表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

第拾陸話【転入生】

 初めての体育祭も終わり、リレーを一位で駆け抜けた白君の人気は鰻登りに上がっていた。


「いや〜、白君の人気は凄いですな。 ほら、上の学年の先輩も見に来てるし、あの体育祭の後、何人の女子に告白されたのやら……」


 白君の席をチラッと見ると何処かに行ってるようで姿が無い。

 休憩時間になると直ぐにいなくなってしまう……やっぱり女子からの誘いが面倒くさくなったのかな?

 そんな毎日を送っていると、ある日うちのクラスに転入生が来る事になった。


「ねえトモモ転入生の話し聞いた?」

「噂くらいは……」


 奏はこう言う話しを何処から仕入れて来るのだろうか……? 謎だ。


「どんな子だろうね〜? 男子かな? 女子かな? 女子だったら仲良くなれるかな〜」

「そうだね、仲良くなれるといいね」


 そして転入生が来る当日となり、クラスの男子は期待で騒いでいる。

 私もなんだか緊張して来る。

 ガラガラと教室の扉が開き、先生と転入生が二人入って来た。


「初めまして。 【葛篭 弥栄子(つづら やえこ)】です」

「同じく、葛篭 吉良馬(つづら きりま)】と言います」


 二人も転入生!? それも同じ苗字……。


「僕達は一卵性双生児の双子です。 よろしくお願いします」


 二人息の合う形でお辞儀をすると、男子も女子もザワザワと騒がしくなり始めた。

 弥栄子さんは長く艶やかな髪を掻き上げ顔立ちは綺麗だし、吉良馬君は長い髪を一つにまとめてるけど……うちの学校長髪大丈夫だったっけ? まあ似合ってるし誰も何も言わないし大丈夫かな?

 これはどちらも放っておかないよね。

 授業も終われば二人はすっかり取り囲まれ、笑顔で丁寧にみんなの質問に答えている。

 そんな中、珍しく白君が自分から弥栄子さんと吉良馬君の席に行くと、耳元で何か話して教室から出て行った。

 今日の授業が全て終わると二人はみんなから一緒に帰ろうと誘われていたが全部断っている。


「僕達は引っ越して来たばかりで家の片付けとかしないといけないので今日は先に帰ります」

「みんなごめんね〜、今度時間あったら付き合うから〜バイバ〜イ!」


 弥栄子さんは打ち解けるの早いな〜……吉良馬君は落ち着いていてちょっと白君に似た雰囲気を感じる。

 さて、私も帰ろうかな……奏はー……あれ? 先に帰っちゃったのかな? 白君も帰ったし、私も帰ろう。

 私は一人、帰り道スーパーに寄って飯綱荘へ戻っていた。


「……何しに来た? どう言うつもりだ?」


 屋上で白は吉良馬と弥栄子を先に待っていた。


「なんのこと?」

「僕らを呼び出して、何かようかな?」

「もうわかってるんだよ! 正体を現せ!」

「はぁ〜……もう正体がバレたとはね……君と合うのは初だな。 僕の名前は【キコ】って言うんだ。 よろしく頼むよ」

「私は前に会ったわよね? 忘れてないわよね?」

「何しにこの学校に来た!?」

「そうねぇ……あなた達を調べるため……ってところかしら」


 吉良馬と弥栄子は姿を狐に戻すと服装までも変わった。

 ヤコは前に見た花魁の姿へ。 キコは白と黒を基調とした陰陽師のような衣装へと変わる。


「調べるってのはどう言う事だ!?」

「そのままの意味よ。 様子を見るだけで他意は無いわ」

「僕らは学校で君達に手を出すつもりは無い」

「せっかくの学生生活楽しませてよね〜」

「ふざけるな! この前の事を忘れたのか!?」

「や〜ね〜、あんなのはジョークよジョーク。 怪我も無かったんだしいいじゃない」


 ヤコは扇をパタパタ振って笑っている。


「本当だ、嘘はつかない」

「それを信じろと? 無理な話しだ」

「だろうね、だから君も僕らを見ていればいい」

「そうね、それならおあいこよね?」

「……いや……ここで倒す!」


 白は拳に炎をまとわせ二人に飛びかかるも二人の姿は消えてしまった。


「……ふふ……それじゃ、また明日ね〜」

「仲良くしてくれる事を祈るよ……」


 風と共に二人の声は掻き消えてしまった。

 飯綱荘に戻って来た白君は私を含めて食堂でいつもの会議が始まる。


「……なるほど、前に襲って来たヤコと新たにキコが姿を現したと……」

「それで、やっぱりそのキコもトモちゃんから顕現した僕らの仲間なの?」

「そうだろうな……しかしいつ顕現したのか……」

「そうですね……黒が顕現したのは智子さんが飯綱荘に来てからしばらく経ってからでしたし……」

「黒もトモすけは何か感じたりしなかったのか?」

「私は……ぜんぜん……」

「僕も何も感じませんでした」

「そんないつ顕現したかより、そいつらは俺達の敵かどうかだ」

「……敵の可能性が高い……だろうな……」


 みんなも色々と考えてるようだけど、こんな事は初めてでよくわからないみたい……。

 私はお役に立たないし……。


 そんな時、玄関のチャイムが鳴り戸が叩かれる。


「は〜い」


 みんなは色々話し合ってるから私が出ないと……みんなが反応してないから前みたいに変なのは来てないと思うし。


「やっほ〜! 来たわよ〜♡」

「こんばんは」

「え!? ええ〜!!」


 私の叫びにみんなが走って来た。


「お前ら……なんでここに来た!?」

「この二人がそうなの?」

「真正面から来るとは良い度胸じゃねぇか」

「へぇ〜、やるじゃん……」

「また智子お姉ちゃんを襲いにきたのか!」


 白君、銀君、十字さんは玄関で二人の前に立ち塞がり、灰さんは壁に寄りかかり楽しそう、黒君は私を庇うように小さな体を大きく広げて守ろうとしてくれている。


「や〜ね、わざわざ襲いに来るわけないでしょ」

「俺らが顕現した場所はここだ……だから戻って来ただけだ」

「みなさん落ち着いてください。 まずは話しを聞かせてもらいましょう」


 赤井さんの提案で食堂の椅子に二人を座らせその周りをみんなが取り囲んだ。


「随分と信用ないんだな」

「当たり前だ!」

「お堅いわね〜、ジョークも通じないなんて」

「それより二人の事をお聞かせ願えますか?」

「いいわよ〜」

「キリとヤコは飯綱荘で顕現したから戻って来たと言う事は黒のように智子さんから顕現したと言う事で合ってますか?」

「合ってるわね」

「双子って事だけど、それって本当なの?」

「そうです……ヤコが姉と言う形になります」


 なんだか私から顕現したとか言うと、私がお母さんになった気分……。


「いつ顕現したのですか?」

「それはこの子が飯綱荘に来た時ね」

「そんなに早く……」

「僕よりも早いなんて……」

「んなことより、なんでここに来た?」

「私達だって学校に通うんですもの家は必要でしょ?」

「それにお互いの様子も観察できる」

「その観察とはなんのためですか?」

「……それは……」

「ここで言っちゃっていいのかしら?」

「……なるほどわかりました……ここに住む事も許可しますが、智子さんに何かあれば我々が黙っておきませんよ」

「お、おい赤井、いいのかよ」

「智子さんが心配な気持ちもわかりますが、ここなら我々も二人の同行を見ておけますからね」

「トモちゃんが心配なら十字が守ってあげなよ〜」

「俺は別に……」

「あ、それなら僕が守ってあげようか? 十字より役に立つよ〜」

「なんだと!」

「だって十字ってば筋肉バカなだけじゃん」

「ぎーんー! てめぇ! まちやがれ!」

「あははー! それじゃヤコもキコもバイバ〜イ」


 行っちゃった……。


「な〜にあの二人は?」

「……いつもの事です……」


 ヤコさんが十字さんと銀君のやりとりを見て呆れた顔をしている。


「それじゃ私達の部屋に案内してもらおうかしら」

「あ、じゃあ管理人の私が案内します……」


 二人を連れて二階に上がり部屋まで案内するが、赤井さん、白君、灰さん、黒君が私の後ろをピッタリとついて来ている。


「ここがそうですけど、何も無いですよ?」

「かまわない」

「いいのよ、どーせ寝るだけなんだし……それじゃお・や・す・み・チュ♡」


 ヤコさんは投げキッスをして部屋にキコ君と入ってしまった。


 そして残った人でまた食堂に向かうと二人に対して会議が始まる。


「どう思いますか?」

「俺は学校でもこいつの事を見ておく」

「僕が智子お姉ちゃんを送り迎えするよ」

「黒君も学校があるんだし無理だよ」

「私も仕事がありますからね……」

「俺はやらねえぞ」

「あれ? 灰さんいたんだ……」

「水を飲みに来ただけだけどな……、……ふぅ……それじゃ俺は原稿の続きがあるからな」

「あ、後で夜食でも持って行きます」


 灰さんが部屋に戻ると、十字さんと銀君がやって来た。


「それなら行きは俺が着いててやるよ。 帰りは白、お前が着いてれば問題ないだろ?」

「……ああ、わかった」

「だ、大丈夫だよ、みんな心配しすぎなんじゃ無い? 二人共何もしないって言ってるし……」

「前に(さら)われた事を忘れたのか?」

「忘れて無いけど、あれは二人がやったわけじゃ無いでしょ?」

「……そうだな、あの声の奴も二人に聞いておかないとな」


 こうして学校に行く時は十字さんが着いて来てくれて奏も驚いていた。


「ちょっとトモモ、どう言うこと?」


 小声で聞いて来た奏には学校に着いてから説明をすると、あの二人の正体について驚いていた。


「あの二人が黒君と同じなんてね〜……トモモ三人もお子さんがいるなんて……」

「ちょっとやめてよ〜、まだ彼氏だっていないのに〜」

「そりゃあんなイケメンばっかりの家にいたら彼氏も出来ないわよ……まぁ羨ましいけど」

「なに言ってるのよ」


 こんな感じで冗談を言っている私と奏だけど、白君はクラスメイトに取り囲まれている吉良馬君、弥栄子さんの事をしっかりとスラッとした目で監視していた。


 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ