女上司に甘やかされる
今日の仕事は精神的に疲れる物が多かった。
少し残業してしまい家に帰ると明かりがついている。
「ただいま」
「お帰りなさい」
ドアを開けてすぐに苺が俺を迎えてくれた。
鞄を苺に渡してネクタイを緩める。
「ふふっ、こうしていると新婚さんみたいだね兄さん」
「そうだな。もう結婚しちゃうか?」
「だーめ、まだ恋人期間を楽しみたいの」
いつかは一緒になるつもりだけどいつになるだろうか。
きっとお互いに今の会社にいる状態で結婚するのだろう、
そうなると結婚は会社に知られてしまうのだ。どれだけ隠そうとも人事部には確実に。
「どこかで機を見て、会社に結婚しますって伝えたいなぁ」
「そうだね。私はまだ恋人期間を続けたいし…牽制しておきたいしね」
もう会社で恋人関係を表に出してもちゃんと仕事できる…と思う。
何よりナンパ野郎第2号が現れたらと思うと公表してしまった方がと俺たちは思っていた。
俺に女性はこないだろうけど苺にはたくさん来ていそうだな。
「兄さんは私の物だってしっかり教えてあげないとね」
「無用な心配だろうそれ」
「心配性なんですー」
「いつまでも兄さん呼びじゃ恋人アピールできないんじゃないのか?」
そういうとあごに手を当てふむと少し思案する苺。
俺の下の名前で呼んでくれたりするのかな?人生で一回も苺からは呼ばれたこと無いな。
苺はにやりとして俺を新しい呼び方で呼んだ。
「今夜はミートソースのパスタでいいですか?あ な た?」
「っ!?」
恥ずかしい、恥ずかしいけどそれ以上になんだろう。嬉しい。あれ俺結婚してたっけ?まだか。早く結婚したい。
「ふふっ、良い顔が見れました。今日はずーっとこうやって呼んであげますねあなた?」
「待て苺、それで呼ばれ続けると俺は今すぐにでも婚姻届けを提出したくなる。苺は恋人期間を楽しみたいんだろ?じゃあその呼び名はまずいんじゃないか?」
「…じゃあ裕也!」
また俺は大きな幸せダメージを負ったが、今度は苺も顔を赤くして相打ちだった。
「…これ、恥ずかしいね。あなたは冗談で言えたけど名前呼びは呼ぶ方も恥ずかしい」
「でも、呼ばれて嬉しかったよ苺」
「そう?じゃあ今後はそう呼ぶね…裕也」
恥ずかしいけどお互いにくすくすと笑って甘酸っぱい感覚を楽しんだ。でも、苺は時々別の方の呼び名も使いたいらしい。俺も嬉しかったのでメインは裕也、時々もう一つの方をOKした。
「いつもお仕事お疲れ様です。あなたの仕事っぷりは誰よりも私が知っています。家では私に甘えてゆーっくりお休みしましょうね。あなた♪」