【声劇台本】童貞の恋を応援します
アドリブ・アレンジ大歓迎です。
自分が感じたように、やりたいように、自由に演じて下さい。
表(配信アプリ)でのご利用の際は、ツイートして下さると踊って喜びます。
※台本内のアドバイスは経験や聞いた話を元に作者の偏見で書いておりますのでご了承下さい。
タイトル:童貞の恋を応援します
作:銀狼
声劇台本 ♂ 1:不問 1
時間:約30分
・男性(♂)
・恋のキューピット(不問)
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・男性 :
・キューピット:
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◇一人暮らしの部屋
男性「(ため息)」
男性M「俺には好きな人がいる。同じ大学の女の子。LINE交換までは出来たけど、そこから先に進めず、半年が経った」
男性「ほんと、どうしたら良いんだよ。今まで彼女なんて出来た事ないし……もう誰でも良いから助けてくれ」
◇キューピット:突然、部屋に現れる
キュ「はいはーい!僕(私)の事を呼んだのは君かな?」
男性「は!?え?!誰!?どこから!?」
キュ「僕(私)は恋のキューピット【キューちゃん】だよ!恋に悩んでいる君を助けに来たんだ!」
男性「恋のキューピットだぁ?…ハッ!!都市伝説で聞いたことある…恋愛をしたことがなく拗らせてしまった人々を助けるべく、恋のキューピットが現れると…!!」
キュ「そうだよ!拗らせボーイの背中を押し、アドバイスをして!素敵な恋の始まりを応援するんだ!そのままズッコンバッコン子孫繁栄!」
男性「ってそんな馬鹿みたいな話あるか!!」
キュ「なんで!?どう見ても恋のキューピットでしょ!?」
男性「こえぇよ!なんだよ!恋のキューピットって!!」
キュ「えー。どうしたら信じてもらえるかなぁ…」
男性「なんだよ、こいつ…夢でも見てるのか?」
キュ「そうだな…君は同じ大学に通う21歳、身長156㎝、体重50、3㎏、右利きで足のサイズは23㎝。好きな食べ物はパンケーキで、よくインスタには「パンケーキなう」っていう投稿をしている。毎日寝る前には日記をつけていて、パパに買ってもらったクマのぬいぐるみを抱きしめて寝ている『桜木 稟』のことが好きなんだよね?」
男性「なぜ、それを?!俺の知らない情報まで…クマのぬいぐるみ抱いて寝てるんだ。可愛い……お前、本当に恋のキューピット?」
キュ「そうだよ!恋のキューピットだよぉ!【キューちゃん】って呼んでね!」
男性「恋のキューピットって本当にいたんだ…でも、でも」
キュ「こう見えても、今までに何万との恋を実らせてきたんだから!大船に乗ったつもりで、僕(私)の話を聞いてみてよ」
男性「うーん…」
キュ「どの道、好きな彼女のLINEアイコンを眺めるだけで、何も進まないんだったら、半信半疑でいいから話を聞くだけ聞こう?ただで僕(私)のアドバイスを聞くことが出来るんだから」
男性「まぁ…そうだな」
キュ「よーし!まずはデートに誘わないと何も始まらない。彼女にお誘いのLINEを送ろう!」
男性「無理だよ!そんな急に言われても…出来るなら、もうとっくに送ってるよ」
キュ「そうやっていつまでも逃げるつもり?誘うのなんて簡単簡単。ほら、スマホ貸して」
◇キューピット:男性からスマホを取り上げる
男性「あっ!おい!スマホ返せ!」
キュ「来週の日曜日、美味しいパンケーキ屋さんを見つけたので一緒に行きませんか?っと。はい、これを送信して」
男性「え!?いや、俺パンケーキ屋さんとか知らないよ!?それに、急にこんなLINE送っても迷惑だろうし…」
キュ「パンケーキ屋さんは僕(私)が教えてあげるから大丈夫だよ。あと、迷惑とかそれは君の勝手な想像だろ?相手の気持ちなんて分からないんだから、送る前から決めつけるのは良くないよ。何事もやってみないと何も始まらないし、分からないままにして後悔するのは君なんだから」
男性「けど、もうちょっと違う誘い方とかさ…もう少し距離を縮めてからの方が…」
キュ「送信」
男性「は!?え!?」
キュ「もう送っちゃったから、後戻り出来ないよ」
男性「何してるの!?無理無理無理!あー死んだ。はい、死んだ」
キュ「まだ死ぬには早いって」
男性「明日からどんな顔で会えば…大学に行ったら、皆から笑われて、お前みたいな奴がデートに誘ったんだってな!って言われて、送ったLINEが印刷されていて、校内にばらまかれて、俺はもう一歩も家から出られない…」
キュ「妄想が激しいねぇ。漫画とかテレビの見すぎだよ」
男性「やだ…今すぐ首吊りたい」
キュ「はいはい、落ち着こうねぇ。深呼吸しようか」
男性「…うん」
キュ「はい、ひーひーふーひーひーふー」
男性「ひーひーふーひーひーふーってこれラマーズ法!!生まれちゃう!!」
キュ「え、出産予定日はいつなんですか!」
男性「妊娠してねぇよ!!」
キュ「でも、生まれちゃうって」
男性「確かに言ったけど、そうじゃない!!」
キュ「嘘つきは泥棒の始まりだよ?」
男性「嘘ついた訳じゃなくてさ!?こう、さ?!」
キュ「ごめんなさいは?」
男性「…ごめんなさい」
キュ「よしよし、いい子だね」
男性「うん。…っていやいや、おかしいだろ!!」
キュ「うん?」
男性「…(ため息)なんでもないよ…」
キュ「あ、既読ついた」
男性「はぁ?!」
キュ「返事来るかなー?ドキドキだねぇ」
男性「やだやだ!無理無理!ごめんなさいごめんなさい生きててごめんなさい」
キュ「情緒不安定過ぎない?」
男性「俺にはまだ早かったんだよ…」
キュ「なーにがー?ほら、ちゃんと見て。いいよだってさ」
男性「…え?なにが??」
キュ「一緒にパンケーキ屋さんに行くってよ」
男性「罠?ドッキリ?期待させてからのどん底に突き落とすやつじゃないの?」
キュ「罠でもドッキリでもない。桜木さんと日曜日デートだよ」
男性「…桜木さんと…デート…やった。やった!!やったぁ!!!」
キュ「良かったね」
男性「夢みたいだ。いや、これは夢?(頬を叩く)痛い!夢じゃない!」
キュ「何事もやってみないと分からないんだよ」
男性「うん!!」
キュ「けど、喜ぶのは良いけど、あくまでスタート地点に立っただけ。大変なのはこれからだよ。好きな女の子とデートをするんだから、楽しませなくちゃいけないし、自分をアピールしていかなくちゃいけない。ただ、パンケーキを食べればいい訳じゃないんだよ」
男性「…そっか…どうすればいいんだ」
キュ「それをこれから僕(私)が教えるんでしょ!」
男性「…よろしくお願い致します。先生…!」
キュ「お。やっと聞く耳を持ってくれるようになったねぇ」
男性「俺はなにをどうしたら…」
キュ「そうだねぇ…まずはデートの時に着る服から決めよ!」
男性「着る服…え、服のコーデとか全然分からないよ」
キュ「うん。分かってた。とりあえず持ってる服を見てみないと何も言えないから、クローゼット失礼しまーす」
◇キューピット:クローゼットを開ける
キュ「おぉ…チェック、チェック、チェック…チェックシャツしかないじゃん!!どんだけチェックシャツ好きなの!?」
男性「服とか全然分からなくって…チェックシャツだったら一枚で着れるから」
キュ「そっかぁ…うーん。そうだねぇー??」
男性「え…なんかごめん」
キュ「大丈夫だよ!!僕(私)は恋のキューピットだから、ある服で素敵なコーディネートしてあげるよ!!」
男性「はい!!」
キュ「そうだなぁ…チェックシャツは自分に合ったサイズを着ないと、子どもっぽくみえちゃうんだよ」
男性「自分に合ったサイズ?」
キュ「うん。チェックシャツは大きいとぼたっとして見るから、肩幅、身幅が程よくピッタリなのを選ぶのが良いんだ」
男性「初めて知った…いつも着れるのを買ってた」
キュ「んで、それだけじゃなくって、着丈が長いと上半身が長く見えちゃうから、ベルトが丁度隠れるぐらいの長さを選らぶ」
男性「へぇ…」
キュ「だけど、全部サイズ大きめだねぇ…えぇ…」
男性「ごめんなさい」
キュ「仕方ない。特別に一回だけ、本当は駄目だけど、ちょちょいのちょい」
◇クローゼットの中のチェックシャツが輝き、サイズが変わる
男性「え!?なになになに?!」
キュ「魔法的な?」
男性「魔法使えるの?!恋のキューピットなのに!?」
キュ「一人に対して一回しか使えない特別の切り札だよ」
男性「え、一回しか使えないのに、ここで使っちゃうの」
キュ「服ってとても大事だよ!?どうせ、普段ダサい恰好しか出来てないんだから、デートの時ぐらいカッコ良く着て、意識させるんだよ!」
男性「ダサい…」
キュ「ダサいよ!!チェック柄しかないし、チェック男だよ!!しかも、サイズは合ってないから、だらしなく見えるし、子どもっぽいし」
男性「そ…そっか。明日から家から出るのやめよ…」
キュ「大丈夫!チェックシャツの着こなし方を教えるから」
男性「お願いします」
キュ「君の事だから、チェックシャツ一枚でしか着てないんでしょ?」
男性「はい」
キュ「チェックシャツは一枚で着るだけじゃなくって、シャツの上に羽織として着たり、腰に巻いたり、ニットの下に着たり、着回しがしやすい服なんだよ?」
男性「へぇー」
キュ「あと、チェックシャツはデザインも凄い大事」
男性「あ、それは俺なりにちょっとこだわってる」
キュ「うんうん。デザインのセンスは良いと思う。濃ゆい色が多く配色されたり、チェックの幅が大きいのとか色々あるね」
男性「チェックシャツばっか持ってるから、あまり被らないようにって思って」
キュ「無難に、この赤と青のやつでいっか。ここに…Tシャツとかを合わせたいなぁ」
男性「Tシャツは確かここに…」
◇男性:クローゼットの引き出しを引く
キュ「お、色々ある!」
男性「母さんが色々買ってきてくれるから」
キュ「え、自分でチェックシャツを買って、Tシャツはお母さんなの?」
男性「時々ズボンとかも買ってきてくれる」
キュ「なるほど?」
男性「いや、俺もいい年齢だし上ぐらいは自分で買おうと思って」
キュ「なるほど」
男性「うん」
キュ「そこら辺に関しては何も言わないよ」
男性「え、なんか駄目だった!?」
キュ「このシャツにはそうだなぁ」
男性「え、スルーされた」
キュ「シンプルな白発見!柄には無地を合わせるのがいいんだよぉ」
男性「へぇー」
キュ「ほんと、今までよくそれで生きてこれたね」
男性「なんで?」
キュ「チェックシャツの下に着るなら、首元がVの形をしているのとかがスッキリして、着こなせれるんだよ。君のお母さん分かってるね」
男性「へぇー」
キュ「それに、これ長袖だから、さっき言った腰に巻く着方も出来るんだよ!」
男性「服なのに?」
キュ「う、うん?」
男性「いや、服って着るもんじゃんか。なのに巻くって…ふーん」
キュ「…うん。ファッションは好みがあるからね。うんうん。いつか分かる日が来るんじゃないかな」
男性「まぁ、別に分からなくってもいいかなぁ」
キュ「だから童貞なんだよ(小声」
男性「え?」
キュ「次はパンツだね」
男性「え、なんで?パンツも?」
キュ「ごめん。僕(私)が悪かった。ズボンを選ぼうか?」
男性「おいおい、パンツとズボンを間違えたのか?大丈夫か?」
キュ「…無知は罪っていうよね」
男性「なにそれ」
キュ「何もないよ!さ、ズボンを選ぼうか!」
男性「なんか、もやもやするんだが…」
キュ「ズボン、ズボン♪チェックシャツは基本ズボンは何でも合うから、このベージュのズボンにしようか!」
男性「これが、デートにいくコーデか」
キュ「デートコーデというか、ある服でデートに行ける服を組み合わせたって感じだね」
男性「へぇ。ありがとうございます」
キュ「次はデートプランだね!」
男性「デートプラン…」
キュ「まさか、パンケーキ食べるだけで終わるつもりだった?折角のチャンス!!折角のデートなんだから、パンケーキだけで終わらせません」
男性「ど、どうしたら…」
キュ「まず、スマホ貸して」
男性「何するつもりだよ…」
キュ「まず、パンケーキ屋さんのホームページを調べるんだよ。君が何も知らなかったら駄目でしょ?」
男性「分かった。はい」
◇男性:キューピットにスマホを渡す
キューピット:スマホをいじる
キュ「うーん、と。へぇ、君ってこういうのをオカズにしてるんだ」
男性「は?!ちょ、何見てるんだよ!?」
キュ「検索履歴」
男性「なんでだよ!?話が違うだろ!!」
キュ「男の子の検索履歴を見るのはお決まりでしょぉ。ちゃんと消してない君が悪いんだよ?」
男性「見るな!?返せー!!」
キュ「はいはい。これ見てね」
◇キューピット:男性にスマホを投げる
男性「投げるな!?」
キュ「今開いているページのが僕(私)が言ってるパンケーキ屋さん。そこに彼女を連れてってね」
男性「…すげぇオシャレ…」
キュ「厚みがあって、ふわふわだけど、とろける様なパンケーキ売りがなんだよ。素材にはこだわってて、色々な種類があるから、絶対に喜ぶよ」
男性「こんなオシャレなお店行ったことないから…大丈夫かな…」
キュ「大丈夫大丈夫!けど、かっこいい所を見せれるように、しっかりエスコートと出来るようにしなくちゃだね」
男性「…無理だよ…え…無理無理…え、今すぐ首吊る」
キュ「はいはい。まだ、首吊らないでねー。とりあえず、駅からパンケーキ屋さんの行き方を調べる」
男性「あ、はい」
◇男性:スマホで検索をする
男性「あ、駅から近い…なんとなく分かったかも」
キュ「なら、良かった。けど、ちゃんと下見はするんだよ?迷子になって歩き回るより、こっちだよって言えた方がカッコ良くない?」
男性「う、うん」
キュ「それで、パンケーキ食べたらどうしますか?」
男性「え、僕が考えるの?」
キュ「当たり前じゃん。赤ちゃんじゃないんだから、ちゃんと頭を使って?」
男性「す、すみません」
キュ「よちよち、良い子でちゅねぇ」
男性「さっきより酷くなってる!!」
キュ「で?どうするぅ?」
男性「……駅の近くに映画館があるから、映画を見る」
キュ「何を見るの?」
男性「…その時見れる映画?」
キュ「見たい映画が無かったらどうする?それ以前に彼女は映画が嫌いかもしれない。見ない人かもしれない。そうなった時、彼女からしたら苦痛の二時間になっちゃうよぉ?そんな簡単に映画に決めて良いの?」
男性「映画はやめます。はい」
キュ「どうするぅ?」
男性「……散歩?」
キュ「…その乏しい脳みそじゃ、それが限界みたいだね」
男性「デートなんてしたことないんだから仕方ないだろ!!」
キュ「そうだね。そうだよね。可哀そうに…」
男性「ぶん殴りてぇ…」
キュ「初めてのデートだから、無難にショッピングの中を見て回るってのはどうかな?色々なお店があるから、彼女の好きなものや興味のあるものを知ることが出来るかも」
男性「なるほど…パンケーキ食べたら、ショッピングモール」
キュ「それじゃぁ、デートの約束は作れた。服も選んだ。パンケーキのお店も調べた。ショッピングモールに行くことも決めた。後はデートのシミュレーションだぁ!」
男性「シミュレーション?」
キュ「そうだよ!本番の前には練習があるのは、失敗しないようにだよ?それはデートも同じ。当日どういう風にエスコートしようかな。どんな話をしようかな。こういうことをしたら良いかなって色々考えながら、脳内で一度彼女とデートするんだよ」
男性「デートの練習…!!えっと…そうだな。寝坊しないように、早くに布団に入って目覚ましも何重にも掛けておいて」
キュ「あ、僕(私)次のアドバイスを待つ童貞がいるから、そこら辺は割愛で、待ち合わせから想像をして」
男性「え、あ、はい。待ち合わせ場所には…5分前に着いて」
キュ「あまーい!!5分前って、えぇ!?遅刻したいの?」
男性「だって、5分前行動って…」
キュ「君からデートに誘ってるんだから、女の子を待たせてはいけない。5分前に着いて、彼女が先に来てたらどうするの?遅刻したらいけないから5分前にはってのは分かるけど、それは彼女も同じことを思ってるんだから、それよりも早く行かずにどうするの!」
男性「じゃぁ…15分前?」
キュ「行く途中、犬におしっこ掛けられたら?困ってるおばあちゃんに声を掛けられたら?大丈夫ですって言ってるのに全然引いてくれないセールスマンに捕まったら?電車が遅れたら?5分前に着くどころか、約束の時間に遅れちゃうよ?」
男性「そんな事ある?」
キュ「いつ何が起こるかなんて、誰にも分からないんだよぉ?」
男性「30分前…?」
キュ「まぁ、それでいいでしょう」
男性「それでもまだ遅いっていうのか…」
キュ「はい。じゃぁ、彼女が待ち合わせ場所に来ました」
男性「え、あ、はい。」
キュ「まず、なんていう?」
男性「おはよう」
キュ「うん」
男性「え…じゃぁ、行こうか」
キュ「は?」
男性「!?」
キュ「(咳払い)相手は休日という時間を君に使い、わざわざオシャレをして会いに来てくれるんだよ?だったら、まず来てくれたことに感謝をして、相手の服装や髪形を褒めるんだよ!褒められて嫌な気持ちになる人はいないから」
男性「なるほど…」
キュ「はい。おはよう」
男性「え。…今日は、お誘いに乗ってくれてありがとう。凄く…可愛い」
キュ「どこがかわいいの!?」
男性「え!?…えっと、服が、凄く可愛い。あと、髪の毛も可愛い」
キュ「とりあえず今はそれで良いけど、当日はちゃんと具体的に褒めるんだよ?」
男性「分かった…」
キュ「うん」
男性「…それじゃぁ、行こうか」
キュ「うん」
男性「パンケーキ屋さんに行きます。着きました」
キュ「は?」
男性「なんで、急にそんな辛辣なんだよ!」
キュ「お店までの間、君は無言で歩き続けるの?そこはその時、その乏しい脳みそで絞り出すなら良いけど、その間にも沢山のアピールポイントがあるんだよ?」
男性「…おう」
キュ「ポイントは三つ。一つ目は道路のある歩道を歩くときはさりげなく、道路側を歩く。二つ目はエスカレーターで上がる時は彼女を先に行かせて君が下になる。三つ目でエスカレーターで下る時は逆で先に君が行って、ここでも君が下になる」
男性「うん」
キュ「なんで?って顔をしてるねぇ」
男性「道路側を歩くのは何となく分かるけど…エスカレーターは分からない」
キュ「一つ目の道路側は、車が通るからもしもの時に守れるように。あと、雨が降った時、道路の水溜りの水を君が被れるように」
男性「うん」
キュ「二つ目、三つ目は理由は一緒。もしも彼女がスカートで来た時。エスカレーターに乗ったら、下から彼女の閉ざされた場所が見えちゃうかもしれないでしょ?」
男性「閉ざされた場所…?」
キュ「パンツだよ!パンツ!!なんで分からないかなぁ」
男性「あ、パンツ?けど、そんな簡単に見えるもんなの?」
キュ「見えちゃうかもしれないって言ったでしょ。それに、見えなくっても、それが優しさで気遣いってもんなの」
男性「なるほど…」
キュ「この三つのポイントを大事にね?大丈夫?イメージできた?」
男性「だいじょうぶ…」
キュ「あと、ちゃんと会話はするんだよ?」
男性「分かってるよ」
キュ「あ、あと言い忘れてたけど、歩くスピードは相手に合わせるんだよ?あと、相手との距離は拳2個分ね」
男性「距離?」
キュ「歩く時の相手との間の横の距離だよ。ほら、手をグーにして、くっつけて」
男性「はい」
キュ「歩く時、相手との幅はそれ位ってのを覚えてて」
男性「ち、近くない?」
キュ「デートなんでしょ?それ位が丁度良いの」
男性「そ、そっか…」
キュ「なになにー?もうドキドキしてるのぉ?可愛いねぇ?」
男性「してねぇよ!」
キュ「はい。パンケーキ屋さんに着きました」
男性「入りま((」
キュ「なんとパンケーキ屋さんには行列が出来てます!」
男性「行列!?」
キュ「人気店だからね」
男性「えっと…待ちます…?」
キュ「予約が出来るお店だったら、予約をしておくと待たせずに済むからカッコいいよね?けど、この店は予約を受け付けてないお店だから、待ちます。はい、待ち時間どうしますか?」
男性「話します…?」
キュ「駅からずっと話して来てるのに、そんなにトーク持つの?そんな永遠に話続けれるトーク力あったの?」
男性「ないです…はい、ないです…」
キュ「そ、そんな落ち込まないでよ。言い過ぎたね?ごめんね?君はできる子だよ?自信もって?」
男性「どうせ、トーク力ないし、クソつまらない陰キャですよ…」
キュ「そこまで言ってないよね!?否定しないけど」
男性「否定しろよ!?」
キュ「え?じゃぁ、面白い話が出来る陽キャ?」
男性「じゃないけどさぁ…」
キュ「だったら、認めて頑張るしかないんだよ」
男性「どうしろって言うんだよ」
キュ「お店に着いたら、その待ち時間に一緒にお店のホームページを見て、メニューを見るんだよ」
男性「なるほど」
キュ「それだけでも彼女の期待値は上がるし、自然と話も広がるからね。あとはその後の予定を聞いて、ショッピングモールに行こうって誘うんだよ」
男性「勉強になります」
キュ「後は君のクソつまらないトーク力で頑張って」
男性「あ、はぁい」
キュ「はい。名前を呼ばれてお店に入ります」
男性「入ります」
キュ「はい」
男性「え、パンケーキ食べます」
キュ「え?」
男性「え?…注文?」
キュ「なんか、そろそろ疲れてきたよ」
男性「ご、ごめん」
キュ「謝らないで…僕(私)のアドバイスでズッコンバッコン、間違えた。好きな子とお付き合いしてくれれば、良いんだよ」
男性「頑張る…」
キュ「パンケーキ屋さんに入ったら、注文決めてるなら注文するんだけど、まず彼女が何を注文するのかを聞く」
男性「どうやって?」
キュ「え?普通に『なににする?』って」
男性「うん」
キュ「理由としては、注文するパンケーキを彼女と被らせない為」
男性「被っちゃ駄目なの?」
キュ「食べたいのを食べるのが一番なんだろうけど、折角のパンケーキ屋さんだよぉ?違うのを頼んで『こっちのも食べる?』って聞いて、あーんだよ!!あーん!!さり気なく間接キッスぅ!!二種類のパンケーキを楽しめて、彼女と間接キッス。一石二鳥よぉ!」
男性「かか間接キッス!?そんな、ハードルが高いよ」
キュ「何言ってるの。それ位やれよ」
男性「急な真顔!?」
キュ「別に半分こしてもいいけど、あーんは絶対な?」
男性「そんな、間接キッスとか…恥ずかしいよ…」
キュ「そのセリフ、女の子が言ったら可愛いけど、野郎が言うとクッソキモイよね」
男性「……俺がおかしいのか…?」
キュ「それと、注文の時は君が彼女の分まで言ってあげるとスムーズだよね」
男性「あ、はい」
キュ「名目はパンケーキだけど、君はデートとして行くんだから、それを行動で示して彼女に意識させるんだよ」
男性「俺には色々と難しいよ…」
キュ「大丈夫だって。何の為の僕(私)?君が成功出来るように、君が出来るアドバイスをしてるんだから、僕(私)のアドバイス通りに頑張れば、彼女は君の魅力に気付いてくれる」
男性「俺の魅力ってなんだよ」
キュ「…それは、彼女が気付いてくれるよ!」
男性「つまり、俺にはなんの魅力もないってことだよな!?」
キュ「違うよ。僕(私)が君の魅力を語るより、彼女に君の魅力を語ってもらった方が良いじゃん?」
男性「そもそも、彼女と進展出来るか分からないし、付き合えるかも分からない。だったら、先に俺の魅力について語ってもらった方が、俺としても自分に自信が持てるんだが?」
キュ「…一理あるね。さて、パンケーキを食べました!お会計だね」
男性「強引にスルーしやがったな」
キュ「お会計は、彼女がお花を摘みに席を外している間に済ませておくとカッコいいよね」
男性「それは知ってる。男側が全部出すんだろ?」
キュ「けど、これは僕(私)個人的な意見で、デートは男が払うっていう風潮はもう古いと思うんだよねぇ。君は君で生活があって、彼女は彼女でバイトをして自分で稼いでる。お財布に余裕があって、時々全部出すってのは良いんだけど、毎回出していたら自分の首を絞める事になるし、相手側もそれ目的になってしまう事もある」
男性「なるほど…」
キュ「だから割り勘か、君は少し多めに出してあげる。とかで良いと思うんだ」
男性「けど、男なら全部出せよって思うかも…」
キュ「もし彼女がそう思う女だったらロクな女じゃないからやめときな。付き合っても財布かATMにしか思われず、金が尽きるまで利用されるだけだよ」
男性「…けど」
キュ「あくまでアドバイスだから。選ぶのは君。僕(私)は何も言わないよ」
男性「…うん」
キュ「彼女がそういう女だと思ってる?」
男性「…ううん。彼女はとっても優しい子なんだ。こんな僕にいつも笑顔で話しかけてくれるんだ」
キュ「なら、深く考える必要無いんじゃない?」
男性「そうだな」
キュ「お会計が終わったら、ショッピングモールに行くよぉ」
男性「けど、ショッピングモールってどう回ったらいいんだ?」
キュ「普通に回る」
男性「その、普通が分からないんだよ」
キュ「彼女と歩きながら、気になったお店があれば入る」
男性「気になったお店って?」
キュ「彼女が行きたいって言ったり、君がここに入りたいって思ったお店だよ」
男性「…分かった」
キュ「ここでのポイント!さっき彼女との距離は拳2個分って言ったけど、パンケーキ屋さんを出たら、拳1個分の距離で歩くぅ!」
男性「なんで!?」
キュ「少しずつ彼女にはデートという事を意識させてるんだから、二人の間の距離を縮めて、心も身体も親密にしていくんだよ!」
男性「親密な関係…」
キュ「ちょっとエロい妄想したでしょ」
男性「な、な訳ないだろ?!」
キュ「これだから、童貞は…妄想だけはいっちょ前なんだから」
男性「うるさい!」
キュ「噛みつくという事は、エロい妄想をしたという事でよろしいですか?」
男性「よろしい訳ないだろ!童貞って言ったことに噛みついたんだよ!」
キュ「否定できないのに?」
男性「っ!!」
キュ「まぁ、ショッピングモールは色々なお店があるから、それは彼女と話しながらどうするかは臨機応変に!」
男性「急に投げやりだな」
キュ「夜は屋上に庭園があるから、そこで夜景を見るなんてどうかな?ロマンティックじゃない?」
男性「夜景かぁ」
キュ「落ち着いた雰囲気に、ロマンティックな景色」
男性「うんうん」
キュ「今日は楽しかったなぁ、なんて思い出す」
男性「うんうん」
キュ「ちらっと彼女の横顔を見て、そっと彼女の手に触れる」
男性「うんうん、うん!?」
キュ「そっと彼女の手に自分の手を当てる」
男性「当てる…?」
キュ「握らないからね?触れるだけ」
男性「なんで、触れるの!?」
キュ「彼女に触りたくない?」
男性「触りたいけど!!」
キュ「少しずつ彼女との距離を縮めてきた。最後は彼女との距離はゼロ。デートはおしまいだよ」
男性「…自信がないよ…」
キュ「なくても、作りだすんだよ。チャンスは掴んだ。後はやれる事をやるだけだよ」
男性「…大丈夫かな」
キュ「君なら大丈夫。恋のキューピットがそう言うんだからさ?少しは自信持ってよ」
男性「ありがとう」
キュ「あ!デートはおしまいって言ったけど、デートはお家に帰るまでがデートです!気を抜いちゃ駄目だよぉ?」
男性「遠足みたい…」
キュ「帰りは彼女との距離を拳1個よりもさらに近く、歩きながらさり気なく、手と手を触れさせる」
男性「歩きながら?」
キュ「歩きながら。そのまま彼女の手を握れそうだったら、握って駅まで送る」
男性「手を握れそうってどうやったら分かるんだよ」
キュ「…考えるな。感じろ」
男性「適当な!?」
キュ「そんなの、二人の駆け引き次第だもん。僕(私)には分からないよ」
男性「恋のキューピットに分からないことが、僕に分かる訳ないだろ…」
キュ「そこは、頑張るんだよ。ふぁいと!!頑張れ!!君なら出来る!!大丈夫!!」
男性「…頑張る」
キュ「良い子だね」
男性「けど、手汗とか大丈夫かな」
キュ「ベビーパウダーとか付けとけば良いんじゃない?」
男性「手が白くなるよな!?」
キュ「小麦粉でも付ける?」
男性「ベビーパウダーと何が変わった!?」
キュ「…なるようになるさ!」
男性「答えられなくなると、強引に解決させようとするよな…」
キュ「恋のキューピットも万能ではないからね」
男性「…けど、色々とありがとう」
キュ「お礼を言うにはまだ早いよ。デートを成功させて、ズッコンバッコン子孫繁栄に貢献してからお礼言ってよ」
男性「う、うん。返事しにくいけど…頑張る」
キュ「あ!そろそろ時間だ!次の恋に悩める童貞を助けに行かなくちゃ!」
男性「もう行くのか?」
キュ「君はもう僕(私)が居なくても大丈夫。それに、君の事はちゃんと見守ってるから」
男性「…キューちゃん」
キュ「やっと僕(私)の名前を呼んでくれたね。…次は彼女の名前を呼ぶんだよ」
◇キューピット:消える
男性「消えた……さ、桜木さん。いや、り…稟さん…無理だよ!」
男性M「約束の日曜日。デートは完璧にエスコートを…とは行かず、初めて女の子とデート。緊張し過ぎてそれどころじゃなかった。けれど、最後手を繋ぐ事が出来たから、良かったかなっと思っている」
男性M「桜木さんとはその後、デートを重ね、今では恋人同士だけど…桜木さんはメンヘラだった。日々、彼女の思いに応えるのに必死である」
男性M「そして、好意があるか分からない相手との初デートで、手を繋がない事を知った─」
─END─
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