終了……だと思う
本日、午前10時頃にも投稿しております。
知らなかった!という方、前話からお入りください。
ごめんなさい。
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「陛下、一応私の家族を紹介しておきましょう。これが長男のイカルス・ガルティアです。その隣がシルベスタ、末席におりますのが長女のエレオノーラです」
「そうか、よろしく頼…………エレオノーラ??」
「はい、長女のエレオノーラでございます。エレオノーラ、陛下にご挨拶を」
「はい、お父様」
いよいよ私の出番ですね、ドキドキ。
私は立ち上がり、そっとヴェールを上げます。
「これは……なんという……」
まずは素の私を見せつけます。
「そうか、そなたには四人の子が有ったのか……。しかし何と美しい。まるで天上人の様だ」
えっ、陛下は天上人に会った事が有るんですか?今度ぜひ紹介してください!
と、その前に……。
「ガルディア男爵家の長女、エレオノーラと申します。陛下、お久しぶりでございます」
「久しぶり…??あなたとは以前会った事は有ったかな?妹君…には会ったかもしれぬが………」
「私には妹はおりませんし、アレクシス様にご紹介いただいた時、陛下とお会いいたしました」
「えっ、は?その……エレオノーラと申したか?」
混乱する気持ちは良く分かります。
しかし現実を受け入れていただかないと、話が進みません。
「この度はアレクシス様との正式な婚約破棄、証書までいただき感謝に耐えません」
「何を言っておる。これは何の茶番だ?この娘はエレオノーラ嬢ではないだろう。あの時の娘はもっと瘦せており、こう、ビン底眼鏡を…………」
はい、次は母様の登場です。
「ええ、あの時は確かにこの子は痩せておりました。陛下、実はエレオノーラと思われ、死んだのは、この子の友人のミシェルという娘です。この子は確かこうやって生きております。しかしエレオノーラもあの火災に巻き込まれ、重傷を負い長い間、身元も分からないまま意識不明で病院に入院していたのです。当然病院では身元が分からずとも治療が進められ、栄養状態も改善されたのです」
「何を言っているのだ!そんな話は信じられぬ。さてはお主たち、私を謀ったのであろう!!一体何を企んでいる!」
まあ怒るのも無理はない、予想内の反応ですよ。
「陛下、信じられないのも無理は有りません、しかし……」
母様が、私の目の前でひらりと手を振る。
するとあ~ら不思議。
私は一瞬のうちに靄に包まれ、それが晴れると………どうなった?
しかし陛下やお付きの人などが、一人残らず目を逸らしたのは、きっと今の私は見るに堪えない状態だったのでしょう。
そりゃそうですよね。
母様が念入りに魔法を掛けた力作ですもの。
「私は娘のこんな状態を人前にさらしたくは有りませんでした……。しかし陛下が信じてくれない以上、私はあえてこの魔法を解きました。ご理解いただけたでしょうか」
「………すまなかった」
「娘は火傷だけではなく、あちこち負傷し、家ではほとんど寝たきりの状態です。そのうえ医者からもう子供は授からないだろうとまで言われました。お判りいただけますか?若い娘がこのような火傷を負い、人前にも出れない状態。更に世継ぎも無理と宣告されたこちらの気持ちを(オヨヨヨ)」
「どうか、先ほどの姿に戻してあげてくれ」
「お気遣いありがとうございます」
そう言い、母様は先ほどの魔法を解きます。
「しかし陛下、どうか信じて下さいませ。この様な姿になろうとも、娘の本来の姿はこの姿であると」
はい、美少女バージョンのエレオノーラです。
「あぁ、信じるとも。確かに幼少の頃のエレオノーラ嬢は天使のようにかわいかった。きっとあのまま成長すれば、そのように美しい娘であっただろう」
「で、先ほどの話の続きですが、とにかくエレオノーラはこうして生きておりますので、たとえアレクシス様が自害なさっても、ぜぇったいにエレオノーラとは会えませんから、その事をよく言い聞かせて下さいませ。更に娘はこのような状態で殿下の妃は務まりません。ましてや子も成せない体なら、なおさら王家に嫁ぐなど無理でしょう?」
「もしやそなた達はそれを思い、彼女の体もままならぬのに此処まで出向いてくれたのか………」
いえ、そんな事などミジンコほども思っていませんね。
全て自分可愛さのみです、ごめんなさい。
「陛下、納得していただけたなら、それで良いのです。でもアレクシス様があのままではかわいそうです。どうか親として、アレクシス様の力になってあげて下さいませ」
「あぁ、もちろんだ。しかし一つだけ願いを聞いてもらえないだろうか」
「一体どのような…」
「一度だけでいい。あれをエレオノーラ嬢と会わせてもらえないだろうか」
お断りします!
「会ってどうなさるのですか?焼け木杭に火を付けるおつもりですか?それともこの子に、更にみじめさを重ねるのでしょうか………この先も交わる事の無い道でございます。二人は会わない方が賢明でしょう」
「そうか……いや、失礼した。アレクシスの方には、わしの方から責任を持って言い聞かせておこう」
「ありがとうございます。では陛下、この子の体の事も有りますので、これにて失礼いたします」
「あぁ、今回の件、誠に申し訳ない事をした。すまなかった。どうか体を大切にしてほしい」
ようやく家に辿り着いたガルディア家の面々です。
「終わったわね」
「終わったのよね?」
「あぁ、終わっただろう」
「多分終わりましたよね」
「これで終わったのならいいのだが……」
終わったの!
何でそんなに不吉な言い方するのよ。
「さてエレオノーラ、これからどうするつもり?」
「えっ?帰って仕事しますよ?」
「仕事をする?帰るって………」
いやですねぇ。カリオンに決まってるじゃないですか
「だってシュカルフ様と契約してますし、隊長も待っていますからね。カリオンに帰っていつも通り仕事をするに決まっていますよ」
「だが、もうお前は逃げ隠れする必要はないのだぞ?」
「それと仕事は別物です。約束している以上、私はすべき事をするのです」
それを聞いたみんなは、いつも通り笑ってくれます。
「ははは、エレオノーラは相変わらずぶれないね」
「もちろん、私は私ですもの。これからは今までの分も、自由にのびのびと暮らします」
「そうね、私もそうするわ」
母様、ほどほどにお願いしますね。(お前もな)
だから私は兄様と共にカリオンに帰ります。
「何かあったらすぐに連絡して下さいね」
「ええ、あなたもね。何だったら自宅通勤だっていいんじゃないの?」
「………考えておきます。じゃあ父様、母様、行ってきます」
そして私は、隊長たちの待つカリオンに向かいました。
「あの~私は?」
相変わらず影の薄いシルベスタ兄様でした。




