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みんな頑張ってくれたんだね

「ご、めーーん!」


急ぎリンデンさん達のもとに戻った私は、平謝りに謝った。


「まあ待つ事が数時間伸びたところで、今更大した変わりはない」


そうだねー、本当にごめん。


父様が言うに、どうやら私は3年ほど眠っていたらしい。

鏡など見ている暇は無かったけれど、髪がかなり長くなった事でその時間の経過を納得した。


「私が寝てる間、何か有った?」

『有った有った、私達すごーく頑張ったんだよ』


ハルちゃんが言うには、とにかく壊れてしまった自然、つまり私のやり残したことを、全員総出で整えたとのこと。

それ以降は、この山の麓で私の見張りをしながら眠っていたらしい。(見張りじゃなくて護衛じゃないんですか?)


『だからー、残念ながら寝ている間の事はあまり良く分からないけどね』


そっかー、眠り込むほど皆も疲れちゃったんだね。

でも大まかな事でいいから情報が欲しい。

何も知らないままだと、みすみす虎の尾を踏む可能性もあるから。


『ハルや、分からぬのはお前ぐらいだ』


と、リンデンさん。


『えっ、えっ、そう何ですか!?』

『お、俺達は分かっていたぞ………(汗)』


そうかそうか、さすがはピーポちゃん。

眠っていても、その間の状況が分かっていたんだね。

ならば洗いざらい説明してもらおうか。


結局リンデンさんの報告では、どうやらこの山には名前が付いたらしい。

その名は”エレオノーラ”。


「それは絶対に変更してもらう!」


私は拳を握り、心に誓う。

この山には、大地の神や緑の御方に由来がある名前が相応しいと思うんだ。

第一そんな名前を付けられたら私が恥ずかしいよ。


それからここまでの道…と言うか、リンデンさん達が直してくれた土地の後始末は、国が中心となった事で、人間の手によりこの3年ほどで大方整ったみたいだ。


『港や町は最小限の規模にしたようだ。とはいえ交易のため外国からの船も来るからな。小さな港町とは言えない規模だ。それでも神が怒っている様子は無いからな、きっとそのままでも良いのだろう』

『この山までの道も途中に宿場が2か所あるだけです。後は50人ほど集える程度の更地が2か所ほど』


やっほー、サラさんお久しぶり。


『あんたが考えていた麦畑だってちゃんと作っておいたんだからね。その近くに適当な広場を作っておいたら、小さな集落が出来て、今ではその村が麦畑を管理しているわ』

『姉さんの好きなチューリップとやらも、あちこちに植えておいたぜ。今頃花の時期じゃないか?』


時は春。(多分)

きっとピーポちゃん達の植えてくれたチューリップは、綺麗に咲き誇っている事だろう。


「みんなありがとう。後でみんなで色々な所を見に行こうね」


とは言っても、皆は神獣に精霊に怪物。

一緒にあちこち回るにしても…いやいや、ハルちゃんが怪物なんてとんでもない!

ハルちゃんはとても可愛い妖精です!

なんて思ったとたん、ハルちゃんの鳥のような足が、すらりとした見慣れたものに変化した。

羽根はそのままだけど、どちらかと言えばサラさんに似ている。


『ご主人様!なに魔力の無駄遣いしてるんですか!でも……ありがと』


照れくさそうに笑うハルちゃんは、変化しても抜群の可愛さだ。


『ほおっ、ハルの格が上がったようじゃな』


格が上がると、足が変化するのか…。

でもなぁ……。

すると私の気持ちを察したリンデンさんが、すかさず口を開いた。


『何か心配事でも有るのか』

「いえ、皆で一緒に町を歩きたいと思ったんだけれど、やっぱりリンデンさんやピーポちゃん達だとサイズが…ね」


今のハルちゃんは、人間の子供ぐらいの大きさだけど(胸は私より有るから、子ども扱いにされないと思うけど)、リンデンさんやピーポちゃんはどう見てもドラゴンだし、どう見ても触るな危険の異形。

あれほど人間の犯した事に対し、必死になって手助けしてくれたのに、町の人達に奇異な目で見られる事はあまりにも不憫だ。


『何だ、そんな心配をしておったのか。ほれ』


すると瞬く間にリンデンさんの周りの空間がぶれ始め、見る間に体の形が変わっていく。

と言うか、しぼんだ?


『失礼な奴じゃな』


そう言われ、私は額にデコピンを一発食らった。

だってその人…リンデンさんは、背格好はイカルス兄さんに似ていて、長いペールブルーのサラサラの髪で、イケメン度はアレクシス様とどっこいどっこいの30代近い人間の男性に変わっているんだもの。


『これならお主と一緒に歩いても、何ら問題は無かろう』


無い無い、問題どころか、文句も無いです。


『ずりーな兄貴。自分ばかりそんな姿になって……』

『そうよ、あんた達だけご主人様に付いて行って、私達は置き去りにするつもりなんでしょう!?』


うん~このままだと、確かにピーポちゃん達にはお留守番してもらうしかないかなぁ。


『何じゃ、お前達はまだ形を変える事も出来ぬのか。ほれ』


そう言い、ピーポちゃんに腕を伸ばし、その指先からキラキラ光る小さな粒を飛ばした。

すると先ほどリンデンさんのような事が再び起きた。


私の目の前にいる二人は、年の頃なら15・6歳。

ちょうど私と同じくらいの年齢の、ちょっとヤンキーぽい男女……違った。

3年間眠り続けた私は、当然それだけ年を食っていたんだった。

つまり私は19歳か?何か損をした気分だな。


『やあ、君は人型になってもとても美人だよハニー』

『あらやだ、あなたこそとても素敵よダーリン』


そう言いながら、いちゃいちゃと仲睦まじいご様子。

そう言えばお二人はカップルでしたね、さすがファイアードラゴン、お熱い事で。

でもここは一応R18禁止地帯ですぜ。

できればその辺で止めておいて下さい。

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