第92話 「二日目」
「凄いなあ」
修学旅行二日目、僕達が訪れていたのは博物館。ここには数えきれないくらいの展示物があって、入館してから圧倒されっぱなしだった。
特に今僕の目を引いているのは恐竜の化石。物凄い大きな化石が目の前にいくつも並んでいるんだ。こんな光景を見せられたら言葉を失うのも無理ないよね。
「あ、そろそろ時間だ」
集合時間になりレストランで昼食を採る。けれどあまり食が進まなかった。
それは昨日の夜のことが頭の中をよぎっていたから。展示を見ている間も決して頭から離れることはなかった。
『一緒に回ろう!』
明日は夜まで自由行動で生徒達で行き先を決めることが認められている。僕は特に誰かと回る予定もないし、美術館にでも行ってみようと思っていた。
けれどあんなお誘いを受けたなら断れるわけがない。何度も二人きりで出かけたりしたけど今回はそれに数学旅行というシチュエーションが加わってくるんだ。
このドキドキした気持ちが表している、僕は明日を楽しみにしている。それをどうやっても否定することはできない。
「……」
口に運んではいるけどお昼ご飯の味を僕は全く覚えていなかった。
お昼ご飯を食べた後は国連本部へ。この場所も誰でも一度は見たことがあるくらい有名な場所だけど、その間も僕は……。
そして夜は明けて、いよいよ修学旅行三日目の朝を迎えた。ホテルで朝食を採った後僕達は待ち合わせていた場所に向かう。
「お待たせ!」
「い、いえ!」
「じゃあ行こっ!」
「は、はい」
考えもまとまらないままに僕は手を引かれ歩き出していく。ニューヨークの街へ。
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