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彼女という存在

「もちろん一緒に行くわ、リンデン様が構わなければ。でもその前に今度のスタンピードはどこで起きるのか聞いてもらえる?」

「了解です!」


結果、今回のものは前回の現場から北に約10㎞付近だそうで、私はいそぎ隊員に伝え、戻った時にはガルディア様と殿下は、既にリンデン様の上だった。

ガルディア様ずるいです。

エルちゃんの後ろには私が座って、彼女を支えてあげたかったのに。


『ではそろそろ参るぞ』

「はい、お願いします!」


悠々と空に舞い上がるリンデン様。

その背に笑顔を浮かべたエルちゃん。

何とも絵になる光景です。

その後ろの男どもを除けば。


そう言えば、少々くぎを刺した方が良いと思ってたんだっけ。


「エルちゃん、私この間言っていたの見てみたいなぁ」

「この間のって何ですか?」

「ほら、リンデン様とエルちゃんが一緒に……」

「えぇ~せっかくこの前の母様みたいな気分を味わっているのに~」

「エルちゃん、お願い(ニコッ)」


エルちゃんが私の笑顔に弱いの、よく知ってるのよ。


「はいミラ姉様!兄様、ちょっと行ってきますね」


そう言いリンデン様の背で立ち上がるエルちゃんを見て、殿下はエレオノーラ危ないと慌てふためいている。

まあ知らない人だったら、そうなりますね。

でも風に攫われたエレちゃんが、リンデン様と並んで飛び始めると、再び唖然とする殿下。

さあどうだ!

エルちゃんの素晴らしさを、篤と思い知れ(追い打ちを掛けてどうする)


それから殿下は無口になり、必要最低限の口しかきかなくなった。

私もやりすぎたかなと思ったが、いまさら無かった事に出来ないしなぁ。



私達を結界の前に降ろしたエルちゃんは、リンデン様とまた空に舞い上がる。

前回エルちゃんの張った結界は、とても強固で魔物達にはとても太刀打ち出来そうも無かった。


「兄様!魔物は前回よりかなり多いんですけど、これ全部倒しちゃっても大丈夫ですか?減ると経済に影響が出るんですよね。それに、こちらに来れないと諦めたのか、魔物たちが隣の国に進行方向を変えたみたいなんですけれど、どうしましょう?」


確かにこちらに群がり、カオス状態だった魔物が、徐々に魔の森の奥に消えていく。

お隣さん大丈夫かね?


一瞬考え込んだガルディア様は、次の瞬間エレちゃんに全ての殲滅を命じた。


「やったー!隊長、またお肉食い放題パーティーですね!」


その言葉を最後に、魔物を追ったエレちゃんの方向から、魔物の悲鳴や残酷な音が聞こえてきた。

エレちゃんの喜々とした表情が目に浮かびぶ。

しかし結界に張り付くように立ちすくむ殿下は青くなり、居ても立っても居られない様子だ。

でもここはエレちゃんを信じ、じっと我慢しなければなりませんよ。

私だって、ガルディア様だって、心の底ではエレちゃんが心配でたまらないのだから。



暫くすると、魔物の咆哮や悲鳴がしだいに小さくなっていき、やがて静かになる。

すると待ちに待ったエレちゃんがリンデンさんと共に帰ってきた。


「お待たせしましたーー!」


大きく手を振るエルちゃんの姿にほっと息を吐く。

良かった、無事だった。

エレちゃんが地面に飛び降り、ガルティア様の下に駆けてきた。


「今回は大変でしたよ。前の…二倍ぐらいいましたし、ふさふさしたのもいたから、毛皮を傷付けないように気を使っちゃいました。ところで回収さん達はまだですか?」


エレちゃん、あれ回収さん達じゃなくて、立派な騎士達だから………。


でも到着した奴らは、しっかり荷車や幌馬車で到着して、包丁や、斧なんかも携えて、とても騎士として程遠い姿の連中でした。

情けない…。

エレちゃんが一時的に結界を消してくれたので、あちらこちらに散っていく回収班(騎士)が、大量の肉と格闘している。

中には小型のワイバーンも多数混じっていたようで、”この羽を干すと、コリコリとして旨いんだよな”と騒ぐ声も聞こえた。

どうやら珍味の様で、とても酒と合うようだ。

後でせしめておこう。


「ねえねえ隊長、噂の”さしみ”って言うのもやってみますか?」

「さしみ?」

「何か、新鮮な生肉をスライスして、塩やハーブやソースをつけて食べるみたいです」

「魔物の肉を生で?無理、食べれない」


え~~。


「だって隊長、ビッグホーンバッファローのレアステーキ、大好物でしたよね?大した変わりないじゃないですか?」

「あれはあれ、これはこれ」


理不尽だとエレちゃんは言うけど、考えただけで気持ち悪いわ。

もしかすると、かなり行ける気もするけれど。


回収班が全ての回収を終えるのに、丸一日かかったけれど、エルちゃんが気を利かせて肉が傷まないように真空保存してくれたから、お肉を無駄にせず助かった。


さて、暫くは訓練どころではなさそうだ。

しかし夜は当然宴会だ。

今回は特別に、訓練場の真ん中でバーベキュー大会。

取れたての肉で、無礼講の大盛り上がり。


そう言えば殿下はどうしましたっけ?

きょろきょろと見渡せば、城の壁にもたれるように座り込み、じっと何かを考えている様子……………と思ったら、その目線の先にはエレちゃんが。

まだ懲りてないんですか?


「殿下、召し上がらないのですか?」


私は肉を山盛りにした皿を、殿下に差し出した。


「いや、今は食欲が無いのだ……」


まぁあれだけ色々な事が有ったのだ。

食欲どころでは無いだろう。


「ククロヴァーナ殿、彼女は一体誰なんだろうな………」

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ようやく過去の虚像から抜け出せたかぼんくら王子。  一国の王太子があんな有様では民や国の歯車になって働く人々に迷惑以上のものを背負わせるところでした。  彼が彼女のことを想い続けるかどう…
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