表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/109

理想と現実

一年を通して雪がある山って、どのくらいの高さにすればいいんだろう。

雪のある山を作ると言っても、とんと想像がつきません。


「高ければいいか!(だからその高さが問題だって)」


ここは余計な力を使わぬ方が賢明だろうけど、言った言葉には責任を持たねばと考えるエレオノーラです。


「たーかく、たーかく、たーかくなーれぇ」


歌うように唱えるおまじないに合わせるように、徐々に盛り上がっていく山。

まるで子供の頃の砂遊びのようで楽しい。

あとで植物を生やすのは二度手間かもと思い、大きくなっていく山に、順次植物の芽を生やしていく。


「雪が積もると言う事は寒いって事だよね。寒さに強い植物って何だろう?…う~分らん!とにかく寒さに強い植物にな~れ!」


何ともいいかげんだが、いちいち調べてたら切りが無いからね。

植物さん頑張ってください。


植物を纏いながら高く成長していく山。

そうか、山が高くなると言う事は、その裾野も広がると言う事か。

山だけに集中していたのに、結局広範囲に開拓できて、得した気分だ。

うん、この調子でどんどん行こう。




「あ~~疲れた……。一休みしてもいいですか?」


誰に尋ねる訳でもないけど、取り敢えず1分休憩。

私の力作、目の前の山の頂は、今にも雲に届きそうだ。

ここまでしなくても良かったのでは?とも思うけれど。

楽しくて、つい調子に乗っちゃったんだモーン。


山頂には小さな平地を作り、そこに一本リンデンを植えた。

そして山肌には数々の低木が生え、それを縫うように綺麗な花を付ける草原が広がる。

どうだ!!

リンデンさんと、ピーポちゃん達とハルちゃんをイメージしてみました。

いつか大地の神様と緑の御方が、この山の山頂にデートに来てくれるといいなぁ。

さてと、続きを始めるか。

……あれ?あれれ?

体に力が入らず、立ち上がる事が出来ない?

まずい、魔力を使い過ぎたかな。


『魔力がほぼ空ではないか、このバカ者が』


主にバカ者って、事実としても酷くないですかリンデンさん。


『ここはもう我らに任せ、お主は少し休んでいろ。まあその様子では自力で動く事も無理だろうがな』


ちょっと、その皮肉は意地悪でしょう。


「そんな暇ないです。次は湖を作るつもりなんですよ。小さなボートでちょっとした舟遊びが出来る程度の湖…池でもいいんですけどね。それから皆が街を作れるように広い場所も作って、その外れからは気持ちの良い木立の並ぶ散歩道を作るんです。その向こうには山菜や果物が沢山実のる森を。そこにはいろいろな動物が住み、鳥が巣を作れるようにして…あ……れ?………」

『やれやれ気を失ったか。全く手のかかる……』





「何やっているのよ私!!」


どうやら気を失っていたらしいエレオノーラです。

夢の中でミシェルに、どつかれたような気がする……。


『目が覚めた?ご主人様』

「あぁ、ハルちゃんおはよー」


じゃないでしょ!全く。


「私どれくらいこうしていたの?」

『そんなに長くないよー。大体一時間ぐらいかな?』


確かにそんな物だろう。

その証拠に私の体はろくに動きゃあしない、このポンコツが。

だけど私とハルちゃんのいるこの場所は、何て心地の良い所なんだろう。

海に突き出したちょっとした崖の上。

崖と言っても飛び込みが出来る程度の高さなんだけどね。

海を上から覗き込むと…。


「あ、魚がいっぱいいる」

『確かにいますね、美味しそ』

「ねえハルちゃん釣り竿……それどころじゃないか、私もう一仕事してくるね」

『ご主人様、まだ無理でしょう?』

「無理かもしれないけど、やれるだけやってみるよ。ハルちゃん私に魔力いっぱいくれたでしょう?だからもう少し休んでいてね。回復したらたくさん手伝ってもらうから」


これは一緒に行こうとするハルちゃんに対するけん制。


「了解。ありがとうご主人様」


そう言い軽く手を上げるハルちゃんは、やっぱりまだ顔色が悪い。



『お目覚めでございますか』


そう言ったのは、いつの間にか海に立った半人半馬の精霊さんでした。

それが私達を見下ろすように話しかけてくる。

間近で見ると、こんなにも大きいんだね。


『我が主、海の神からの言付でございます。これを……あ~ん』

「あ~ん?」


いかん、つい条件反射で口を開けてしまった。

そのタイミングで精霊さんが、私の口の中に何かを押し込んだ。


一瞬目に映ったそれは、真珠を二回りほど大きくしていた物に似ていた。


それは口に入った瞬間シュワッと溶け、甘いような、それでいてほんの少ししょっぱいような不思議な味がし、瞬く間に口の中に消えていった。


『海の神のお言葉は”それはしばらく貸しておく。あくまでも貸しだ。だからいつでも良いから返しに来い”だそうです』


貸し?この不思議な物を返せと言われても、これは一体何なのだろう?

それともう一つ不思議な事が。

今まで鉛のように重かった体が、嘘のように軽い。

失なわれたはずの力が漲っている。

なるほど、貸しと称して私に魔力を分けてくれたのか。

海の神もなかなか粋な事をする。


「ありがとうございます。ここは有りがたくお借りします。そして私を必要と感じた時、必ず参上いたしますので遠慮なくお呼び下さい。そう海の神様にお伝えください」

『畏まりました』


さてと、力も戻ったし、仕事を再開するか。

だけど私は元気になったけれど、横には相変わらず具合に悪そうなハルちゃんがいる。


「………ハルちゃん、チュウする?」


さっき魔力を分けてもらったんだもの、こんなハルちゃんを残して行けないよ。


『その必要は有りません。そちらのハルピュイアの物も預かっております』


そう言うなり、私にチュウしようと尖らせたハルちゃんの口に、砂粒ほどの真珠をくっ付ける。

ハルちゃんがそれをぺろりと舐め取ると、たちまち顔色が良くなっていった。

そうして元気そうになったハルちゃんだったけど、何故か不機嫌そうな顔をする。


『ご主人様の魔力の方がおいしい………』


まーまーそんな事を言わず、元気になったんだから頑張って手伝ってね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ