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第71話 「待ち望んでいた再会」

「暑い……」

 

 もう八月も終わろうとしているのにまだまだ暑さが収まる気配はない。けど時間はしっかりと過ぎていく。今日は登校日。この日が来ればもう夏休みが終わりを告げる寸前まで来ている合図。

 久しぶりに学校へ向かうこの道を歩く。夏休み前と比べて同じ道なのに体が重い……。

 

 ただ歩いているだけなのに次から次へと汗が出てきちゃう。これだけ暑いのに近くの公園では子供達が元気に遊んでいた。こんなに早い時間からよく遊べるなあ。僕が小さい頃には夏は毎日家でダウンしてたのに。……あ、蓮ちゃんがいた頃は夏休みは毎日朝から遊んでたっけ。

 少年時代の思い出に耽ながらハンドタオルで噴き出す汗を拭きとる。

 

「ふう……暑いなあ……」

「じゃ、これ使う?」

 

 後ろからいきなり声をかけられる。この声、もしかして!?

 すぐに振り返るとそこには久しく会っていなかった、そして……会いたかった人がミニ扇風機を差し出していた。

 

「あ……!」

「おっひさ!」

「……犬飼さん!」

 

 夏休みの間会えなかっただけなのに再会の瞬間がこんなにも嬉しいだなんて。それだけ僕にとって大きな存在なんだ。

 元気なようでよかった。そういえばアメリカのご両親のもとへ行ってたんだっけ。

 連絡はとってなかったからその間のことは分からなかったけど、今の様子を見る限りきっと実りある時間を過ごすことができたんだと思う。

 

「はい、お土産。クラスで渡すと色々面倒っしょ?」

「あ、ありがとうございます」

 

 

 クラスに入るとクラスメイト達と挨拶を交わしていき、時には談笑する。やっぱり人気者で、凄い人なんだ。

 扉が開き先生が教室に入ってきたことでみんな一斉に席へ座っていく。

 今日は登校日だから授業はなく、簡単なホームルームだけで終わる。

 

「ええ、じゃあ今日は最後に席替えしようか」

 

 席替えか……。まあ今の席は新学期からずっとだしそろそろ替え時ではある。これは仕方ないことだよね。

 でも、そうなると今の席ではなくなる。つまり犬飼さんの近くではなくなるということなんだ。別にしょっちゅう会話してたりなんかしてない。むしろ授業の関係以外では殆ど会話してなかった。それでも離れてしまうのは悲しいな……。

 

「お~し、じゃあクジ引いてけ~」

 

 名前順にクジを引いていく。僕もさっとクジを引き席へ戻る。番号と黒板に書かれている席の位置を確認した。場所は一番右――廊下側の後ろから二番目。う~ん、まあ右隣に人がいないのは落ち着けるから悪くない席だと思う。

 

「みんな引いたな。よし、じゃあ移動開始!」

 

 先生の合図でみんなガタガタと机を移動させる。

 僕も移動させないと。端っこの列から端っこの列への移動だから長い距離の大移動。

 

「ふんぬ……」

 

 机の中には物はあまり入れていないけど、単純に机と椅子の重さが僕にはかなり重くて……。運ぶのも一苦労なんだ。

 そうしてようやく新しい席へとたどり着いた。周りもほぼ同じタイミングで席の移動が終わったようでクラスは談笑の声に包まれる。

 

「あっ!……」

 

 席の移動が終わって初めて知った。僕の一つ後ろの席はなんと犬飼さんだった……。こ、こんな偶然が起こるだなんて……!

 チラッと視線が合うと微笑みながら人差し指と中指を立ててくる。僕は何も返せずそそくさと席に座った。胸の中はそわそわして落ち着かないんだ。

 新学期も僕の学校生活は……。

閲覧ありがとうございます!


しばらくは週一ペースでの投稿になると言いましたが、投稿してしまいました…。やっぱり書いた小説は読んでもらいたいですからね。

ぼくは『読んでもらうため』に小説を書いている!笑


それと思ったこと、要望等があれば感想いただけるとすごくありがたいです。


感想、評価、レビュー、ブクマ大歓迎です!

次回もよろしくお願いします!

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