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第拾伍話【新たな者と体育祭】

 私が黒君と飯綱荘に帰っている頃、白君、銀君、十字さんは教室に残り、赤井さん、灰さんも教室の中に入って行く。


「白、随分手こずってるじゃないか? お前らしくも無い」

「灰、白は智子さんを守っていたからですよ」

「だけど結構ヘマしたよね?」

「こら銀!」

「僕だったらトモちゃんをもっと早く助けられたよ」

「だったら俺の事も早く助けてくれねぇか?」


 十字は燃えている子を押さえつけているが、自分も燃えてしまっている。


「十字はこのくらい平気でしょ? それより……」

「そうですね……、……出て来たらどうです?」

「ふふ……いや〜ね、気の短い男はモテないわよ〜」


 炎が裂け、教室に現れたのは黒髪が長く花魁のような姿をした美しい女性。


「……それで、お前は誰だ?」

「あらん♡ わかってるくせに〜」

「「…………」」


 その問いには全員が黙ってしまった。


「そんなはずは無いでしょう。 正体を表してくれませんか?」

「女に言う言葉じゃ無いわね〜、そんな事言うとは思わなかったわよ赤井さん♡」

「何が目的だ!」


 白は詰め寄ろうとするが、大きな扇子を出してそれを阻止する。


「まずは名乗らせてくれないかしら?」

「いいぜ、聞いてやる」

「ふふ、さすが灰はわかってるわね……私の名前は【ヤコ】よ」

「ほ〜う……で? その女狐が俺達に何のようだ?」

「んもう♡ それはわかってるくせに……、……あなた達が言わないなら私が言ってあげるわよ」


 ヤコは扇を前に突き出し一言……。


「解放よ♡」


 この言葉だけで全員が驚いて固まってしまった。


「あら、いい顔ね♡ それじゃ今日はこの辺でバイバ〜イ♡」

「おい! 待ちやがれ!!」


 白の声を気にもせずに扇を一振りするとヤコは消えてしまった。


「ちっ!」

「……仕方ありません。 まずはこの状態をどうにかしましょう……灰!」

「はいはい……しゃーねーな……ほらよ!」


 灰が指を鳴らすと炎は一瞬で消え、崩れていた教室も元に戻り夜が夕方に戻った。

 すると燃えて暴れていた女の子は落ち着きを取り戻し、また誰もいない校庭へと姿を移した。

 もう一度、今度は白、銀、十字と一緒に競争をすると「ありがとう……」 その一言と笑顔で全て消え、元の学校へと戻った。

 この日から噂の女の子は現れる事は無くなったのだが、戻って来たみんなに私は詰め寄られていた。


「……本当に覚えが無いんだな!?」

「う、うん……でも本当なの? 狐の妖怪なんて?」

「本当ですよ」

「別の狐の妖怪って事は無い?」

「僕達は顕現させた者が違くても感覚でわかるんだよ」

「だから黒の事も仲間とわかる……しかしアイツは……」

「仲間じゃ無いの?」

「仲間であって仲間では無いと言いましょうか……」

「俺達とは考えが違うなら敵だろ?」


 みんなの意見はまとまらず、ヤコの事はまた会った時に捕まえて問いただすとちょっと物騒な意見で落ち着いた。

 それにしても……私から顕現した新しい子がまさか敵なの?

 どうして……?

 考えても私がどうする事も出来ないので、みんなに任せるしか無いか〜……。


 さて……こんな大変な事があったけど、それと同じく大変な事が起きようとしていた……。

 そう、体育祭だ……今日は体育祭当日。

 うちの学校の体育祭は親族のみ見に来て応援が出来る。

 その身内に何故かみんなが見に来ていた……。


「トモちゃーん!」

「智子お姉ちゃん!」

「なんでみんな来たの!? どうやって……って、妖術だよね……」

「うんそう!」

「トモすけの応援にな」

「ちょっと取材がてらな」

「たまにはいいでしょう」


 赤井さんも今回はみんなの意見に賛成らしく、妖術を使って親族と錯覚させて体育祭を見に来たようだ。

 しかし……。


「ちょっとトモモ! 赤井さん来るならそう言ってよ〜! 玉入れじゃ無くてもっと目立つ種目に出たのに〜!」

「私も知らなかったよ……それじゃ今から変わる?」

「いや、それは結構」

「だと思った〜」

「それにしても、さすがね」

「何が?」

「見てわかるでしょ? クラスだけじゃ無くて学校中の女子の目がキラメいてるのを!」

「あ〜……明日からなんて説明しよ……」

「そこは白君がどうにかしてくれるでしょ? だけど気をつけてね、さっきから取っ替え引っ替えで声をかけに行ってるから」

「……そ、そうだね……」


 ま、みんなの事はこの際置いておこう……私は最後のリレーに集中しないと……。


 体育祭も順調に進み、リレーの前の二人三脚になった時、白君と一緒に走る予定だったふみえちゃんが腹痛を訴え参加不可になってしまう。


「私がふみえさんの代わりになります!」


 立候補したのは美玖ちゃん……白君が好きだもんね……。


「すまん、リレーには勝ちたいからそっちで頑張ってくれないか?」

「え……、……わかりましたわ……」


 白君に断られてしまいしょんぼりしてしまうが、リレーを期待していると言われて元気が出たみたい。


「智子、一緒に走るぞ」

「え!? わたし!?」

「ああ」


 そんな!? 二人三脚の練習なんてしてないし、足の遅い私じゃ足手纏いだよ……。


「私じゃ無理だよ」

「大丈夫だ。 俺に任せろ」


 大丈夫じゃ無いよ〜! 女子がみんな見てるじゃ〜……あんまり見てないな……。

 なるほど、赤井さん達を見てるのか……。


「ほら行くぞ」

「え?」


 悩んでいたら既に足首に紐を巻かれていた……。


「え〜! ちょ! ちょっとまって〜!」


 白君に肩を抱かれてスタートまで連れて行かれてしまった。

 一応私の歩幅に合わせてくれているけど、これじゃ勝てないよ……。


 スタートのピストルが鳴り、他の参加者が一斉に走り出す。


「それじゃ行くぞ!」

「え!? きゃ!」


 白君は私の向き変えて自分の方に向けると、私を抱えて走り出した。

 私の繋がっている足は白君の足の上に置かれてもう片方は浮いてしまっている。

 早い! どんどん追い抜いてしまうけど……これって二人三脚なの〜!!?


 一着でゴールした白君と私だが、案の定反則負けとなってしまった……。

 だってあれじゃ一人で走ってるのと変わらないもんね……。


「白君は「すまん」と謝ってきたが、これがルール違反になるとは知らなかったんだししょうがないよね。

 クラスの男子にも肩を叩かれドンマイと言われたり、たまに抜けてんだよな〜とか言われている。

 そんな白君は新鮮だなと遠くから私は見ていた。


「次で取り返す」


 白君は次の種目に気合いを入れ直した。

 そう、私が練習を重ねてきたリレーだ。

 体育祭最後の種目となる。


「位置について……よ〜い! ドンッ!」


 ピストルがなりリレーがスタートした。

 第一走者は二位と言う好成績で走り、美玖ちゃんにバトンが渡される。

 美玖ちゃんはほとんど一位と二位の差が無いくらいで走り、第三走者の私にバトンが渡された。


「トモモがんばれーー!!」

「トモちゃんがんばー!」

「頑張ってくださーい!」

「智子お姉ちゃんがんばれー!」

「トモすけ行けー! まくれー!!」

「ほどほどになー!」


 一応みんなの応援が聞こえて来る。

 私は肺が爆発しそうになるまで全力で走り、目の前に微かに白君が見えた。


「白君お願い!」


 私はバトンを白君に渡す。

 私の順位は五人中四位まで下がっていたが、バトンを受け取った白君の走りはまさに風のようだ。

 一人また一人と追い抜いて行き、一位でゴールを切った。


 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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