる銀を十字は追いかけて何処かに行ってしまった。


「この先か?」

「はい、この先から気配を感じます」

「どうやら正解のようですよ」


 少し先は明るく光っている。


「智子お姉ちゃん!」

「黒君!?」


 牢屋に走って来た黒君を見て驚いた。


「よくここがわかったわね」

「もちろんだよ。だって……」

「いいからどいてろ。 少し離れてろよ」


 白は拳で牢屋を殴って破壊してしまった……凄い……。


「大丈夫でしたか? 今外します」


 赤井は智子の手足の枷を外し、牢の外に出た。


「みんなありがとう」

「お礼は後です。 まずはここから出ましょう」

「オキョウさんは?」

「外で十字と銀が相手をしてるはずです」

「もう終わってるだろ。 一緒に連れて帰れば依頼も達成だろ」


 そっか、十字さんや銀君も来てくれたんだ……。


 洞窟から外に出ると、あんなに大きかったオキョウさんは普通の猫のサイズになって横たわっている。

 黒君は気絶しているオキョウさんを拾って戻ろうとした時、白君は足を止めた。


「……何者だ……?」

「ふふ……気がつきましたか……しかし姿を見せるのはまだ早いですからね、今回はこのまま失礼しますよ」

「なんだと! 待て!」


 姿のわからない人の声が風に揺れる木々のざわめきの中に消えて行った。


「何者なんでしょうか?」

「わからねえが……かなり出来そうだな……」

「考えるより早く智子お姉ちゃんを連れて帰ろうよ」

「そうですね、白行きますよ」


 白君は後ろを気にしながら、私をおぶって飯綱荘まで戻るのだった。

 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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