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第捌話 【妖怪のお助け所】

 私の力によって新たに黒君が顕現し、飯綱荘もまた賑やかになって来た。


「おはよう黒君」

「おはようございます智子お姉ちゃん」


 黒君は見た目一番の年下だけど、誰よりしっかりしている。

 今だって私より早起きで、既に布団が畳まれているし。


「今日も起きるの早いね〜」

「そんな事はありません」


 しっかりし過ぎて大人顔負けって感じだ……。

 そんな黒君も今は小学校に通っている。

 黒いランドセルが黒君に良く似合う。

 小学校の入学届などなどは赤井さんが色々とやったみたい……妖術ってやつらしい……便利でいいなあ。

 朝ご飯も黒君が食器の配膳などを手伝ってくれるので大変ありがたい。

 そしてゾロゾロとやって来る住人達。


 黒君はどうやらしっかりしている赤井さんや白君には懐いているようだけど、十字さん、灰さん、銀君には良くお小言を言って注意している。

 銀君はそれでも可愛がっているようだけど。

 食事も食べ終わり奏と待ち合わせ。

 奏に説明も大変だった……。


「トモモ、昨日のあの子は? 知り合いなの?」

「えっとね……」


 いとこの子が来てて、勝手に着いて来たと説明。

 もちろん信じてもらえなかったけど……。


「小さい頃に一度会っただけだから、あんなに大きくなっているとは思わなくて」

「本当に? トモモ何か私に隠し事してるでしょ? 親友なのに……親友なのに〜! シクシク……」


 泣き真似されてしまうが、ちゃんと話しても信じてもらえないだろうしな〜……。


「それじゃ今度トモモの家に遊びに行ってもいい?」

「え!? 家に?」

「そうすれば本当かどうかわかるじゃない」

「そ、そうだけど……」


 家には危険な妖狐がいるから来ない方がいい……とは言えなかった……。

 学校が終わると、奏が家に着いて来た。


「ここがトモモが住んでる所?」

「う、うん……」

「なかなか味があるアパートね」

「ま、まあね……」

「それじゃ突撃ー! お邪魔しまーす!」

「ああ! ちょっと待ってー!」


 玄関の扉を開けると、いつもの光景である十字さんと銀君が追いかけっこ状態。


「あれ? どちらさん?」

「客とは珍しいな」

「あ……えーと……」


 十字さんが銀君の襟元を掴んだ状態で奏に気がつき、玄関で固まっている奏に声をかける。


「奏、先に行かないでよ〜」

「ねえ、トモモ」

「どうしたの?」

「このアパートって部屋が分かれてないの?」

「部屋は別だよ。 台所とトイレとお風呂が共有なだけ」

「そ、そうなんだ……」


 奏を部屋に案内すると、飛びついて食いついて来た。


「ねえねえ! トモモはあんなイケメンの人と同じ屋根の下なの? それにこの間見た年下の男の子もいるし!」

「ちょっと落ち着いて、説明するから……ここはお婆ちゃんが元々管理人してたけど、お婆ちゃんが亡くなってから私が管理人をやる事にしたのよ。 学校にも近いし」

「でも年頃の娘があんな良い男と屋根の下なんて……お母さん許しませんよ」

「いつから私のお母さんになったのよ」


 お互いに見つめ合うと笑いが込み上げて来た。


「これでわかったでしょ?」

「まあね、ん? まてよ……と言う事はあの車のイケメンお兄さんもここに?」

「え? ええ、そうだよ」

「う〜ら〜や〜ま〜し〜いー! 私と交換しない?」

「何言ってんのよ」


 2人で楽しくお喋りをしていると、部屋のとびらがノックされる。


「はい、どうぞ」

「失礼します」


 黒君がお盆にジュースとプリンを持って来てくれた。


「あら、この間のショタっ子じゃない」


 黒君はジュースとプリンをテーブルに置くと、ペコリと頭を下げて部屋から出て行った。


「可愛い〜……あんなショタっ子までいるなんて、本当に羨ま〜」

「あは……あはは……ま、まあプリンでも食べてよ」

「ありがと、いただきま……ねえトモモ」

「なに?」

「このプリン、銀ってマジックで書いてあるけど?」

「……き、気にしないで……食べても大丈夫だから」

「そう? それじゃいただきます」


 後で銀君に新しいプリン買って来ておこう……。


 しばらく奏と尽きないお喋りをして奏は帰った。


「ふぅ〜……、何とかなった……かな?」


 こうして奏と言う嵐は去り、アパートに平和が戻ったのだが……。

 あー、明日また色々聞かれそう……。

 そして次の日……やっぱり色々と聞かれた……。

 奏だからよかったけど。

 

 そしてその夜、またアパートの扉をノックする者が現れた。

 また夜行(やぎょう)って言うのが来たのかな……?


「ど、どちら様ですか〜……」


 いつもより弱々しい声しか出ない。

 だって怖いもん!


「夜分にすいません、あっしは旧鼠(きゅうそ)の【テッサ】と申しやす」


 旧鼠? 誰だろ? でも昨日とは違ってちゃんと名乗ってくれてるし……。

 ガラガラと引き戸の扉を開ける……。


「あ、ども」

「……う〜ん……」


 私は扉を開けてテッサと名乗る人を見て倒れた。


「おい、大丈夫か?」


 倒れる私を白君が受け止めてくれた。


「ん……、……白君……私……」

「何かあったのか?」

「すいやせん、あっしの姿を見てぶっ倒れちまいまして……」

「……なるほど……人の姿になれるか?」

「へ、へい」


 テッサさんの姿が小袖と言う服を着ている男性へと姿を変えた。


「あのー、こちらは妖怪のよろず屋で間違いねえでしょうか?」

「よろず屋とは違うが……とりあえず入れ、話しを聞こう」

「え!? 入れちゃうの?」

「問題ない」


 白君は私を置いてきぼりにしてテッサさんを食堂まで連れて行ってしまった……妖怪のよろず屋ってなんだろう?


「さて、話しを聞きましょうか?」


 食堂には赤井さん、十字さん、銀さん、白君、黒君が座っている。

 その中に私も何故か座っていた。


「先程は申し訳ねぇです。 まさかここのお人があっしの姿を見て倒れるとは思いませんで……」

「彼女は間宮 智子(まみや ともこ)さん。 ここの新しい管理人です。 まだ変わったばかりなので不慣れなんですよ」

「そうでやんしたか……」

「それより早く話してくれよ」

「へ、へい……」


 十字さんに促され話し始めた。


「あっしはここから山を二つ越えた先の田舎町で化け猫の【オキョウ】と一緒に楽しく暮らしておりまして……ただ、つい先日いつも楽しそうに踊ったりしているオキョウがいなくなっちまいまして……森の中を探したんですが見つからず、山を一つ二つと越えて探していましたところ、ここの近くの山に入った時、暗闇に光る二つの目、あっしは震える足を奮い立たせて……」

「おい、話しがズレてるぞ」

「乗ってきた所悪いですが簡潔にお願いします」

「おっとすいやせん……オキョウを探してこの近くの山に入った時に、そのオキョウに襲われたんです。 あっしは一生懸命にオキョウを呼んだんですが、森の中に消えてしまいました」

「それは本当にオキョウさんだったのですか?」

「へぇ、あっしが間違うはずはありやせん。 あれはオキョウでした」


 ……なんだろ……お化け鼠の次は化け猫……怖い話しばかりなんだけど……。

 私はこの手の話は苦手なんだよ〜……。


「わかった、明日確認する」

「すいやせん。 恩にきりやす」


 訳を話した鼠のテッサさんは帰って行った。


「また迷子探しか〜」


 銀君は頭に手を回し椅子を傾けてブツブツ言ってる。


「仕方ないですよ。 決まりなんですから」

「そう言うこった。 俺も帰って来たら手伝うから銀も手伝えよ」

「え〜」

「僕もお手伝いします」

「さすが黒だな。 銀も黒を見習えよ」

「わかったよー」


 十字さんに手伝うように言われ、ぶーたれてた銀君も黒君が手伝うと聞いてやる気は出したみたいだけど……。


「あの、いつもこんな事をやってるんですか?」

「いつもではないですが、たまにですね」


 妖怪探し.…妖怪って迷子になるのかな?


「私も手伝いますか?」

「いや、智子さんは家で待機していて下さい」

「そそ、何かあったら大変だしね」

「でも黒君も手伝うって……」

「そうですね、まだ黒は顕現したばかりですし、家で智子さんをお願いします。 明日は私と白、十字と銀で探しましょう」


 そして翌日から迷子の妖怪を探す事になった。

 私は特にやる事無いし、いつも通りの過ごし方。

 猫の妖怪オキョウさんは見つからずに2日が過ぎ3日目、オキョウさんは私の前に現れた。

 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。


 

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