第捌話 【連れ去られた親友】
親友の奏が行方不明になった。
私達と別れた後、白君を迎えに行った赤井さんから聞いた話しだ。
「……赤井さんが着いていながらどうして……」
最初に聞いた時は取り乱して赤井さんに詰めるような言い方をしてしまった……。
赤井さんが悪いわけでは無いことはわかっている。
しかし親友が突然消えてしまったのだ……憤りが胸から消えない……。
「……申し訳ありません……」
赤井さんは頭を下げて謝ってくるのを見てなんて言ったらいいのかわからなくなる。
「赤井さん……、……赤井さんのせいでは……」
気にしないで下さいとも言えないし、なんて言ったらいいのか……。
「赤井は悪く無い……車の中には赤井以外の妖気が微かに残っていた、恐らく妖怪の仕業だ」
白君が見つけた時に奏はいなかった。
妖狐である赤井さんの目を盗んで奏だけを誘拐するなんて人間には出来ない……白君の言う通り妖怪の仕業で間違いは無いのだろう。
「妖狐を出し抜くなんて結構やるね」
「そうだな、赤井が眠らされるなんてよ」
銀君、十字さんの言葉が赤井さんに突き刺さってるけど……。
「赤井兄さんに言ってても始まりません! 早く奏お姉ちゃんを見つけるのが先です!」
「そ、そうだよね! 何かわかる事はないの?」
「……一つだけある……」
「何かわかるの!?」
「俺達妖怪の妖気はな、妖怪によって違う……つまり、車の中に残っていた妖気を見つけ出せば……」
「奏が見つかる!!?」
「そのはずだ」
「私も一緒に行きましょう」
「赤井さん……白君お願いします」
「ちょっとトモちゃん、僕達を忘れてない? 僕達だって一緒に探すよ、な、黒?」
「もちろんです! 僕も探します!」
「しゃーねー、俺も手伝ってやるよ」
「みんなありがとう」
「トモちゃん、カナちゃんを見つけたらご褒美だよ」
「もちろん!」
会議をしている食堂では白君を筆頭に白君、赤井さん、銀君、十字さん、黒君が探しに行った。
私も探しに行きたかったが、この誘拐が妖怪の仕業だとしたら危険と言う事で置いて行かれている……でも……私も奏を探したい! 私の護衛として飯綱荘に残っている灰さんにちょっと頼んでみようかな。
「灰さん、私も奏を探しに行きたいんです!」
「あー、やめといた方がいい」
「でも奏は私の親友なんです!」
「親友ねぇ……その親友のために自分の命を張れるのか?」
「はい!」
「……へぇ……即答とは恐れ入ったぜ……ったく……原稿が遅れても文句言うなよ」
「わかりま……、……それは別では?」
「ちっ! 気づいたか……、……ほら、探しに行くんだろ? 早く支度しろ!」
「は、はい!」
私は灰さんと連れて奏を探しに出かけた。
「……ここは……」
奏が辺りを見回すとどうやら森の中のようだ。
「なにこれ!」
奏は太い木にロープで縛られ身動きが取れない。
「起きやがったか」
声はその太い木の後ろから聞こえて来る。
「だれ!? 私になんのようなの!?」
「お前に用はねえ……むしろ今すぐに八つ裂きにしてやりてぇが……今はエサとさせてもらう」
「エサって……私はエサじゃなくて人間よ!」
「そうだろうな……だからこそ俺の手で八つ裂きにしてやれてぇんだが……今は手を出すなと言われてるからな」
「私を八つ裂きにしたいって……私が何をしたのよ!?」
動けない私は声のする方へ不明な相手に首だけ回し、震える声で話す。
「何をしたか……か……。 いいだろう、教えてやるよ……」
その声のヌシは私の前に姿を現した。
「え! ……イタチ?」
その姿はイタチのようなフェレットのような真っ黒い姿で顔には目元から白い線が入っている。
「イタチじゃねぇ! 俺は【眠狗のブラックだ!」
「そのブラックさんがなんで私を攫うのよ?」
「……驚かないんだな……」
「まぁ、ちょっとね……それで攫った理由が知りたいんだけど?」
「俺は誰でもよかったんだけどな、ある人に言われて貴様を攫った。 貴様を攫えばここにもう一人の人間の女が助けに来るとな」
「助けにって智子の事ね!? それにある人? その人に言われて私を攫って八つ裂きにしてやるとか言ってるわけ?」
「言ったろ、俺は人間なら誰でもよかったとな」
ブラックは私の前に胡座をかき鋭い爪を私の頬に当てて話し始めた。
「俺がまだ小さい頃、母と一緒に人間に捕まった……連れて行かれたのは俺の仲間が沢山いる檻のような場所だ……そこで仲間も……俺の母も……そして俺も人間によって殺された! 喰らうわけじゃない……ただ毛皮欲しさにだ!! それなら俺も人間の皮を剥ぎ取って八つ裂きにして殺してやる!!」
その目には憎悪と復讐の念が入り混じり、顔にある白い線がまるで涙が流れているようにも見えた。
「……そっか……私はその憎い人間なんだものね……、……私だって親や友達、それに自分がそんな事になったら同じように思っちゃうだろうな……、……ごめん……ごめんねぇ……」
「な、なに泣いてやがる! お前には関係ない事だ!」
ブラックは私が繋がれている木を殴り葉が落ちる。
その木の上から別の声……この声って!
「その関係無い人を攫ったのは何故ですか?」
「赤井さん! それに十字さん、白君、銀君、黒君も!」
五人は木より降り立ち、銀君が私の紐を解いてくれた。
「やっと来やがったな」
「俺達を待っていたようだが……理由を聞かせてもらおうか?」
白君が一歩前に出ると、ブラックは誰かを探している様子だ。
「……肝心な女がいないな……探しに来なかったのか?」
「もしかして智子さんを連れて来るために奏さんを誘拐したと?」
「そうさ、最初から狙いはあの女だからな……、……くくく……おい、どうやら助けには来ないらしいぞ」
ブラックは私に智子は来ないと笑い出した。
「トモちゃんは危険だから置いて来ただけだよ」
「そうです。 私達が奏さんを助ければそれですみますからね」
「ただちょっとお前にはお灸を据えさせてもらうがな!」
十字さんは拳をポキポキ鳴らしてブラックに近寄って行く。
「俺をたかだか狐ごときがやれると思うなよ!」
「たかがだと……いい度胸だ」
みんなが妖狐に変身すると、黒君に私を渡してブラックと対峙した。
読んで頂きありがとうございます。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。




