特別編 【飯綱荘のクリスマス】
こちらは特別編となります。
時系列は関係ありませんのでご了承ください。
「う〜さむさむ……でもこのコタツってやつはいいよね〜」
モゾモゾと私の部屋にあるコタツにすっかりハマってしまっている銀君。
「銀兄さん、いい加減にコタツから出て手伝ってください」
「ええ〜、いいじゃん別に〜」
銀君はさらにコタツに潜りながら力を使ってフヨフヨとコタツの上にあるみかんを取っている……便利でいいなぁ……。
「明後日はクリスマスですよ! みんな準備で忙しいのに……」
「だから手伝ってるじゃん」
銀君は能力でツリーのオーナメントを浮かせて取り付けしている。
「まったく……あ! 十字兄さんその飾りはそっちでお願いします!」
黒君張り切ってるな……まぁ初めてのクリスマスだもんね……。
十二月、町がクリスマス一色になっているのを不思議に思った黒君はクリスマスがなんなのかを聞いて来るが私はクリスチャンでもないので、日本式のクリスマスを教えてあげた。
「クリスマスって言うのは、家族や恋人が一緒にケーキを食べたりチキンを食べたりしてサンタクロースを待つ日だよ」
「ケーキなら普通に食べてますよ? それとサンタクロースってなんですか?」
「サンタさんはこの一年いい子にしていると、プレゼントを持って来てくれる人なの」
「なるほど、ケーキを食べながらサンタクロースを待つ日なんですね」
「う〜ん……大体そんな感じかな……あと、クリスマスツリーを飾ったり家の中も飾ると楽しいよ」
「わかりました。 それでは兄さん達に話して来ます」
「あ! 黒君! 行っちゃった……」
この日から黒君がリーダーとなって飯綱荘の飾り付けが始まった。
どうやらみんな断らなかったようだけどみんなクリスマス好きなのかな?
そして今にいたる。
「智子お姉ちゃん、ケーキとチキンの用意は大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫だよ」
「智子お姉ちゃんのお友達の奏さんも来るんですよね?」
「そうだよ」
「それならもう少し飾り付けをしましょう。 白兄さん、飾りが傾いてます! 灰兄さんもサボって無いでくださいね!」
……これは手が抜けない……。
一応、料理は奏と一緒に作る予定だけど……ちょっと心配になって来た……。
チキンとクリスマスケーキは買ってくる予定だけど、他の料理は私と奏で作るからね……ちょっと奏に連絡しよう。
「トモモ、どうしたの?」
「ちょっと明日のクリスマスについてなんだけど……」
「明日? もう材料は買ったし大丈夫だよ。 飯綱荘のみんなに会えるのが楽しみだな〜」
「そうだよね……でもね……」
私は黒君がやたらと張り切っている事を奏に伝えた。
「初めてのクリスマスだもんね〜、期待してくれてるなら頑張らないと! プレゼントもバッチリだし」
「そうよね……うん! 頑張ろう!」
黒君の期待に応えるためにも料理頑張らないと!
そして12月24日クリスマス・イブの日。
「智子お姉ちゃんおはようございます!」
「……ん……? おはよう……今日も早いね……」
「はい! それでは兄さん達を起こしに行ってきます!」
黒君は張り切って早起きをしてみんなを起こしに向かった。
「さてと、私も準備しなくちゃ」
今日は奏も来るし楽しみだな。
早速台所に向かって朝ごはんの支度を始めると、黒君に起こされた十字さん、銀君、灰さんが起こされて来て白君と赤井さんは自分で起きてきた。
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはよう……」
「おはよ〜」
「ふぁ〜……おは……」
「ん……」
う〜ん……ま、それぞれよね。
「それじゃ早く席に着いてくださいね。 朝ごはん食べたら掃除しますよ。 お昼過ぎたら奏を迎えに行くのでよろしくお願いしますね」
「わかりました!」
黒君は返事が良く、朝ごはんを早く食べて真っ先に食べ終わった黒君は十字さん、銀君に「早く! 早く!」と急かせている。
「黒君落ち着いて。 クリスマスにはまだ始まらないよ」
「ですが、日没から始まるんですよね?」
「日没から?」
「それはキリスト教のクリスマスイブですね。 我々は普通に夜からやりますよ」
「そうなの? でも早く支度してもいいですよね?」
「そうね、それじゃ頑張ろうね!」
「はい!」
みんなが食べ終わってから私は台所の掃除を始め、黒君はクリスマスの飾りに不備がないかチェックを始めていた。
「そろそろ奏を迎えに行かないと」
掃除もあらかた終わり、出かける準備をしていると、黒君と白君も着いてきてくれた。
「かなで〜!」
「トモモ〜! あ! 黒君も来てくれたんだ! 白君もありがと」
奏は黒君を捕まえて抱きしめている。
「買い物はあるのか?」
「ケーキとチキンを買って帰るくらいかな」
「それと今日は料理楽しみにしててね〜」
「わかりましたから、そろそろ離れてください」
「え〜! あったかいのに〜」
白君は大きめのチキンとケーキを持ってくれて、奏は黒君と手を繋ぎながら飯綱荘にやって来た。
「ただいま〜!」
飯綱荘に到着し、早速奏とエプロンを着けて食事作り始めると黒君はソワソワと何度も台所を見に来ている。
「黒君そんなに楽しみなの?」
「え? い、いえ、そんなことは……」
「楽しみなんでしょ〜! 頑張って作るからね」
「……お願いします」
そそくさと台所から出て行って銀君と遊び始めた。
「あんなに楽しみにしてくれてるなんて……、朝からあんな調子なの?」
「そうなの。 だから頑張らないとね」
「よ〜し、腕の見せ所ね!」
腕を捲る動作をして、料理を進めて行く。
料理もだいぶ完成してテーブルに並んで行くと、銀君と十字さん、灰さんがつまみ食いにやってくるが黒君が押して止める……止めてはいるが体格差でズリズリと押されて止められていない。
「こらー! つまみ食いはダメでしょー!」
「ちょっとだけちょっとだけ」
「味見味見」
「お、ウメーじゃん!」
「そりゃ、私とトモモが作ったんだから!」
奏はおたまを持ちながらドヤ顔をしてる……。
そんなわちゃわちゃしながらすっかり夜となり、クリスマスパーティーが始まった。
「それではみなさま、メリークリスマース!」
「「メリークリスマース!」」
クリスマスのサンタ帽子をかぶった奏がジュースを掲げ、赤井さん、白君、十字さん、銀君、黒君がクラッカーをパンパーンと鳴らす。
私達学生組はジュースを、大学生、社会人組はお酒を呑みながら乾杯をする。
奏は張り切ってクリスマスソングを歌い、私は少し恥ずかしく小声で歌った。
赤井さん、銀君、黒君は手拍子をしてくれたり一緒に歌ってくれたりした。
白君、十字さんは楽しそうに聞いてくれ、灰さんは1人ダルそうにお酒を呑みながらも聞いてくれた。
「それじゃ暗くするわよ」
料理が並んだ食堂の電気を消して燭台のロウソクに火を灯す。
「それじゃお願いをしましょう」
「お願いですか?」
「本当はお祈りらしいんだけど、お祈りの仕方知らないし」
「そうそう、細かい事は気にしない気にしない」
灰さん以外は目をつぶってお願いをちゃんとお願いをしてるかと思ったら……。
「よし、ロウソクの火を消しますよ〜」
ロウソクの火を消して電気を点けて料理を取り分けようと、ふと十字さんを見ると……。
「……ぷっ……ふふ……あははは!」
「トモモどうした……の……ぷっ! あーはっはっは! 十字さんなにそれ〜!」
十字さんに白い髭が生えていた。
「なんだ?」
「クッ……あーはっはっは! サンタだ! サンタがいる!」
どうやらクリスマスケーキの生クリームが少し減っているので、その生クリームを十字さんの顔に塗ったみたい……。
「この……ぎーんーー!!」
「はぁはぁ……あー笑った……まぁまぁ十字さん、いい感じですよ」
「いい感じって……」
「銀君イタズラはほどほどにですよ。 十字さんこれで生クリーム拭いてくださいね」
銀君のイタズラもあったけど、料理も美味しく食べてくれたみたいで嬉しい。
奏がケーキを取り分けてくれて、黒君にはサンタが乗っている部分をあげるとちょっと喜んでるみたい。
「ごちそうさま。 それでは少し失礼します」
赤井さんは食事が終わると食堂から出て行っちゃった。 お仕事かな?
「それじゃ、お待ちかねのプレゼントでーす!」
私と奏はお小遣いを出し合って皆んなの分のプレゼントを買っていた……ちょっと赤井さんにも相談したけど……。
「はい黒君」
「僕にですか!?」
黒君は袋を綺麗に剥がして箱を開ける。
プレゼントはサッカーボールと手袋とマフラー。
「わあ! ありがとうございます!」
黒君は学校でもサッカーが好きみたいで良く友達と遊んでいると赤井さんが教えてくれた。
「これは銀君ね」
「やった!」
銀君は袋をビリビリに破いて開けるとプレゼントは私が好きな夕飯を作る券ひと月分とお菓子の詰め合わせ、手袋とマフラーもセット。
「これで好きな物を注文してね」
「やった! これでプリンとオムライス食べ放題だ!」
食べ放題ではないんだけど……。
「白君と十字さん、灰さんはこれです」
三人には色や柄の違う手袋とマフラーをプレゼント。
「なかなかいいじゃん」
「悪くねえな」
「ありがとう」
三人も気に入ってくれたみたい。
本当は赤井さんにも同じプレゼントがあるんだけどな。
プレゼントも渡せたし、カードゲームでもしてお開きかな?
テーブルもある程度片付けが終わったので休憩で椅子に座ると食堂の電気が消えて暗くなった。
「なに? なに?」
「停電?」
奏と一緒に驚いていたら食堂の扉がスゥーっと開き……。
「メリークリスマス!」
サンタに扮した赤井さんが入って来た。
「……えっと……」
「赤井さん!」
「あれ? はずしましたか?」
電気がつくと困った顔をしている。
「まあいいです。 それでは智子さんと奏さんに赤井サンタからクリスマスプレゼントです」
赤井サンタは袋から私と奏のプレゼントを取り出して渡してくれた。
「本当にいいんですか?」
「私にも!? 嬉しい!」
「あ、開けるのは少し待ってください……ほらみんな」
「ほらほら灰兄さんも並んで並んで」
「だり〜な〜」
私達の前にみんなが並び始めた。
隣に座っている奏となんだろうかと、お互いに顔を合わせて見つめる。
「それでは、智子お姉ちゃん、奏お姉さん、クリスマスを開催してくれてありがとうございます。 そのプレゼントは僕達からの感謝です」
「よければ受け取ってくれ」
「使ってくれると嬉しいな〜」
「俺も選んだんだぜ」
「俺は金だけ〜」
プレゼントを開けると中には手袋とマフラー、イヤーマフが奏と柄は同じで色違いが入っていた。
「私と十字で買いに行って来ました」
「……ありがとう……すごく嬉しい……」
「私も……ありがとうございます」
奏と一緒に涙目になってしまった。
「それでは残り時間、多いに遊びましょう!」
残りの時間はカードゲームをやったりしてクリスマスパーティーは終わった。
奏は赤井さんが車で送り、私は後片付けをしていると白君と黒君が手伝ってくれた。
「黒君今日は楽しかった?」
「はい! とっても楽しかったです!」
「よかった」
黒君ははしゃぎ過ぎて疲れてしまったのか眠るのが早かった。
枕元には大きな靴下が置いてあるので、私はその中にちょっとしたプレゼントを入れ今日のパーティー楽しかったなと思いながら眠りについた……私もはしゃいで疲れてたのか、部屋の扉が開く音に気が付かなかった。
……翌日、黒君は靴下に入っていたプレゼントを見て驚いて騒いでいた。
「サンタ? サンタさんが来た!?」
「黒君がいい子だったからじゃないかな?」
パァ〜っと笑顔になってみんなにサンタから貰ったプレゼントを見せに行ってしまった。
「ふふ、妖怪でもああ言う所は子供だよね……あれ?」
私の枕元にある靴下も膨らんでいる。
中にはプレゼント。
赤井さん、灰さん、十字さん、白君、銀君からお手伝い券が入っていた。
「みんな……ありがとう」
こうして私がみんなと初めて過ごすクリスマスは楽しく終了出来た。
飯綱荘のみんなでクリスマスをやったらこうなりました……と言うお話しでした。
時系列は関係無い話しです。
特別編は楽しんでいただけましたでしょうか?
これからもよろしくお願いします。
不定期連載ですが頑張って書いていきますので、モチベを上げてあげようと思っていただけるようでしたらブクマや★評価をつけていただけますと作者が喜びます。これからも本編はまだ続きますのでよろしくお願いします。




