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第57話:梅雨明け来るは夏休み

 運動会が終わって少しの時が経ち、小学生では初めて経験する期末テストを終えて俺は今始業式と同じように体育館に立っていた。


「皆が無事一学期を終えてくれて嬉しいわ、これからは夏休みだけど好きにしなさい?」


 学長である九曜がそういったことで終業式が終わり、寮に戻った俺は剣と一緒に荷物の整理をしていた。

 いやぁ、帰るの久しぶりだなぁ……というか、もう夏休みって事は三ヶ月経ったのか。時の流れが速すぎるというか、あまりにもここ数ヶ月が濃すぎたせいでなんか時間感覚が狂ってる気がしなくもないけど、これで一学期も終了か。


「忘れ物ないか剣?」

「はい! お土産も昨日のうちに買ったので準備万端です!」


 天原学園は東京にある学園なので俺達が住んでいた富士の樹海からは遠い。

 普段はそこを守っていて離れられない父さん達の為にもお土産を買ったし、これで準備は万端。


「じゃあ後は父さん達を待って帰るだけか」

「そうですね兄様。あ、そうだ申の人に帰ること伝え忘れてました」

「あー敏先輩な。思うんだが剣、パシらせるの止めてあげたらどうだ?」

「私も止めたいのですが……あれに頼み事すると喜ぶので、それに放置するとうるさいです」

「そっか」


 長月敏先輩……原作では気の良い舎弟キャラだったのに剣の性別が違う故になんか絵面が危ないんだよな。だけどいい人ではあるから無下に出来ないし、なんというか……どうすればいいんだろうか?


「まああんな人の事どうでもいいです。兄様は龍華達に帰ること伝えたのですか?」

「一応? 夏休み皆でどっか行くって話になったから一度帰ることは伝えたはずだ」

「そうですか、龍華と澄玲が何かそわそわしてたので伝え忘れたのかと」

「流石に伝えるわ、雫には速めに伝えたし――あ、そうだ亮も今回は一緒に静岡行くぞ。遊びに来る感じだ」

「そうなのですね、亮君は兄様の周りで唯一安全なので安心です」

「剣、お前本当に物怖じせず言うようになったよな……」


 これが妹の成長か。

 いやさ、俺の周りの女子勢は一癖や二癖あるどころか混沌を極めたの奴しかいないけどさ……その中に剣も入ってるのを忘れないで欲しい。

 こないだ普通にベッドに潜られてビビり散らかしたからな?

 一瞬神綺が実体化してベッドに入ったかと思ったんだが、髪の長さ的に違ってよく見たら剣だったという珍事件があって、心臓飛び出るかと思った。

 ここの寮はセキュリティがしっかりしてるんだけど、開いてた窓から普通に侵入したと語ってたし……理由は寂しいからと可愛らしいものだったが、普通に行動力バグってるしで怖い。


「じゃあ亮呼んでくるわ、そろそろ父さんが来るって言ってた時間だし」

「なら私は孤蝶と荷物を外に出しときますね」

「了解、ありがとうな剣」

「えへへ、撫でないでください」


 感謝を伝えるためにも、頭を撫でながら礼を告げれば見て分かるほどに顔を綻ばせる妹様。こういう所は本当に可愛いなとそんな事を思いながらも俺は友人の部屋に向かって彼と一緒に校門に行った。


「……えっと、なんで二人がいるんだ?」

「え、刃の家に遊びに行くんでしょう?」

「ボクが家に行って上げるんだ喜ぶといいよ」


 父さん達が迎えに来た頃、何故か校門前には荷物を持った龍華と澄玲がいた。

 頭に浮かぶはクエスチョンマークの軍、割と訳が分からなくて困惑したが……まじで何も俺は聞いてない。


「澄玲は厳島神社で公演あるんだろ? 俺の家来てる暇あるのか?」

「あるけど? でもそれとこれとは別さ! 卯月のが君の家に遊びに行くのにボクが行かないわけ無いじゃないか! あ、ちゃんと許可は取ったからね君のファターにね!」

「おい父さん?」

「いやだって、断る理由ないだろ――それに周には借りあったし」


 えぇ、俺の夏休みが……。

 いやまあいいんだけどさ、普通に数日澄玲がいると考えるとうるさそうなんだよな。嫌いじゃないし邪魔とは思わないが、なんか忙しそうで。


「で龍華は?」

「勿論許可取ったわよ? 華蓮が久しぶりに刃の家に行きたいって行ってたし、夏休みだと会えないでしょう?」

「そっすか。悪いな亮、せっかく遊ぶのに騒がしくなりそうだ」

「別にいいよ? 元々術の鍛錬を一緒にやるって話だったし、君が戦うなら二人とも戦えるだろううしね――だから遠慮無くやるよ」

「おう。じゃあ二人とも来るのはいいけど、俺達の鍛錬相手になるのが条件な」

「いいよ」

「いいわよ」


 そんな風に二つ返事で決まったので俺達は車に乗って静岡を目指すことになった。

 前みたいに静岡から島根みたいなバグった距離じゃないし、多分二時間で着くだろう車旅。一週間だけ帰るという話だが、かなり騒がしい日々になりそうだ。

 

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