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妖狐そ!【飯綱荘へ】 〜引っ越し先は妖怪のお助け所でした〜  作者: かなちょろ


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第貳拾話【主のネーミングセンス】

 奏を助け出した次の日、奏はちゃんと家に戻り、今日は学校に普通に来ていた。


「奏、よかった〜。 あれから何事も無かった?」

「何事もなかった……と言いたいんだけど……」

「え!? 何かあった?」

「お昼に話すわ」

「う、うん」


 帰りに何かあったのだろうか?

 そして昼休みがやって来た。


「奏、話しを聞くよ」

「ちょっと待って……ここじゃ……そうだ、体育倉庫の裏に行こう」

「え?」


 奏に手を引かれ体育倉庫の裏向かう。 その時奏は鞄を手に持っていた。


「……さて、話しを聞こうかな」

「これ……見て」


 奏は鞄に付いている可愛いもふもふしたキーホルダーを見せて来た。


「可愛いキーホルダーだね? それでこれがどうしたの?」

「実はね……」


 奏が話そうとするとキーホルダーがピカッと光り、鞄からキーホルダーが無くなっていた。

 そして私の後ろにいたのは白君位の背丈の男性……だれ?


「え? ど、どちらさま……?」

「え〜と……こちらは私を誘拐したブラックさんです……」

「な! なんで!? 奏をまた攫いに来たの!?」

「ちがうちがう……それはね……」


 奏は昨日家に帰ってからの事を話してくれた。


「今日は大変だったな〜……赤井さん達の様に良い妖怪もいるけどブラックの様に怖い妖怪もいるんだよね……自分が標的になって初めて怖さがわかったかも……、……私も用心しなきゃまた攫われちゃう……あ、でも囚われのお姫様になればまた赤井さんが助けに……な〜んてね……」


 宿題をやりながらそんな妄想にふけていると、部屋の窓がノックされる。

 何かぶつかってるのかとカーテンを開けてみると……。


「ひっ! な、なんでここにいるの!?」


 窓枠にしがみついていたのは私を攫ったブラックだった。


「入れてくれねぇか?」

「い、いやよ! また私を攫うんでしょ!?」

「そんな事はもうしない」

「本当? 信じていいの?」

「ああ」

「本当にほんと?」

「ああ」

「襲わない?」

「あ゛あ゛!」

「それじゃ……」

「いいから早く入れろ!」

「しょうがない……でも襲ったりしたらまたみんなが黙ってないからね!」


 カラカラと窓を開けてブラックを中に招き入れた。


「それで? 何しに来たの?」

「お前と契約しに来た」

「契約? なんの? ツボでも買ってくれとか?」

「そうじゃ無い……、……俺はお前を守りに来た」

「守りにって……どうしたのよ」

「初めてだった……誰かに守られるなんてな……妖狐に負けたあの時、お前に助けられなかったら俺は消えていた……その恩返しがしたい」

「恩返しって……人間嫌いじゃ無かった?」

「人間にも色々といるようだからな……お前は守るべき人間だとわかった……それだけだ」

「そんな事言われてもな〜……契約したら魂取られるとかない?」

「俺はそう言う類いでは無いから安心しろ。 むしろ俺がそう言う奴から守ってやる」

「う〜む……契約したらここで一緒に住むのかしら?」

「そうだ。 離れるわけにはいかないからな」

「それは無理! 年頃の女の子の部屋に妖怪だからって男の子が一緒に住むなんて無理!」

「これでもか?」


 ブラックは人の姿へと変わり、白君達とはまた違う幼さがまだある様に見える顔立ちだけど、絶対にイケメンになるであろう……。


「人の姿になったからってダメなものはダメ! さっきよりダメになったわよ!」

「そ、そうか……それなら……」


 ブラックはまた姿を変えて、小動物へと姿が変わった。


「これならどうだ?」

「可愛い〜! ……やっぱりオコジョかイタチだよね?」

「俺はミンクだ!」

「ごめんごめん、でもその姿なら一緒にいてもいいかな」

「では驚異が現れるまではこの姿でいよう」

「驚異って……まぁいいや。 それで契約ってどうすれば良いの?」

「俺の唇に重ねてくれればいい」

「唇を重ねるって……まさか……、……キス〜〜!! 私ファーストキスもまだなんだよ! それをあなたにするって言うの!?」

「ファーストキスがどう言う物か知らないが、額を当ててくれればいい」

「え!? 額? ……そう……それなら……」


 ブラックを持ち上げて額にキスをしてもらった。


「これで契約は完了した。 俺の主の名前を聞いてもいいか?」

「私は深馬 奏(ふきしば かなで)、女子高生よ。 あなたはブラックって呼べばいいのかしら?」

「俺の事は好きに呼ぶといい、ブラックと言う名前もこの黒い毛並みからつけただけだからな」

「そっか、それなら〜……クロだと智子の所の黒君と同じになっちゃうし……ミンクだとそのままだし女の子みたいだからな〜……何か好きな物ってあるの?」

「特には無いな……しいて言えばこの深い黒の毛並みだろうな」

「そうだなあ……【モフ太郎】か【黒豆(くろまめ)】がいいかな〜、君はどっちがいい?」

「……モ……モフ太郎に黒豆……だと……」

「私的には黒豆がいいと思うんだけど」

「ぬ……モフ太郎よりはマシか……、……なぜ黒豆なんだ?」

「それは黒く艶のある高級感溢れる毛並みや今の姿が黒豆に見えたからかな」

「ぬぅ……主が決めたのなら仕方ない……今日から俺の名は黒豆だ」

「名前も決まった事だし、宿題をちゃっちゃと終わらせて早く寝ないとね」


 パジャマに着替える時は後ろを向いてもらって着替えてから布団に入る。


「黒豆も入る?」

「俺はこの棲家の周りを見てこよう」


 黒豆は窓から外に出て行ってしまった。


「……という言う訳……」

「それで学校まで着いて来ちゃったの?」

「当たり前だ。 主から離れる訳にはいかないからな」

「本当に驚いたわよ、朝起きたらベッドの前に人の姿で座ってるんだもん……しかも学校に行くからお留守番しててって言っても言う事聞いてくれないし……私が主のはずなんだけどね……」

「主が危険な目に遭うかも知れないのを見過ごす訳にはいかないからな」

「それでマスコットキーホルダーに変身してまで着いて来たのよ」

「なるほど……でも害は無さそうなら良いんじゃ無い? 奏、前から自分だけの騎士(ナイト)様を欲しがってたじゃない」

「それはそうなんだけど……こればかりは文句言っても仕方なしか。 そう言う事だから白君達にも言っておいてくれる? 黒豆は敵じゃないよって」

「わかった、伝えておくよ。 あ、そろそろ教室に戻らないと」

「そうね黒豆、キーホルダーに戻ってくれる?」


 黒豆はマスコットキーホルダーへと姿を変えて奏の鞄に張り付いた。


 まさか奏まで妖怪が関わるなんて……私のせいかなぁ……私のせいだよね……でも黒豆君がいるなら少し安心出来るよ。


 帰ったらみんなになんて言おうか考えながら教室に戻った。


 

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