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第93話 「三日目その1」

遅くなりました、本日2話目です!

「じゃあ行こっ!」

「は、はい」

 

 犬飼さんは僕の腕を引き歩き始める。本当は僕の方がリードしないといけないんだろうけど、いつまで経ってもこの人相手にそれはできそうにない。

 

「どこへ行くんですか?」

「そうだな~じゃあまずはあそこ行こうか」

 

 そう言って連れてこられたのはテレビでよく見る、多くの人で賑わい数えきれないほどの看板が目を引く街角。

 

「ここって有名な場所ですよね?」

「そっ! タイムズスクエア!」

 

 タイムズスクエアかあ……。よく新年のカウントダウンが行われている光景が有名な場所だよね。周囲を見渡せばお店がたくさん並んでいてその上アトラクションのようなものもたくさんあった。全部を回るにはかなりの時間が取られてしまいそう、どころか一日では回り切れないと思う。やはり名所なだけあって観光客もたくさん訪れていた。

 

「す、凄い……」

「でしょ?」

 

 色んなお店を見て回る。これだけ多種多様なお店があれば一日中ここにいても退屈しないような気がしてくる。

 そんな中、ふとある服屋のショーウインドウの前で足を止めた。そこでは物凄く高価そうで綺麗な洋服が展示されていた。

 

「どうしたんですか?」

「これ、ママのデザインしたやつなの」

「そ、そうなんですか?」

 

 そっか、だから……。

 

「ごめん、行こうか」

「あ、はい」

 

 その足でタイムズスクエアを離れて向かった先はセントラルパーク。ニューヨークの大都会の中にいっそう目を引く四角い自然公園に訪れていた。

 公園とはいうけれどその広さは一般的な公園のそれとは比べ物にならないほどの規模で、中には動物園や池、レストラン等がある。こんなに大きな公園なんて日本では到底考えられないよね。

 そよ風が心を落ち着かせてくれる。そんな中で僕達は池の近くを歩いていた。ただ散歩しているだけなのに和やかな雰囲気と外国の空気が相まってどことなく楽しさを感じている。それに隣には……。

 

「いい所っしょ」

「は、はい。気持ちいいです」

「超絶エモいよね~」

 

 

 楽しい、本当に楽しい……。こうして二人でいる時間はこれまで何度もあった。だけど何回同じようなシチュエーションであっても飽きることはない。きっとそれがこの人の持つ魅力なんだ。

 こんな素晴らしい人と一緒にいられる、僕はきっともの凄く恵まれているのだと思う。

 ……けど、長いこと待たせてしまっているんだよね……。

 

 

 そうしてお昼ご飯を済ませた後もセントラルパークを散策した後、ロックフェラーセンターという大きなビルの展望台に昇る。展望台は凄く高くて下を見ると恐怖で足がすくんでしまう。

 

「大丈夫?」

「ちょ、ちょっと怖いです……」

「あ~高いとこ苦手な感じ?」

 

 普段はそんなに怖いわけではないけど、これはあまりにも……。展望台は屋外だから恐怖感も大きいんだ。勿論夕焼けに染まったニューヨークの景色は物凄く綺麗で壮大なものだったけど。

 

「なら……これで大丈夫っしょ?」

「ひっ!?」

 

 怖がっている僕を見かねてか、ぎゅっと後ろから抱きしめてくる。

 ドキッとして背筋がピンと伸びてしまった。仄かに柔らかな香りが鼻を刺激してくる。それと肩の辺りに触れるこの感触……。

 

「大丈夫、あたしがいるから。ね?」

「は、はい……」

「じゃあこのまま……」

 

 犬飼さんはスマートフォンを取り出す。そして僕達にカメラを向ける。

 

「はい、チーズ!」

 

 夕焼けのニューヨークを背景にカメラで写真を一枚。見せてもらうと背景は凄く綺麗だった。けどそれよりも目を引くのは犬飼さんの幸せそうな満面の笑みで……。

 

 

 日が段々と落ちていきもうすぐ集合時間。今日は最後にブロードウェイミュージカルを鑑賞することになっている。もうすぐ二人きりの時間も終わりを迎えてしまう。

 

「あ~もうすぐ集合時間か~」

「ですね」

「確かにミュージカルは見たいけどさ~」

 

 時間が迫っていることに不満げな表情を見せる。時間だから仕方ない。けれど僕も本心ではもっと一緒に色々なところを回りたいと思っているんだ。

 

 集合場所であるホテルへと向かっている最中、何かを閃いたように指を鳴らす。

 

「あのさ、わんこ」

「なんですか?」

 

 どこかそわそわとした感じで髪の毛をクルクルさせる。何かを言いたいけど言いづらそうにしているのがよく伝わってきた。

 そんな中で僕に向けられた言葉は――――。

 

 

 

 

「あたしの部屋、来てみる?」

閲覧ありがとうございます!


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