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第陸話 【お稲荷さん】

 灰さんの原稿が上がるまで食事と進捗状況を担当の小石川さんに連絡しないといけなくなった……。


「はぁ……、なんで私が……、……灰さーん、ご飯ですよ〜」


 灰さんの部屋まで作ったオムライスを運びノックする。

 返事が無いなぁ……。


「開けますよ〜」


 部屋に入ると灰さんがパソコンの前でうつぶして眠っている。

 こうして見ると可愛いんだけど……。

 いつもの行動でかなりギャップを感じる。


「クンクン……ん……ふわぁ〜……メシか?」


 ボサボサの髪をかきあげながらオムライスの匂いにつられて起きた。


「そうですよ。 大丈夫ですか? ……ぷっ……」

「ぬぁに笑ってんだよ……」

「だって……」


 灰さんの寝方が悪かったのか、頬に腕のアザがついている。


「ん〜……まぁいいや、メシだメシ」

「小説の進捗状況はどんな感じですか?」

「ああ、だいぶ進んだ」

「どんな小説書いてるんすか?」

「……なんだ、興味あるのか?」

「はい!」

「……そうか……未成年に見せるのは早いが、読んでみるか?」

「未成年には早いってどんな小説なんです?」

「官能小説」

「え!? ……い、いいです!! お邪魔しました! 食べ終わったら部屋の外に出しておいて下さい!」


 私は灰さんの部屋を飛び出した。

 だって官能小説なんて……。


「おや? 智子さんどうしました? 顔が赤いですよ、体調でも悪いのですか?」

「え!? い、いえ……大丈夫です……」


 灰さんの部屋から飛び出した所を赤井さんに見られてしまった。


「灰に何かされました?」

「な、なんでもありませーん!!」


 自分の部屋まで走って勢いよく扉を閉めた。

 まだ顔が赤いよ……。

 頬に手を当てると熱くなっているのがわかる。


「あー……驚いた……。 次から灰さんに持っていく時どんな顔したらいいのよ……」


 歩きながら学校へ、白君は先に行ってるみたいだしゆっくり行こ。


「よっ! トモモおはよー! 今日はお一人様ですか?」

「奏おはよー、もちろんお一人様ですよ」

「そっか〜残念。 昨日はイケメンのお兄さんに連れ去られるし年下と登校するし、イケメンのお兄さんを拝みたかったのにな〜」

「なに言ってんのよーもう!」


 お互いに笑いながら登校し、何事もなく授業は進み無事に下校時間となる。

 学校では白君とはあまり接触しないようにしている。

 だって他の子達がファンが怖いからね……。


「今日のご飯は何にしよう……灰さんも頑張ってるし……そう言えば油揚げって皆んな好きなのかな? 試しにお稲荷さんでも作ってみようかな」


 スーパーで油揚げを多めに買って、早速ご飯の支度を始めた。


「あれ〜? トモちゃん何作ってるの?」

「銀君今帰り? 作ってるのはお稲荷さんだよ」

「マジで! やったー!! 十字〜! 今日お稲荷さんだって〜!!」


 報告しに行っちゃった……本当に仲良い二人だな。


「よしっと、こんなもんかな?」


 結構沢山作って少し疲れちゃった。

 皆んな食べてくれるかな〜?


「お、良い匂いじゃん」

「あ、十字さん。 ……つまみ食いはダメですよ」

「わ、わかってるって、銀みたいな事はしない、しない……、……だから銀、お前もダメだ!」


 お稲荷さんが一個フヨフヨと宙を飛ぶ。

 どうやら隠れている銀君が能力を使っているみたいで、もふもふした尻尾がチラ見している。


「違うよ、つまみ食いじゃ無くて味見だよ味見!」

「そうか味見か……なら俺がしてやるよ」


 十字さんがフヨフヨと浮いているお稲荷さんを掴んで食べてしまった。


「あー!! 十字何してんだよー!!」

「うん! 美味い! これは夕飯が楽しみだ!」


 十字さんが指を舐めながら私にグッドサインをしてくれる。

 とりあえず美味しいと言ってもらえたのは良かったけど……、……はぁ……。

 銀君と十字さんのドタバタが始まってしまった……。


「白と赤井にも伝えて来るよ」

「十字待てー!!」


 十字さんは私にそう言って銀君に追われながら行ってしまった。

 うん、私は皆んなが来る準備して待っておこ。


 しばらくして白君、赤井さんが席に着き、十字さんの頭をかじっている銀君も一緒に来た。


「さ、食べましょう! いただきます」

「いただきまーす!」

「いただきます」

「いただく……」

「いただき!」


 十字さんが美味しいとは言ってくれたけど、皆んなの反応が気になる。


「智子さん……」

「は、はい!」


 赤井さんご一口食べて真剣な顔をして私の方を見つめて来る。


「お口に合わなかったですか?」

「とんでもない! 素晴らしく美味しいです! お婆さんの稲荷も良かったですが、これもまた美味です」

「よかったです」


 ふー……よかった。 私の稲荷の味はお婆ちゃんに教わったんだよね。 そこから私好みに少しだけ変更したんだけど……。


「白君はどう?」

「婆さんの味にはまだまだだな」

「そ、そう……」

「大丈夫だよトモちゃん。 白が一番食べてるんだから」

「銀、てめぇ……」

「トモちゃん、白が睨んでくるよー」

「チッ……」


 白君は無言でパクパクと食べてくれている。

 お婆ちゃんの味にはまだまだだけど、食べてくれてよかった。

 そうだ、灰さんの分も持って行かないと……。


「また灰は部屋にこもってるの?」

「そうみたい、締め切りが近いんだって」

「推理小説って書くの難しそうだしね〜、僕には書けそうも無いや」

「推理小説?」

「そうだよ? あれ? トモちゃん知らなかった? 灰は推理小説家なんだよ、そこそこ売れてるって話しを聞いたけど?」


 私はお稲荷さんの乗ったお皿を持ち力強く階段を上がり、力強く扉をノックした。


「おいおい、扉を壊す気か? 開いてっから入って来いよ」

「お邪魔します! 灰さん!」

「なんだ? 今日は機嫌が悪そうじゃないか?」

「官能小説って嘘じゃないですか! 推理小説家って聞きましたよ!!」

「お、やっと気がついたか。 初々しい反応楽しませてもらったぜ」

「もうっ! これご飯です! 食べたら部屋の前に置いておいて下さい! お邪魔しました!!」


 バンッと勢いよく扉を閉めて台所を片付けに戻った。


 まったく……灰さんにも困ったもんだわ……。

 片付けが終わって自室に戻って宿題をやり始めた時、アパートの扉がノックされた。

 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。


 

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