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第拾参話【逢魔が時】

 テストも白君のお陰で無事に終わり、平和な日常が続くと思っていると次は体育祭が始まろうとしている……私は体を動かす事が苦手だ。


「もう直ぐ体育祭だね〜」

「そうなのよね〜、私もトモモと同じで運動苦手だからな〜」

「お互い辛いわよね」

「その点……」


 奏がチラッと見た先は、女子に囲まれている白君。

 白君は勉強も出来るし、運動も得意なので女子からはどの競技に出るか聞いている。

 おそらく、二人三脚に一緒に出たいんだろうな。

 私は足遅いからどうしようかな……やっぱり玉入れとかがいいかな?

 玉入れに参加しようとするも、運動が苦手な女子が多く抽選の結果ハズレてしまった。

 奏は玉入れに当選したので、ゴメンと合図され種目が決まり、私は別の競技を探す事に……。

 う〜ん……この残った中で私が出来そうな競技は……。

 リレー、騎馬戦、障害物競走、二人三脚、と走る競技ばかり……、……リレーは論外だし、騎馬戦は痛そうだし、障害物競走なんて器用な事出来ないし、奏以外の人とテンポ合わせるのは難しそうだし……。

 そんな事を考えながら黒板を見ているとリレーと騎馬戦のみが残った。

 そしてくじ引きの結果……リレーの走者になってしまった……。

 終わった……みんな……ごめん、私がいたらビリ確実だよ〜。

 各自出場する種目も決まり、暗い気持ちのまま放課後となる。


「かなで〜」


 帰り道、私は泣きながら奏にすがる。


「いや〜、まさかリレーの選手になっちゃうなんてね……」

「私むり〜! 絶対むり〜!」


 奏に頭を撫でられながら愚痴をこぼす。


「無理なら俺と練習するか?」


 背後から白君が声をかけて来た……そう言えば白君もリレーの選手だったな。

 まあ……白君はほとんどの競技に出るようだけど……。


「リレーは男女混合だからな。 出るからには勝つつもりだし、今からでも練習すれば少しはマシになるんじゃないか?」

「いいじゃないトモモ! 白君と練習なんて……ウラヤマシー」

「奏……自分の事じゃないからって……」

「あはは……でも練習するのは悪くないかもよ?」

「う〜ん……それじゃ、少し頑張ってみようかな……」

「それじゃ明日から練習するぞ」


 なんだか白君やる気あるな……。


 飯綱荘に着いてみんなに体育祭の事を話すと……。


「智子お姉ちゃんリレーの選手なんて凄いです!」

「ほんとにね〜、僕はあんな疲れるのごめんだしな〜」

「銀も少しは体力つけるために走ったらどうだ?」

「十字がおんぶしてくれればいいよ」

「それじゃ意味ねーだろ!」


 十字さんと銀君はいつも通りだけど、私頑張れるかな?

 そして翌朝……、まだ日も登っていない時間にアラームが鳴る。


「ふぁああ……今日から練習かぁ……支度しないと……」


 やる気はあまりないけど白君も一緒に走ってくれるって言うし……頑張ろう。

 着替えて玄関に行くとすでに白君がジャージ姿で待っていてくれた。


「おはよう」

「ちゃんと起きれたみたいだな」

「そりゃ起きるよ……眠いけど……」

「……まぁいい、それより軽く準備運動してから走るぞ」

「うん」


 軽く準備運動をして白君と走り始めた。

 朝靄(あさもや)も出ていて少し肌寒い……でも走っていれば体も温まるはず……はずだったんだけど……。


「ひー……ひー……も、もうだめ……」

「少し休憩するか」

「はぁはぁ……でもまだ全然走って無いよね……」

「初日から走れるとは思って無いからな。 いきなり頑張っても成果は出ない」

「そうなの……それじゃ少し休憩……」

「少し待ってろ」


 白君は走って行っちゃった……。

 私はしゃがんで待っていると、白君が戻って来た。


「ほら……」


 白君からスポーツドリンクを渡された。


「ありがとう……これを買いに?」

「この先に自販機があるからな。 水分補給はしておいた方がいい」

「白君の分は?」

「俺は大丈夫だ……休憩したら飯綱荘に戻るぞ」

「は〜い……」


 戻りも走って帰り、シャワーを浴びて学校の支度を済ませると、食堂から黒君が来てくれた。


「智子お姉ちゃん、ご飯の支度出来てるよ」

「え!? ご飯の支度してくれたの?」

「うん、十字兄さんがだけどね」


 食堂のテーブルには確かに食パンと目玉焼きが出来上がっているけど……コゲていたのはこの際言わ無くていいか……。


「ありがとう十字さん」

「いいってことよ。 これから体育祭までは協力してやるから安心しな」

「ありがとうございます」

「僕は早くトモちゃんのご飯が食べたいよ」

「文句言うなら自分で作れ!」

「しょうがないな……明日は僕が作ってあげるよ」

「銀に作れるのか〜?」

「僕の本気を見せてあげるから楽しみにしててね〜」


 銀君は学校に行ってしまった……私も早く食べて行かないと。


 こんな感じで体育祭の特訓をしていたが、変な噂がながれ始めた。


「ねえトモモ聞いた?」

「なに?」

「運動場の幽霊の話しよ」

「聞いたけど噂でしょ?」

「でも見たって話しがあるし……」


 奏は小声になって耳元で囁く。


「妖怪が本当にいるんだから幽霊だっているかも知れないよ」

「そうねぇ……みんなに聞いてみるよ」

「よろしくね」


 幽霊か……妖怪のみんなには慣れたけど、本当にいたら怖いな……。


 帰ってから白君に相談していると、夜に見に行くと言ってくれた。

 その少し前、放課後の事……。


「もう帰らない?」

「せっかく白様と一緒のリレーになったのだから勝たなくてはいけません!」

「でも……()()って言うよ……」

「なにバカな事をいってるの、それよりふみえさんもあかねさんも走りますよ!」

「ええ〜!」


 笠島 美玖(かさじま みく)はリレーの選手になり、馬渕 あかね(まぶち あかね)は玉入れ、三上 ふみえ(みかみ ふみえ)は白と二人三脚の選手となっていた。

 三人は走る練習をしている時、夕暮れの影が伸びる時間、逢魔が時(おうまがとき)と言われる時間になると三人の後ろを知らない人が一緒に走っている。


「ね……ねぇ……美玖、後ろから誰か着いてきてない?」

「な、なに言ってるのよ……」

「そ、そうよね……」


 三人が止まると、後ろの足音も止まる。

 三人がそ〜っと後ろを振り向くと、三人以外いないはずなのに……顔は見えないけど、体操服を着た女子生徒がいる。


「なんだ、他にも練習している人がいるだけじゃ無い」


 三人はふ〜っと息をついて声をかけようとするが……。


「ねぇ、この子の体操服……おかしいよ……」

「……そ、そのようね……」


 顔の見えないその子の体操服は少し昔にあったブルマを履いている。


「ね、ねぇ、あなた何年生?」


 美玖は勇気を出して声をかけてみるが返事は無い。

 あかねは肩を叩こうとした時、ふっ……と姿が消えてしまった。


「「……、……キャアアアアアアア!!」」


 三人は校舎に戻り荷物を持って走って帰り、この事でより噂が大きく広まってしまった。


 読んで頂きありがとうございます。

 不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜んで踊りながら遅い執筆も早くなると思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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