表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/109

気持ちと常識

「エレオノーラ、今から母様の事は姉様と呼びなさい!ね、ミラちゃん」

「はいリン姉様!」


女子会モードに母様呼びは無粋なのかもしれないけれど、何なんですかこのノリは……。


「エルネスティ、今夜は一人で寂しいかもしれないけれど、我慢してね?」

「いや、私は君が楽しそうにしているだけで幸せなのだから、全然苦にはならないよ。ちょっぴり寂しいのは確かだけどね」


父様はそう言い、母様にキスをしてから客間に向かいました。

やっぱり良いな。

どこかに父様みたいな旦那様が落ちていないかなぁ。(ねえよ)


母様たちのベッドはいつの間にか姿を消し、床一面がフワフワのラグに覆われていました。

部屋の温度も適温で、このまま寝ても全然問題はなさそうです。

真ん中には不思議素材のとても低いテーブルがあり、その上には食料、お菓子、つまみがてんこ盛りで、お酒や私の好きなジュースもたくさん載っています。



母様は淡い色のシンプルなネグリジェ。

でも見る角度によっては、白に見えたり淡いピンクや水色に見えたり、とても不思議な布で織られております。

隊長のはとっっっても可愛いネグリジェです。

淡いピンクのフワフワの布で、あちらこちらにリボンが付いていて、フリルもわんさかで、寝にくくは無いのかと思うほどです。


「だって、普段あんな隊服を着ているんですもの。誰にも見られない一人の時ぐらい、普通の女の子してもいいでしょう?」


はい、美女のお強請りは何だって正義です。

わたしはと言えば、生成りの木綿で作られたこれぞパジャマという代物です。

文句ありますか。


「意義あり!リン姉様、エルちゃんせっかくかわいいのに、これは無いと思います!」

「承認!」


と言う事で、私は一瞬のうちにまるでお姫様の様な、夢見る少女が憧れるネグリジェ姿になっていました。

さすが神似者様です、逆らう事も許されません。

どうやら髪にも、小花や小さなリボンが付いているようです。

眠るのにこんなものは必要でしょうか。


「はい!エルちゃんここ、ここに横になって!」


興奮した隊長が、自分の横をポンポンとたたきます。

仕方が無いので、私は隊長の言うがまま、指定された場所までズルズルと這いずり、横になりました。

これでいいですか?


「リン姉様、エルちゃんの周りに花を出す事は出来ますか?」

「お安いご用よ」


その言葉と共に、私の周りはたくさんの花で埋め尽くされました。

バラ、マーガレット、かすみ草、名も知らない綺麗な花もたくさんあります。

おまけにサービスと言わんばかりに、小さな花まで宙をひらひらと舞っています。

さながら私は眠れる妖精のお姫様です。

何だったら羽でも付けましょうか?王冠の方が良いですか?


すると隊長がどこからかキャメルを取り出し、私に向け構えます。

またですかぁ?もう慣れましたけれど。


「はいエルちゃん、にっこりして、ああ違うのよ、もっと柔らかく、女神様の様ね」

「あらいいわね。ミラちゃん、あとでそのデーターを我が家にもちょうだい?」

「もちろんです!」


その後、私は隊長に弄ばれ、何ポーズも注文通りに撮り、最後に三人でピースサインをして、ようやく撮影会は終わりました。

疲れました………。


撮影中、ストローでジュースを飲むポーズや、お菓子を食べるポーズなんかもしましたが、実際は飲みもしなかったので喉が渇いちゃいました。




「ねぇミラちゃんも独身なのよね、ミラちゃんだったら、どんな人が好みなの?」

「え~私の理想は~、エリック・ハミルトンでぇす」

「あぁ、あの新進気鋭の役者ね」


隊長、もうすでに出来上がっていますね。


「でも隊長は既に婚約してるんでしょう?」

「そうですねぇ。フランツと婚約してますよぉ」


そう言いながらグビグビとグラスをあおっていますが、大丈夫ですか?


「シャインブルクさんの事はどう思っているんですか?」

「え~好きですよぉ。けっこう私の事を大事にしてくれるし~、頭もいいし~、かなりタイプです~~」

「でも、エリック・ハミルトンも好きなんですよね?」

「あれは観賞用~、本当の好みはフランツです~」


なるほど……、今度シャインブルクさんに報告しておこう。


「リン姉様は~?どんな人が好みですか~」

「やだ、エルネスティに決まっているじゃない。頭は良いし、性格もいいし、とても優しくて、イケメンで、力強いし、何より私に惚れ込んでいるもの」

「パーフェクトですね!」

「そうなのよね、父様ったら母様にとても優しいの。あ~ぁ、どこかに父様みたいな人いないかな~~」


「私それっぽい人、何となく心当たりが有りますよ。ただし相手を限定してるけど」

「奇遇ね、私もだわ」


「ねえエレちゃん、もし結婚するとしたら、どんな人としたい?」

「父様みたいな人!」


それ一択しか考えられませんね。


「それより隊長、酔っていたんじゃないんですか?」

「それどころじゃ無くて、冷めちゃった。ところでエレちゃんの好みって、どんな感じ?」

「父様みたいな人?」

「それ、さっき聞いたって。それじゃあ質問代えるネ。エレちゃんアレクシス様のことどう思う?」

「結婚相手に向かない人」


私だって常識ぐらい弁えているから、あまり突っ込まないでほしいな。


「向かないかなぁ~、それじゃぁあの顔ってどう思う?」

「イケメンですよねぇ。それにあの切れ長の目、とても澄んでいて綺麗で吸い込まれそう。ツンと高い鼻や薄い唇も理想的で、配置も完ぺき。言う事無いですよね。隊長、二人っきりになってあの顔で見つめられると、自分との不釣り合いを実感して、居ても立っても居られなくなっちゃんですよ」

「「……………………」」

「アレクシス様はね、凄く優しいの。必ず私の手を取って歩いてくれて、そそっかしい私が転ばないように気を使ってくれたり、私の欲しい物は、先回りして用意してくれるの。見栄えの悪いガリガリの私に、とても気を使ってくれたの」

「そうね、その上留学先で首位を取るように頭もいい。武術にも長け、剣も軽々と使いこなす。ねえエルちゃん、どうしてアレクシス様の事が嫌いなの?」

「えっ、私一度もアレクシス様の事を、嫌いだなんて言った覚え在りませんよ?」

「「…………………………」」

「そう言えば確かに、エレオノーラからアレクシス様は嫌いだなんて聞いた事無かったわ………」



「エレちゃん、そんなにアレクシス様の事を誉めるって、悪く思っていない…いえ、もしかしたら惚れちゃっている?」

「ん~好きか嫌いかって言えば、好き…ですかね」

「それならなぜ、あの話を受けないの?」

「ふっ……ははは………私だってバカじゃないんですよ?」


隊長、身の程知らずって言葉を知っていますか?


「私はアレクシス様には不釣り合いだと知っていますから。もしアレクシス様が私の事を好きだったとしても、たとえお互いの気持ちが通じたとしても、彼は王子様。国の為にやる事が有るんです。それなのに、私の我儘を押し付ける訳にはいかないんでしょう?」


これって常識ですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ