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第拾漆話【奏】

 学校の帰りは白君が送ってくれると言っていたが、先生に呼ばれたために職員室へ行ってしまった。

 白君とは学校出てから待ち合わせして帰る予定だったのに、どうしようかな……。

 下駄箱で靴を履き替えていると、奏が後から走って来た。


「待ってよー!」

「奏? どうしたの?」

「一緒に帰ろ〜」

「……赤井さんは来ないわよ」

「……それじゃバイバイ!」

「薄情者ー!」

「冗談よ冗談……」

「本当? 本当に冗談?」

「2割くらいは冗談だよ」

「少なすぎない?」

「そんな事は無いでしょ〜……ふふ……途中まで一緒に帰ろ」


 奏がいればあの二人だって何もしてこないだろうと正門に向かうと……正門の方にいる他の女子生徒達からヒソヒソ声やキャッキャした声が聞こえてくる。


「トモモ、あれ灰さんじゃない?」

「……本当だ……迎えには来ないって言ってたのに……」


 女子生徒から注目されている灰さんには近寄りにくいが、奏が走って行って声をかける。


「灰さんじゃないですか! 今日はどうしたんですか?」

「……え〜と……」

「智子の友達の奏ですよ! 良く遊びに行くんだから忘れないでくださいよ〜」

「あー! あー! そうだ! それであいつは?」

「あそこの木の後ろで隠れてます」

「おーい! 早く来い! 帰るぞー!!」


 灰さんが私に向かって大きな声を出すからせっかく隠れてるのに注目の的になってしまった。


「灰さん! 大きな声で呼ばないでください! それになんで来てるんですか!?」

「たまたまだ、たまたま……。 さっさと帰るぞ」


 灰さんは私と奏の後ろを少し距離を置いて歩く。

 その途中、銀君が手を振りながら走って来た。


「トモちゃーん!」

「銀君! どうしたの?」

「迎えだよ迎え……あれ? 白じゃ無く灰がいる……」

「いちゃ悪いか?」

「珍しい事もあるな〜って思っただけだよ。 それじゃ帰ろ。 カナちゃんも一緒に帰ろ〜」

「う、うん……」


 奏と帰りつつ灰さん、銀君といつものスーパーに着き買い物を始めると、お菓子売り場で黒君が一生懸命お菓子を選んでいた。


「黒君!? なんでここにいるの?」

「あ! 智子お姉ちゃん! お帰りなさい。 僕は赤井兄さんと来たんです」

「赤井さんいるの!?」


 奏の素早い反応……、……探しに行っちゃった……。


「智子さんお帰りなさい」

「赤井さん! どうしてここに?」

「そんなの簡単だよ……能力を使えばね」

「そうですね、銀が言うように私の力で来てました」


 そっか……赤井さんの力って予知だった……でも予知をしたって事はこれから何かあるのかな?


「おや? 奏さんもご一緒でしたか」

「は、はい! こ、こんにちは……」


 いつの間にか後ろにいた奏は緊張して赤井さんと会話をしている。


「買い物も終わったんだろ? 早く帰ろうぜ」

「そうですね、奏さんも車で送りますよ」

「え? そ、そんな悪いですよ」

「いいんですよ……ただ先に白を迎えに行っても良いでしょうか?」

「は、はい……ありがとうございます」


 赤井さんは白君を車で迎えに行くついでに奏を家まで送る事になったので、私、銀君、黒君、灰さんは歩いて帰る事にした。


「トモちゃん、荷物ちょうだい」

「え? 別に重たくないからいいよ」

「いいからいいから」


 銀君が私の買い物の荷物を受け取ると灰さんに渡していた。


「なんで俺が持つんだよ」

「だって一番年上だし」

「かわんねーだろ!」

「見た目の問題だよ。 幼い僕達とか弱い女の子がこんなにおも〜〜い荷物を持って、後ろにいる手ぶらな大人がついて来てるのを他の人が見たらどう思うかな?」

「……ったく……なにが幼くか弱いだ……ったくよ……」


 ブツブツと文句を言いながらも買い物の荷物は灰さんが持ってくれて、私の鞄は黒君が持ちたいと言うので持ってもらう事にした。


「あ、あの聞いてもいいですか?」

「なんでしょう?」


 白君を車で迎えに向かっている奏は赤井さんに質問を投げかけてみた。


「気に障ったらごめんなさい……赤井さんは本当に妖怪なんですか?」

「そうです……前にもお見せしたと思いますが、我々の正体を普通の方が知っているのは奏さんだけですよ」

「そうですか……、……あの……妖怪って恋愛感情ってあるんですか?」

「恋愛感情ですか? ある者もいれば無い者もいるでしょうね。 人間は我々から見たら別の存在ですし、人間から我々妖怪を見れば畏怖する存在でしょう」

「……そうですよね……やっぱり……」

「……だからと言って妖怪全てが人間の敵では無いでしょうから、仲良くは出来ると思いますよ」

「は、はい! そうですよね! これからもよろしくお願いします!」

「こちらこそ……そろそろ学校に着きますよ……奏さんは顔を出さないようにしてて下さいね。 見つかるとご迷惑おかけしますから」

「わかりました」


 赤井さんとのドライブデートは終わり、白君が学校から出てくるまで待っていると……。


 ドンドンと車のドアを叩く音が聞こえる。


「おい! 赤井! おい! 返事しろ! おい!!」

「……ん……白ですか……ん!? 私……眠って? 奏さん!?」


 助手席に座っていたはずの奏の姿は無く、荷物だけが残されていた……。

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