表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/109

行き場のない手紙

拝啓エレオノーラ。

あなたは今どこにいますか?

あなたには驚かされ通しです。

父様も、兄様たちも、もちろん私も、あなたの事をとても心配しているのですよ。

帰って来たら、たっぷり叱ってあげますから、楽しみにしておきなさいね。


最初はあなただと思っていたお友達?は、今は我が家のお墓で眠っています。

今、シルベスタ達にもお願いして、彼女の家族を探していますが、あまりにも情報が少なすぎて進展していません。

だからエレオノーラ、早く帰っていらっしゃい。

何も分からない私たちに、あの子の事を教えてちょうだい。

そしてあの子を早く本当のお家に帰してあげましょう?



今回の事、あなたはきっとアレクシス様の事を考えての行動でしょうが、そんな事は気にしなくても大丈夫です。

もし彼らがあなたが無事だと知って、我が家にクレームを付けようとも、そんな物どうとでもなります。

いざとなれば、母様が報復しますから、あなたは何も心配しなくてもいいのですよ。


そう言えば、お墓で眠っているのがエレオノーラでは無いと、王室に報告するのを忘れていましたっけ。

多分あちらは、まだあなただと思い込んでいる事でしょうね。

もちろん報告をするつもりではいますよ。

そうですね…あなたが帰宅した時にでも言いましょうか。


アレクシス様の行動は、まだ良く理解できません。

今回の事は、どうやらコリアンヌ様のひとり相撲だったようで、アレクシス様はコリアンヌ様の事は好いていないと説明が有りました。

それと、あなたの事を思い、彼はとても心を痛めている……とのことです。

まあその言葉が信用できるかどうかは分かりませんが、

そう言えば、今まで動きが無かった彼ですが、どうやら来月から、この国の内政を学ぶためバーバリアンへと行くそうです。

最初はカリオンで一から勉強したいと言ったそうですが、イカルス(ガルディア家の長男)と一緒の職場で、しかもあの子の部下になるなど迷惑もいい所です。

バーバリアンに行く事になり本当に良かったです。

だからエレオノーラ、バーバリアンにはあまり近寄ってはいけませんよ。


そう言えば、あなたの16歳の誕生日を一緒に過ごせませんでしたね。

とても残念です。

イカルスとシルベスタからもプレゼントとお土産を預かっていますよ。

出来れば次の誕生日は一緒に迎えられる事を願っています。


エレオノーラ、あなたはあの時の事を思い出したでしょうか?

あなたがあんな年齢から魔法を使い始め、母様たちは本当に驚きました。

さすがは母様の子です。

でもなぜ母様が、あんな事をしたのか分かってくれたでしょうか?

母様たちは、あなたが魔法を使う事が楽しくて、いろいろな奇跡を連発し、危うい目に有った事に不安を覚え、封印魔法を掛けざる負えなかったのです。

ならばなぜ、成人するまで封印をするのかと思ったかもしれません。

母様も、もっと早く封印を解く事も考えました。

でもあなたならきっと、相手の状況を考え、自分の身に不幸が降りかかろうとも、相手の事を助けると思ったからです。

封印が掛かっている間に誰かが不幸になろうとも、あなたは私たちの大切な家族、娘なのです。

誰よりもあなたの幸せを願ってしまうのです。

しかしその力はあなた自身の物、私が消し去るべき物ではありません。

その力をどうするかは、成人となったあなた自身が考え、判断してください。

母様自身は、出来ればあなたがその力を永久に封印し、平凡で幸せな人生を送ってほしいと思っていますが、きっとあなたは誰かのためにその力を使うのでしょうね。


エレオノーラ、何か困った事が有って、もしここに帰ってくるのが嫌ならば、兄達を頼りなさい。

あの子達はあなたの為なら何でもしてくれる筈です。

だからと言って甘えすぎてはいけませんよ。


今はあなたとって、経験を積むいい機会かもしれないと思い、暫くこのままにしておきます。

でも、元気でいるかの便りぐらいは欲しいです。

もし長い事、あなたからの連絡が無かった場合、母様は自分に掛けてある封印を解き、あなたを探します。

出来ればその前に帰ってきてください。

お願いします。


                  ジャクリーン・ガルティア



そう手紙にしたため、封筒に納める。

届け先の分からない手紙、だけど届けたい手紙。

そんな行き場のない物を、私はそっと机の引き出しにしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ