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「ああ…知っていた………」


私が死んでないって言ったら、兄様ったらもう知っていたんですって。

まあイカルス兄様と同様、私が今こうしてここにいるんだもの、生きているって分かるよね。

もう少し違ったビックリを仕掛ければよかった。


「既に母上から聞いていたから」

「うそ、一体いつ聞いたんですか?だって母様が知ったのは先日ですよ」

「いや、そのずっと前から母上達は知っていたよ」

「えっ?そんな、違いますよね母様?母様はつい先日、私が生きているって知って、とても驚いたんですよね?」

「エレオノーラ、親を見くびるものではありませんよ」

「エレオノーラ、母様はミシェルをここに連れて来た時点で気が付いていたんだよ。そしてお前と再会するまで、ずっとお前の事を心配し心を痛めていた。だからこそ、お前が無事で帰って来てくれた事をとても喜んだんだ」


そう言えば、話のつじつまが合わないな。

でもあれ私が帰ったから喜んでくれてたの?

私かなり痛い思いをしたんですけれど。


「母様、なぜ私が私じゃないって気が付いたのですか?」

「そう、まず第一に身長ね。ミシェルさんって、あなたほど背が高くなかったみたいだし、それと、ミシェルさんの手のひらの状態が良かったから、そこに有るべきものが無い事に気が付いたの」


じっと両手の手のひらを見る………。


「あっ、これですよね、これ。ミシェルの手のひらには、ほくろが無かったのか……」

「正解。でも父様だって気が付いていたわ。これでも伊達に十六年間、あなたの親をしてきた訳ではないのですからね」

「さすが私の両親だけあります!」


でも、もし私の背がもう少し低かったら、私の手にほくろが無かったなら、今も私が死んだと思い心を痛めていたのだろうか。

いや、そんな事無いか。

父様や母様だったら、きっと私では無いと分かってくれたはずだ。


「あの~」


それまで傍観していたシルベスタ兄様がそっと手を挙げる。


「またしても私は蚊帳の外ですか……。いえ、いいんですよ。しょせん私の存在なんて、そんなもんだったんだ。イカルス兄さんだってこの場に和気あいあいとしているのに、私だけのけ者にして………いいんだ、どうせ僕なんてどうでもいい子なんだ~~~」


そう言い、自分の部屋に駆け出す兄様。

それからしばらく自室に立て篭っています。



「兄様ごめんなさい。お願いだから許してー」


いつまでも部屋に閉じこもっている兄様を、部屋から引っ張り出してから帰りなさいと言う母様からの命令です。

兄様が部屋から出てきてくれないと、私はイカルス兄様と帰れないです。

イカルス兄様は、明日も仕事があるから、なんとしても帰らなければならないんです。

お願いですから出てきて下さ~~い。


「私など放っておけばいいだろう?」


だからごめんって。


「いっそ力ずくで引きずり出したらどうだ?」


お前なら出来るだろう?

イカルス兄様はそう言いますけれど、ダメですよ。

ちゃんと責任と誠意をもって、納得してもらってから引きずり出さなければ。


「シルベスタ兄様。兄様を蔑ろにしたわけじゃ無いんです。兄様のお仕事が忙しそうだったから、お邪魔してはいけないと思ったのです。決して兄様の事をのけ者にした訳ではありません。でもそう思わせてしまったんですね。ごめんなさい兄様、大好きです…」

「エレオノーラ………」


そっと扉が開き、兄様が顔を出したのを見計らって、その首に飛びつきました。


「兄様つっかまえた~!」


条件反射か、兄様はそのまま私をお姫様抱っこをしてくれます。

一見やせっぽちの優男に見えるけれど、兄様ってば力持ち。

その頬にチュッとキスをして、にっこりと笑えば、私はもう無敵です。


「危ないだろうエレオノーラ、仕方ないなぁ」


そう言いながら、私を抱き上げたまま一階にいる母様たちの下に歩き出しました。



シルベスタ兄様はあまり仕事から離れられないからと、私達はほとんど毎日のようにトルディアに通います。

今まで報告した事を、母様がシルベスタ兄様に話しておいてくれたようで、私は再度同じ事を話す手間が無くなり助かりました。

でも風当たりは3倍になってしまいましたが………。


その後はしっかりお小言をたっぷり貰ってから、ようやく平静が戻ってきました。


それからすぐ今後の方針についての話し合いとなりました。

時間が有りませんからね。


「エレオノーラは生きていたと公表しなければならないだろうな」


既にイカルス兄様の妹として、カリオンにいるのですから当然でしょう。


「まあ誤魔かす事はいくらでもできるが、この子はディア・アレルヤだ、手を出そうとする者はいないだろうし、反って公表する方がいいだろう」

「ですね、エレオノーラがディア・アレルヤなら、あいつらも下手に手を出してこないだろう」


あいつらって誰の事でしょうね。

私に手を出すような物好きなんていないはずなのに。


「父上、これはしっかり自覚してもらうためにも公表した方がいいでしょう。さっそく城まで報告しに行きますか?」

「まあそれでもいいが、取り敢えず自分がどういう立場か、しっかり叩き込んでからの方がいい」


そうですね…、と言うと、母様が嬉しそうに父様の袖口を引っ張る。


「ねえねえ、それなら私の封印を解いてもいいかしら?だってもうエレオノーラの事を秘密にしておく必要ってないのでしょう?だったらいいわよね?」

「え”………」

「魔王が二人………父上、この国は大丈夫でしょうか……」


魔王?えっ?どこにいるんですか!?

もしかして私の事?

嫌ですね、私はディア・アレルヤ、女神ですよ。


「しかしもしエレオノーラが何かやらかしたなら、それを止められるのはジャクリーンしかいないだろう。それならば封印は解くべきだな」

「そ…うですね、父上の言う通りかもしれない」

「引いては、それはエレオノーラを守る事にもなるのでしょうから、母上、よろしくお願いします」



「それじゃあ解いちゃいます」


そう言い母様は目をつぶり、大きく息を吐く。

すると光の粒が、母様を中心に風と共に舞い踊る。

まるであの日の雪のようだ。



ひとしきり光っていた粒が次第に消え、風も収まっていた。



そして母様は……一皮むけたと言うか、しおれかけた花が水を得たと言うか………。


「なに?」


いえいえ、決して若作りしたみたいとは思っても言いませんよ。

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